第13話 間伐作業の今後
帰り道に管理人棟に寄った。
「すいません。本日の作業終わりました~。」
「お疲れ様です。ありがとうございます。」
「いえいえ。それで、大変申し上げにくいのですが・・・」
「どうなさいました?」
「喜ばれているところ、申し訳ないのですが、今日で作業は終えようと思います。」
「え?・・・えーーーっ!!」
管理人の驚きようがハンパじゃない。
そんなにか?
「どうしてですか?」
「いや、お恥ずかしい話、保存食が底をつきかけていますので、今夜宿泊したら、明日には南の市街地入りしなければならないのです。」
「そういうことでしたら、私が何とか致します。ですので、もう少し作業をして頂けませんか?」
む!
これは・・・チャンスか?
「何とかと言われましても、背に腹は代えられませんので、・・・具体的には、どのようなことをして頂けるのでしょうか。」
「毎朝、三日分の保存食と飲料水を提供いたします。それでいかがですか?」
「宿泊費は?」
「最終日に、できる範囲で構いませんので、清掃して退室して頂けるなら、今夜以降は無料とさせて頂きます。」
悪くないが・・・清掃はグラーシュが中心に行う事になるし、食料の管理もお財布係もグラーシュだ。
グラーシュは・・・見ると、力強く頷いてくれた。
良し!
「分かりました。それでは、明日の提供品を確認の上で、次の予定のギリギリまで滞在して作業いたします。何分、作業で疲れがたまってますので、本日はこの辺で失礼します。」
・・・
・・・・・
ログハウスで状況確認を始めた。
まずは・・・
「グラーシュ、保存食の残量ってどのくらい?」
「今夜でラストです。明日の朝の分は、本日採取した山菜になります。」
ヤバいやん。
「その後はどうしようかと思ったの?森林公園内で、ウサギなどを獲ろうかと思ってました。」
おいおい、森林公園内での狩猟は制限されてるんじゃないか?
それとも、俺が知らないだけで、自由にできるもんなのか?
「ん-・・・。」
「でも、ルラン様が上手に交渉して下さったので、何とかなりそうですね。」
「そうだね。保存食3日分ってのがどのくらいの量なのかは、明朝、実際に見ないと分からないけどね。」
管理人さんの感じている“感謝”がどれ程の物なのか、楽しみに明日の朝を迎えるだけだね。
「ルラン様、もし納得できる量が提供されたらどうなさいますか?全ての間伐対象を処理するまで行いますか?」
「まさかぁ。だって、管理人は間伐対象を100本くらいだと思っているんだよ。本当は1000本以上あるのに。」
「あ、そうでした。」
「仮に間伐対象が100本だとして、切って、その後の処理までするとなると・・・いいところ、作業日数は5日間くらいかな。だから、滞在期間は最長で5日間だね。」
「・・・」
「そして、既に2日間、作業をしているから、残りは最長で3日間くらいかな。」
「・・・」
「で、その3日やったら、間伐対象は全部無くなったはずだって管理人は考える訳だ。実際はそんなわけないのに。」
「・・・」
「残って作業しても無理はないって管理人に思われたいから、作業日数はあと2日とします。」
「分かりました。あと2日ですね!」
あ、グラーシュ・・・途中付いて来れなくなって、結論だけ納得したな・・・まぁ、それで良いけど。