第6話 集合場所に合流
とにかく、おばあさんに感謝だ。
なんとなくだけど、この世界の事がイメージできたような気がする。
海の向こうにも興味が湧いて来たし。
「朝っぱらから、女と仲良く公園で、絵本ですかー?」
突然の声に頭を上げると、ガラの悪そうな男が居た。
あからさまにグラーシュの機嫌が悪くなったのが、伝わってきた。
無理もないんだけどさ。
身に付けている物からすると、冒険者だ。
このタイミングでこの装備・・・。
すかさず立とうとするグラーシュを手を出して制止した。
「ついつい、童心に帰りましてね。って、もしかして、みなさん、これから“南の英傑”ですか?」
「なんだー?もしかして、お前らもかぁ?」
ビンゴ。
今回は、数を集めようとしているみたいだから、変なのも集まってきちゃってるんだろうな~。
だとしても、いざこざを起こすのはちょっと避けたい。
「そうでしたか。私も参加いたしますので、お手柔らかに、よろしくお願いします。」
俺がそう言い終わると、男が影の中に入った。
驚いた男が振り返ると、大男と巨体馬、もとい、アルディとネロアが立っていた。
「何か?・・・」
アルディがプレッシャーをかけた。
「いえ、何も・・・」
そういうと男は去っていった。
やっぱり、体の大きさって重要だな~。
試しに、俺の身長、2mくらいにしてみようかな。
「そろそろ行きますか?」
グラーシュの声で我に返った。
「そうだね。行ってみようか。」
・・・
・・・・・
“南の英傑“の正面広場は、だだっ広いってのに、黒山の人だかりだった。
集合時間前だってのに、みんな気合が入ってるな~。
「特別掃討奪還連隊に参加の方ですか?」
突然声を掛けられた。
声のした方に目をやると、女性職員が居た。
昨日の人とは違う。
グラーシュが対応を始めた。
そうそう、グラーシュが当事者で、他はみんなグラーシュのお手伝いさんだからね。
しかし、人が多いな。
昨日来た時よりもはるかに多い。
他のギルドで集めた人員もここに集まっているのか。
それに、女性も目立つ。
この世界は女性の冒険者も多いんだろうか。
それにしても、かなり軽装な人が多い。
グラーシュと同じくらい露出が高く、武器も持っていない。
現場に到着したら、武装するのかな。
道中も危なそうだけど・・・
「道を開けろー!どけどけー!」
突然大声が上がった。
「真ん中開けろって言ってんだろー!さっさと開けろー!」
正面の門から広場まで、真ん中が開いた。
そこへ、騎兵の護衛付きの馬車が10台入ってきた。
先頭の3両からは、独りずつ、残りの7両からは、計17名が下りてきた。
総勢20名の仰々しい軍服を着た一行だ。
なんだろう・・・いやな予感しかしない。