第4話 宝の持ち腐れ
仕方ないから、ソファーで寝た。
・・・
「ただいまー」
本日2度目の白と黒の世界。
「あなた、グラーシュには、ほんっっ・・・と、弱いわね!」
「スキルが最強でも、お前さんは最強じゃないわ。」
もう何とでも言ってください。
「街中を丸腰で歩くし、グラーシュに取り乱すし・・・」
「武器をあるのに、丸腰で出歩くってのは良くないのう。どんな環境で育ったんじゃ、まったく!」
う、その話があった・・・。
「もうちょっとシミュレーションが必要なのかしら。シミュレーションで、ボッコボコにしないと・・・」
「ダメじゃろ。今までを振り返ってみると、今回みたいに、実体験が無いと学習しないタイプだと思うぞ。」
「それって、筋金入りの平和ボケってことかしら。」
「がはは、そうじゃな。ちゃんとした平和ボケじゃ。」
「ちゃんとした平和ボケって何よ。」
言われたい放題だな・・・。
でも、こんな・・・本番に直面しないと動かないスタイルになったの、いつからだろう。
会社勤め前は、こんなんじゃなかったような・・・。
働き始めて上申をする度に、「目の前のことをやれ!」「起きてもいないこと考えても仕方ない!」って散々言われたからかな?
自分らしくあろうとしても、どうしたって、環境が人を育てたり、捻じ曲げたりしちゃうんだよな~。
気合を入れて悪しき習慣に、抵抗していても、居心地悪くなるだけだし・・・。
すぐに別の居場所に移れるならいいんだけど。
そんなこと、不景気の続く日本で、なかなかできないし・・・。
俺の入った会社で、「大人になる」ってことはそういう事だったのかもしれない。
それに、平和ボケの点は、生まれてこの方、他国に類を見ない安全で“平和”な日本で生まれ育ったわけだから無理もないよね~。
まぁ、でも、大切なのかこれから!気持ちを切り替えて・・・・
「ちょっとー、聞いてるの!?」
「はいっ、すいません!以後はこんな感じで、コンパクトハンドガンだけは出し入れします。」
そう言って、ローブの裾から手品のように、出し入れして見せた。
「よろしい!」
「で、ローブを着てない時は、どうするつもり?」
先生とおじいさんの視界が遮られた背中に手を回して出して見せた。
「これでどうですか?」
「まぁ、いいじゃろ。」
「そしたら、ダガーはどうするの?ダガーも裾から出し入れするの?」
「ダガーは常に携帯します。その方が丸腰じゃないアピールができて、襲われ難いでしょうから。」
「・・・」
「ダメですか?」
「とりあえず、それでいいんじゃない。」
怒られなかったから、良いかな。
「それと、闇の粒子で召喚するのは、どこでやるつもり?」
「何処って・・・まだ決めてないですけど。真っ暗な深夜にやれば、誰にも見られずにできますよね?」
「闇の粒子は足りている?」
「足りると思うんですけど、この辺でちょっと人と馬の両方の分、集めておこうかなって思います。」
「武具と馬具の分は?」
「闇の粒子で武具と馬具の成形もできますよね?」
「そのくらい、簡単な事よ。当然、できるわ。」
「あー!」
突然、おじいさんが騒ぎ出した!
「どうしたんですか?」
「闇の粒子で成形したら・・・」
「☆をあげようと思ってるわ。」
そういうことか。
「召喚と成形で、☆2つリードね。」
「―――――!!」
おじいさんが声にならない声を上げている。
まったく・・・何を張り合ってるんだ、この二人は・・・。