第14話 お待ちかねの食糧援助
「お人よしさん、【黒き理】☆6おめでとう。」
「あ・・・、ありがとうございます。」
そうか、疲れてて、着替えたら、夕飯も食べず、寝ちゃったんだ。
今日は一日雨の中の作業だったもんな~。
「これで、☆1つ離されてしまった。」
近くで、おじいさんが凹んでいる。
「何凹んでんのよ、クソジジイ。別に、星の数なんて、気にしなくていいじゃない。」
「リードしているお前が言うなー!それは割り切った儂が言う事じゃ!」
ははは、夫婦漫才が始まった。
俺に矛先が向いてないだけ、気楽だわ。
この前のおじいさんは割り切っているように見えたのに・・・。
いざリードされたら、ちょっときつかったのかな。
想定している状態と、実現した状態ではメンタルへの影響違うもんね。
先生は最初から聞いてないことを教えてくれたけど、おじいさんは俺からの質問に答えるように教えてくれたから、差が出ても当然な気もするけど。
「しっかし、つまらんのう。毎日毎日、木を切ってるだけなんて。」
「いいじゃない、平和が1番よ。」
「まぁ、それもそうなんじゃが・・・」
「それに、これから嫌って程、揉まれるんじゃない、知らないけど。」
「そうじゃな。これからやりたいと思っている事次第では、色々起きそうじゃ。」
「まずは、明日の朝の提供品が楽しみね。ふふふ。」
そういうことを言うと、フラグになるからやめて欲しいんだけど。
「今日のところは、疲れているでしょうし、私たちの相手を連日連夜しているし、おやすみなさい。」
先生の労いの言葉を聞くと、意識が遠くなり始めた。
「そうじゃな、たまにはしっかり休め。随分お前さ・・・」
「そうね・・・、多分おし・・・」
・・・
・・・・・
目が覚めた。
最後の方で、おじいさんと先生、何か言ってたなぁ。
よく聞き取れなかったけど。
まぁ、重大な事なら、改めて言ってくるだろう。
さて、気になる管理人からの提供品はどうかな~。
随分早く起きれたような気がする。
まだ外はうす暗いから、2人とも起きてないでしょう。
1番乗りで見に行きますか~。
・・・
玄関を出ると、アルディが居た。
「あれ?」
「提供品を盗られないように見張っていました。」
「そうか、ありがとう・・・。で、提供品は?」
アルディが指さした先に小包があった。
「嘘でしょ?あれだけ?」
「はい。」
ログハウスの中でバタバタと音がしたと思ったら、グラーシュも出てきた。
「状況を整理しようか。」
「アルディは何時からここに居たの?」
「昨日の晩からです。」
マジかよ。
さすがは忠節の武将、頭が上がらないです。
「ありがとう。」
「いえ。」
「という事は、管理人が持ってきたのを見てたの?」
「はい。管理人は、それを置いて帰りました。」
「アルディ、ごめん。これの何処が3日分だよ!って言わなかったの?」
「はい。私にはどのくらいが適切か分からないですし、余計な揉め事は作らない方が良いかと思ったので。」
「分かった。」
「では、食糧管理係のグラーシュさん、この量は3日分相当でしょうか?」
「とてもそう見えないです。」
「だよね。」
あの管理人、舐め腐ってるわ。
俺はここまで丁寧に対応してきたつもりだが、それはどうやら“いいように利用されていただけ”らしい。
口では何とでも言う。
しかし、いざとなると全く報われない。
俺が働いていた会社もそうだったから、これは看過できない。
転生してまで、現世でされていた“いいように利用されていただけ”ってのは勘弁だ。
「えーっと、本日は、予定を変更して、南の市街地に向けて出発します。」
「はい。」
「御意。」