第2話 風呂上がりのリスク
流石に、「お背中流しに参りました」は無かった。
俺が先にご飯食べ終わって、グラーシュは片付けをいていたようだったし・・・当然だよね。
体を洗い、湯舟に浸かり、脱衣所に戻ると俺の服は無かった。
仕方なく、バスタオルを腰に巻いて出ていくと、グラーシュが俺の服を持っていた。
「ちょ、それ!」
「あ、これ、洗っておきますね!」
「お・・・、おぅ。」
自室に戻って替えの服を探した。
しかし、無い。
ゲートの中の荷物にあるか、自分の中に意識を探ってみるものの、無い。
慌ててグラーシュを探して、声を掛けた。
「替えの服は・・・」
「いっしょに洗ってます。」
・・・ってことは、今夜はこのバスタオル一枚で寝なきゃだね。
仕方ない!
「あ、そうだ。グラーシュ、色々済んだら、俺の部屋に来てね。」
「え!?は・・・はい!」
・・・
・・・・・
コンコンコンッ。
俺の部屋のドアがノックされた。
「入っていいよ~。」
「失礼します。」
グラーシュが俺の部屋に入ってきた・・・
って、えー!?
なんでグラーシュまでバスタオル1枚なの!
恥ずかしそうな顔をしているが、躊躇なくこっちに近づいてくる。
鼓動が・・・ヤバい。
背が高いし、おっぱいがおっきいから、バスタオルの、上も下もギリギリだ。
上か?
下か?
どっちだ?どっちから出てくる?
じゃない!!!
「グラーシュ、ストッープ!」
「え?」
「ちょ・・・ちょっと待って!これよ、これ。これを渡したかったの!」
俺はゲートを開いて中から、昼間買ったスキル本“鑑定眼”を取り出した。
「あ!」
「はい、どうぞ。頑張ってね。」
「ありがとうございます。」
受け取ろうと手が伸びてくる。
もう一方の手でバスタオルを抑えている。
ちょ・・・色っぺぇ・・・。
「ルラン様?」
「は、はい!」
上擦った俺の声にクスクスとグラーシュが笑った。
「なになに?」
「ここで、読んでもいいですか?」
・・・
その格好で、ここで?・・・んなこと、ダメだろ!
グラーシュは読んでいるだけでも、俺は、どうかなってしまうわ。
グラーシュをチラッと見た。
引いてくれそうにない。
鼓動が次第に大きくなって、ヤバい、これ以上は卒倒するかも・・・。
でも、まぁ、ベッドの上で卒倒する分には、そのまま入眠ってだけか・・・。
その寝てるうちにグラーシュはスキル修得するわけだし・・・。
グラーシュにはスキルを修得してもらいたいし。
「わかったよ。好きにして。でも俺疲れてるから、先に寝るよ。」
「はい。」
ごめんね。
マジで、ドキドキがヤバいのよ。
俺、人じゃなくなったはずなのに・・・どうなってるんだ?
とにかく、グラーシュにそのままの恰好でいられると、ヤバい。
備え付けの余っている寝具の中からシーツを取り出して、グラーシュに渡した。
「冷えると良くないから使って。」
「はい。ありがとうございます。」
これで良し。
俺はベッドに入った。
・・・
見慣れた白と黒の空間に着く。
「ごめんなさい。まだ教えてもらいたい次のスキルが思い付いていないし、闇の粒子での召喚も試せていません。」
「それはいいわ。」
「そうじゃ、そんなことどうでもいいんじゃ。」
「どうでもいいって・・・。」
「そんなことより、グラーシュが呼んどるぞ!」
「え?」
「とにかく!起きなさい!」