第26話 胸が高鳴る宝さがし
3階建ての本屋の中は、天井までの本棚が並んでいる。
本棚の間は、アルディが横になってギリギリ歩けるくらいの間隔しか空いていない。
これは期待できる。
しかも、文房具を扱っているスペースまである。
俺は、本屋と文房具屋で興奮するタイプだから、この合わせ技1本にコーフンが止まらない。
「グラーシュ、アルディ!自由行動ね!!・・・1時間後に入口付近のお会計で会おう!」
そう言って、俺は本屋の散策を始めた。
返事は有ったと思う。
2人ともここまで、異を唱えることは無かったから、多分大丈夫。
・・・
・・・・・
ダメだ。
ティオレスが言っていた通り、ろくな本が無い。
数は多い。
が、数が多いだけだ。
その中身は、娯楽系の本が大半だ。
今週・今月・今年のベストセラー、小説、アウトドア本、インドア本、料理本、趣味の本、各種雑誌、ニュームス、漫画・・・
目を引いたのは、自己啓発本のスペースに、学術系の本だけじゃなくて、魔法本やスキル本や技術本もあった事だ。
しかし、どれも銀の縁無し、無印。
どうなってるんだ?
本屋だから、売れる物を並べている・・・ってことだよな~。
だとしたら、これが売れているのか?
ここでは、これがお客さんの求めているもの・・・ということか。
だとすると、この店を諦めて他の本屋に行っても、同じような品揃えなんじゃないか・・・。
いや、もっと大きい本屋を探すか・・・。
あるいは、古い図書館とか・・・。
参ったな。
店内を一通り舐めるように見ただけで、かなり時間を使ってしまった。
どうしよう。
肝心の、この世界のことがわかりそうな本が見当たらない。
歴史でも地理でもいいってのに・・・。
店員に聞いても、不躾に「本棚に出ている本しかありません。」と答えるばかりだ。
とても、本が好きで本屋の店員をやっている感じじゃない。
おいおい、マジかよ。
本と文房具でコーフンする俺としては、ガッカリな対応だ。
この本屋に期待して入った俺がバカみたいじゃないか。
無い物は、探しても仕方ない。
諦めて集合場所に行くか。
「おばあちゃん。これ買って―!」
入口に向かって歩いていると、小さい子供のおねだりが聞こえてきた。
見ると、絵本を御所望のようだ。
ねだっている本のタイトルは・・・「グングーン」と「ビヨンビヨン」
何の本なんだ?
俺だったら・・・
脳裏に今までのムニムニ体験がフラッシュバックした。
めくるめく数々のムニムニ体験・・・
「ムニムニ」が良いわ。
じゃない!
子供の聖地“絵本コーナー”で、俺は何を考えているんだ・・・。
ただの変態じゃん。
いや、考えるだけなら別に周りに迷惑はかけていない!
・・・
じゃない!
俺も小さい時は絵本を読んでもらったな~。
ずいぶん昔の話だ・・・
グ~ンだのビヨ~ンだのじゃなくて・・・
“桃太郎”、“金太郎”、“かぐや姫”・・・
・・・
あー!
それだ!