第19話 ギルドの募集内容
「すいません、こちらに伺うのは初めてで・・・。」
「なんでも、お聞きください。」
「恐縮なのですが、ギルドの事がよく分からなくなっちゃって・・・ちょっと教えてもらいたいんですけど、宜しいですか?」
「はい。どうぞ。」
「魔物退治は、一般ギルドって聞いていたのですが、こちらでも魔物退治の募集があるんですね。」
「はい、一般ギルドの魔物退治は、色々トラブルなどもありまして、こちらで募集する方もいます。」
「色々?」
「はい、農業ギルドの魔物退治は、農業ギルドに登録された方が対応されますので、農家さんへの理解があります。」
「農業ギルドに登録している方が対応するって事は、たとえば、農家が他の農家の魔物退治をするって事ですか?」
「簡単に言うとそうなります。」
「農家ができる魔物退治には限界がありそうな・・・」
「そうです。だから、農業ギルドに登録されている方では対応できない内容の魔物退治は、一般ギルドに登録するのが暗黙の了解ですね。」
「なるほどね~。」
「農業ギルドにあるのは、例えば、害虫に悩まされる養蜂家が、害虫駆除の募集をかけて、経験したことのある養蜂家が助けるって感じでしょうか。」
「養蜂家なら、養蜂の苦労が分かって、変なことしないからってことですか?」
「そうですね。」
「でも、変なことして、潰しにかかる人も居るんじゃない?」
「それを防ぐために、仕事を受ける方には必ず登録をして頂きますし、抜き打ち調査も行っています。」
「おぉぉ、ちゃんとしてますね。」
「はい、お任せください。」
「でも、そんな養蜂家が養蜂家を助けるようなことをしたら、ライバルに塩を送るようなものじゃないですか。その困っている養蜂家が潰れれば、それだけ繁盛するのに。」
「確かに、そういうことも有りますね。だから、同業者を助ける事例はほとんどありません。ただ、募集は基本的に自由なので、たまに依頼が成立することもございます。」
「基本的に自由?」
「はい、犯罪やそれに関連しそうな募集は私どもでお断りいたしますし、募集には期限がございますので、応募が無くて取り下げられるものもございます。」
なるほどね~、やっぱり、実際に足を運んで聞いてみるもんだな~。
「登録の手続きって、どんな感じなんですか?」
「住所、氏名、生年月日、属性鑑定結果、専門分野、各種実技試験などを登録して頂きます。」
また、属性鑑定結果・・・か。
「属性鑑定結果をお持ちでない方は、属性鑑定をこちらで受けて、その結果を記入して頂きます。」
「どんなふうに鑑定するんですか?」
「品質の確認された属性鑑定球を2セット用意していますので、それぞれ1回ずつ用いて判定いたします。」
あの高額な属性鑑定球を2セットも持っているんだ。
お金かけてちゃんとやってるなぁ。
「実技試験ってのは?」
「実技試験は、自己申告された専門分野の実技が、どのくらい身についているかを試験させて頂きます。」
「武器の持ち込みは可能なんですか?」
「魔法使いの方のみ自分専用の杖がございましたら、持ち込みが可能ですが、それ以外の方はこちらで用意した武具・防具を利用して頂きます。」
「ってことは、魔法使い以外は手ぶらで来ていいんですか?」
「いえ、私共は、公立農業ギルドなので、紹介状が必要になります。」
「紹介状?」