第5話 木材集め準備
「おはようございます。御飯の準備、できていますよ。」
グラーシュの声で目を覚ました。
「グラーシュ、調子はどう?どこか痛い所とかある?」
「特に何も無く、いつも通りです!」
「そうか。良かった。」
・・・
「で、早速、試した?」
「はい・・・。」
なんか元気の無い返事だな。
「どんなふうに試したの?」
「ごめんなさい。ルラン様を見ました・・・」
「そんなこと、気にしなくていいよ。」
謝ること、無いでしょ。初めからそれも目的に入っているって聞いてるし。
「で、結果は?」
「何も・・・。」
「ははは。それも気にしなくていいよ。」
「はい・・・。」
「ちなみに、どんなふうに見えた?」
「土属性:“ ”、土属性魔法“ ”、土属性スキル“ ”、土属性技術“ ”という具合です。」
なるほど、“空”だ。
「そうなんだ。勉強になったよ。ありがとうね。」
「いえ・・・。」
「さて、グラーシュの作ってくれた美味しいご飯を頂きますか~。」
・・・
・・・・・
美味しい御飯に箸が進む。
「今日の予定は・・・朝から出発して、南の市街地に入りますか?」
グラーシュが、積極的に聞いて来た。
罪悪感から取り繕おうとしてるのかな?そんなことしなくてもいいのに。
「今日は、この森林公園の管理人に会って、要らない木材を分けて貰おうかなって思ってる。」
「分かりました。」
「いや、作業は俺とアルディでやろうと思ってる。」
「えー?私は何を?」
「グラーシュはオフだよ。自由に1日使っていいよ。」
って・・・グラーシュ、もうスキル取得しちゃったんだったね。
「それなら、ルラン様のお手伝いします!」
ははは、そう来たか。
それはオフになってないよ。
って言うと、悲しむんだろうな。
「ありがとう、助かるよ。」
「はい。」
こういう時は素直に感謝するのが一番だ。
代休を用意しよう。
「では、昼食後は管理人に、お手伝いの申し出と、2泊目の予約をしに行くよ。お手伝いがOKとなったらそのままお手伝いするから。」
「はい。」
「御意。」
・・・
・・・・・
コテージを出て、少し歩くと管理人棟が見えてきた。
「管理人さーん。おはようございまーす。」
「はーい。」
返事と共に管理人さんが出てきた。
「朝早くにすみません。早速ですが、ちょっと提案がございまして・・・」
「提案・・・ですか?」
「私たちで間伐のお手伝いをしようかなと思いまして。」
「え?やってくれるんですか!」
「はい。」
「いや~、助かります。森林の管理と言っても、どうしても手のかからない事、成果が分かり易い事にばかり取り組んでしまって・・・。」
ははは、そうでしょうね。
分かるわ~。
どこも、すぐに済む仕事や、やったことが見て分かる仕事が先に処理されるもんですよ。
「間伐は、切るのも大仕事だし、切った木を処理するのも大変で、ついつい後回しになってしまうんですよね。」
「宜しければ、管理人さんが指定した木だけを切りますし、切り倒した木は私が頂いてもよろしいでしょうか。」
「おぉ!それは、ありがたい。」
・・・
「ん-。」
管理人さんが眉をひそめている。
「どうしました?」
「すみませんが、私がやったことにしてもいいですか?」
「宜しければ訳を教えてもらえますか?」
「外部に業務を委託すると、報告書がややこしくて・・・。」
「ははは、そういうことですか。全然かまいませんよ。そうしたら、作業中は周囲に人が居ないことも確認しながら行いますね。」
「ありがとうございます。」
「いえいえ。」