表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生しても”はぐれもの”  作者: C-HAWK
第4章 王都(南部)
165/475

第21話 転生世界での自覚

「まずは、私立の一般ギルドに行ってみて、魔物退治を受注した人に、お手伝いで同行してみたいって思ってます。」


「なるほど・・・。でも、そんなに都合よくお手伝いさせてもらえますかねぇ」


「多分、大丈夫。・・・なんとかする!・・・ってか、なんとかなる!」


最悪の場合は、お金を払って見学させてもらう・・・ってのは、ちょっとカッコ悪くて言い出せなかった。


でも、机上の空論ではどうにもならないことってのが、往々にして有るんだわ。


体験できることなら体験して、参考にしたい。


大丈夫、お金は後から稼げばいい!


今は先行投資の時期なんだ!


「という訳で、明日は朝早くから出発します。私立の一般ギルドは、ここからだと遠いから、チェックアウトして、馬で行くよ。」


「はい。」


「それでは、解散。今夜は良く休むように。もしかすると、そのまま魔物退治って事もあるかもしれないからね。おやすみ~。」


・・・


・・・・・


気が付くと、いつもの白と黒の空間に居た。


「分かっているのかしら?」


「多分分かってないと思うぞ。」


後ろから、先生とおじいさんの声が聞こえた。


振り返ると、二人とも怪訝そうな顔をしている。


「いきなり、どうしたんですか。」


「お前さんに足りないものがあるんじゃ。」


「何です?」


「実践よ。」


「お前さんはスキルの習得に前向きじゃが、実践しとらんじゃろ。」


「怖いの?」



言いたい放題ですね。


「輩に絡まれたときも、ノームに取り付かれたおっさんに襲われたときも、自分では何もしとらんじゃないか!」


「怖いんでしょ?」


・・・


「なんか、自分の中で正当化できていないんですよ。だから、力の行使に躊躇してしまって。」


前世は安全な日本に生まれ、お金が無くて海外旅行もできずに、危険な場所も好きじゃないから、近寄らなかった。


そんな俺には、ノームに取り付かれたおっさんに襲われているときでさえ、躊躇していた。



「この世界はお前さんの生まれ育った世界とは違う。弱肉強食なんじゃ。淘汰される側を可哀想と思うのは勝手じゃが、お前さんが淘汰されるのも是認できるのか?」


「・・・」


「この世界で、“弱肉強食”がまかり通っているのは、そうすることで生命力のある逞しい存在が生き残って、生き物として向上することを良しとしているからじゃ。」


「それは別に、五体満足である事が最低条件って言ってるのではないわ。この世界では異種交配がある事は分かってるわよね。」


「グラーシュがそうだから、分かっているつもりです。」


「いえ、あなたの理解は不十分かもしれないわ。」


「え?」


「異種交配の結果が全て完全な子供に繋がると思う?」


「あ!」


「そうじゃ、そもそも生を受けられない場合もある。生を受けても五体不満足な場合もある。」


「そこに、悪い精霊が漬け込んで来たらどうなるかしら?」


「・・・」


「お前さんも、今はこの世界の一員じゃ。つまり、弱肉強食の渦中に居て、生きる力を試され、試す側の一員でもある。」


「さっきも言ったけど、五体満足でなくても、この世界で生き残る“生命力”があれば、生き残った方が良いわ。新しい可能性なのだから。」


「なにも、生命力は体力や魔力とは限らないでしょ。言い換えるなら、生活力かしら。」


「例えば、腕が無くても、足で戦うことも有れば、どうじゃ?」


「戦わずに、周りと共存するために自分にできることをして、役立つことで自分の居場所を作ることだってできるでしょ?」


「それに、協力的な精霊に取り付かれれば、一般人よりも生活しやすいこともあるじゃろうな。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ