第12話 見落としたカムフラージュ
「グラーシュじゃ!いきなり光の盾が出て来て守られても、訳わからんじゃろ!」
「あ・・・そうか。」
「ま、その辺は、お前さんに任せるわ。」
「はい・・・。」
あ!
「因みに、なんですけど・・・」
「なんじゃ?」
「グラーシュは格闘術を使います。」
「そうじゃな。」
「見た事が無いので、どんな戦い方をするか分からないんですけど・・・得意なのは蹴りだそうです。」
「確かそんなことを言っとったな・・・。」
「でも、馬に乗っているときは、足は鐙に掛けているから使えませんよね」
「そうなるなぁ・・・何が言いたいんじゃ?」
「その光の障壁で、ぶん殴れますか?」
「えぐいわね。壊れない盾でぶん殴るのって。」
「ははは、できるかなって?」
「できるよ。」
できるんかい。
出来そうだとは思ったけど。
「そしたら、おじいさん、攻撃の時もフォローお願いします。」
「任せとけ!」
「これが出来たら?」
「【白き理】☆8じゃ!」
今夜は、おじいさんが主役の日だな。
さて、グラーシュにはどんな話をしようかな・・・
装備品をプレゼントにしよう。
格闘技と家事で邪魔にならない装備品・・・
指輪?
でもさ、俺は指輪をプレゼントすると、気にしちゃうタイプなんだよね。
若い時に女の子に言われるがまま指輪を買ってあげた事がある。
指輪をプレゼントすると、会う度に、気になって見ちゃうのよ。
「付けているかな?」って。
酷い時にはその指輪で、手玉に取られたことも有る。
「つけてあげない!」だの、「返す!」だの、「返したの頂戴よ!」だの・・・。
その度に、若かりし俺は動揺していた。
もう35のおっさんだから、そういう歳じゃないはずなんだけどさ・・・。
じゃあ、ネックレス?
それだと服の下に入って装備しているか、パッと見でわからない。
装備していないのに、発動したら、話がちぐはぐになってしまう。
物凄いゴツイペンダントで装備の上にってなると、格闘術の最中に邪魔になりそうだし・・・。
腕輪?バングル?
ティアラ?リボン?
イヤリング?ピアス?
タトゥ?
アンクレット?
・・・
ダメだ。
結局のところ、本人が違和感なく常に身に付けてくれる物でなくてはならない。
それか、報酬受け取りまでの期間くらいは付けている事が我慢できる物だ。
「アイデアが思い浮かばないようね。」
「はい。」
「考え込んでも仕方ないわよ。」
「・・・」
「今はゴブリンとオーガの掃討に向かっている最中よ。ブランド店の立ち並ぶ市街地なら、これだ!っていう物が見つかるかもしれないけど。」
「・・・」
「考えを切り替えて、本人と話してみて、それからもう一度考えて見たら?まだ危険性はそこまで高くないんだし。」
「そうですね。」
「そうと決まれば、早く起きなさい!」
「はい。」