第27話 意外な宝物
もしかすると、子供に読み聞かせる御伽話や昔話に何かヒントが在るかもしれない!
「そっちじゃなくて、こっちにしないかい?」
おばあさんの優しい返事が聞こえてきた。
おばあさんの手に取っている本は・・・「かみさまとせかい」
っぽい!それっぽい!
おばあさんから取り上げる訳にもいかないから、絵本コーナーを探す。
あった!
1冊確保!
絵本を手に取って興奮したのは、いつ振りだろう。
ちょっと恥ずかしくなった。
でも、まだだ!
まだあるかもしれない!
店員は残念な感じだったから、おばあさんに聞いてみるのが良さそうだな。
「すいませ~ん。ちょっとよろしいでしょうか。」
「はい?」
「突然すいません、私、甥っ子の絵本を買いに来たんですけど、何が良いか分からなくて・・・、」
「それはそれは。」
「どれがいいですかね~」
「そうねぇ、あれはどうかねぇ。」
おばあさんのしわしわの指が差した先に遭ったのは、・・・「大きなお山と小さなお山」
え?
なんなん。ぜんっぜん、イメージできんけど・・・何が良いの?
とりあえず、手に取ってみた。
ご丁寧に、この本もラッピングされているから、中身は分からない。
でも、老人は生きる図書館って言うし・・・。
価格は・・・高くない。
よし、ひとまずこの2冊でいいや。
「おばあさん、助かりました。」
「甥っ子さんに、喜んでもらえるといいのだけど。」
「きっと大丈夫です。ありがとうございました。」
時間はかかったが収穫は得た!
胸を張って集合場所に向かった。
・・・
・・・・・
「ルラン様、遅い!」
集合場所に着くなり、グラーシュに怒られてしまった。
お会計の近くにある時計を見上げると、20分オーバーしていた。
「ごめんごめん。」
「いいですけど。」
「2人は、気になる本が買えた?」
「魔法とスキルが気になっていったのですけど・・・欲しいのがありませんでした。」
だろうね。
グラーシュは、一番初めが“鑑定眼”だったから、この店の商品にはピンとこなかったかもしれない。
「アルディは?」
「どうということは無く」
「ははは、そうでしたか。」
馬と一緒に待っていた方が楽しめたのかもしれないね。
「ルラン様は?」
「あぁ、この2冊。悪いけど、お会計済ませて来て!」
「はい。・・・“かみさまとせかい”と・・・“大きなお山と小さなお山”・・・ですね。」
グラーシュは受け取った直後は不思議そうに見ていたが、速やかにお会計を済ませて来てくれた。
無事に馬を返してもらい・・・次はギルドだ!
昨日受け取ったギルド一覧を見ると、項目が6つある。
上から、王都、ミーヴ、ダーゲン、バーエン、レーゼン、その他だ。
王都は、東・西・南・北の4つの項目が設けられている。
今居るのが南の市街地だから、見るべきは南の項目だろう。
南の項目には、一般ギルド、農業ギルド、工業ギルド、商業ギルドが掲載されている。
一般ギルドを見ると、あいうえお順になっていない。
という事は、権威順か実績順なのだろう。
つまり、当たりを付けるのは、1番上に掲載されているギルド「南の英傑」だな。
しかし、書かれていたのはギルドの名前だけ。
残念ながら住所は書かれていない。
でも、南の1番手なのだから、住民に聞けば教えてもらえるだろう。
・・・
・・・・・
「ここだね。」
道行く人に教えてもらって、ギルド「南の英傑」の前に到着した。
庭園付きのデカい館だ。
「よし!訪問は明日にして、本日の宿泊先探すよ~。」