第9話 間伐2日目
「あなたって、マヌケだけじゃなくて、お人よしね。」
今日も有りがたいご指摘からのスタートですか?
「間伐作業のために、宿泊日数が増えているのに、宿泊費の値引き交渉しないなんて。」
「あ・・・ははは。」
「しかも、それを忘れていたんじゃなくて、交渉の余地を分かっていて、しないんだから、どうしょうも無いわね。」
「すみません。」
「まぁまぁ、そこが良い所でもあるじゃろ。それに怪しまれないように闇の粒子集めできているんだし。」
「その点はそうね。」
おじいさん、ナイスフォローありがとうございます。
ん?
なんだか、おじいさんが、ニコニコしてる。
「ところで、2つ、思い付いたか?」
やばい・・・。
「ごめんなさい。思い付いてません。」
「がはは、思い付いてないなら、しょうがない。」
え?めっちゃ、割り切りが早いやん。
なんか、怖くなってきたなぁ。
「思いついたら呼んでくれい。」
そういうと、向こうに行ってしまった。
フクロウを呼んで遊ぶのかな。
「私もイイかしら。」
「え?」
「だって、まだ試していないでしょ。」
「シミュレーションスペースで試させてください。」
「それはいいけど、そうすると、ここで召喚した者や成形した物を、現実でゲートから取り出すことになるわ。」
「そうですね。」
「それは、厳密に言うと、現実で召喚したり、成形した事とは違うの。分かる?」
「・・・」
「習得後なら、シミュレーションスペースで召喚や成形してもいいけど、1回目は現実でやってみなさい。」
「はい・・・。」
・・・
・・・・・
目が覚めてしまった。
窓から見える外は、生憎の雨。
ん?
転生してから初めての雨じゃない?
外に出て確認した。
黒い雨雲から定期的に日が差す、なんだかパッとしない天気だ。
こんな日に外で作業なんて・・・全く気が進まない。
「御飯できましたー。」
ログハウスの窓が開いてグラーシュが御飯に呼んでくれた。
ありがたやありがたや。
本日は雨ですが、作業を致します。申し訳ないけど、俺にはノームが見えないから、お付き合いお願いします。」
「悪くなんてないです。よろしくお願いします。」
グラーシュとアルディを連れてログハウスを出た。
作業2日目だ。
雨雲の隙間からたまに光が差し込んでくる・・・。
これは、チャンスだ!
いっそ1日暗くても、変に思われない。
対象地域を森林公園に限定し、一日中、ゆる~く光の粒子の回収するようにイメージした。
すると、辺りが薄暗くなった。
「ルラン様・・・」
「え?」
「なんか、光ってますよ。」
自分の周囲を見渡してみた。
間断なく光の粒子を集めている関係で、俺だけは少し光っているようで、俺の周りだけが明るい。
ある意味作業がしやすくて好都合だ。
「だいじょうぶ。出発しよう。」
「はい!」
俺の光が治まったタイミングを使って、管理人棟に挨拶し、作業開始。
作業の要領は、昨日のうちに身に付いているから、雨の中だというのにサクサク進んだ。
・・・
・・・・・
「本日の作業はここで終わり―!」
「え?・・・まだ日が落ちてませんよ。」
「分かってるよ。ちょっと試したいことがあってね。帰り支度だけ済ませておいて。」
「はい。」
さて、周囲に人の気配は無いし、闇の粒子で武器の生成してみますか。