第28話 ここの警察も
「記録の為に、ちょっと確認がありますので。」
あ・・・、そうだよね。
「まず、お名前は?」
「レウラント・リフィンスターです。」
「えーっと・・・住所は?」
「無いです。」
「え?」
「王都で生活したいと思って、2日前に王都に入ったばかりで、まだ宿泊施設巡りです。」
「あぁ、そうでしたか・・・。そうすると、IDカードを見せて欲しいんですけど、持ってないですよね?」
「IDカード?」
「そうです。」
「すみません・・・」
「分かりました。そうしましたら、どのような生活をこの王都で送ろうと思ったのですか。」
「まだ決めてないんですよ。自分が王都で何をして、役に立てるのか分からないので。」
「そうでしたか。」
「生活の仕方が何か関係するんですか?」
「厳密には、何で生計を立てるかに関係しますね。」
「・・・」
「例えば、農業に従事したいなら農業ギルドに登録することでIDカードを取得できます。他にも商業ギルド、工業ギルド、一般ギルドがあります。」
「なるほど~。魔物の討伐依頼とかはどのギルドになります?」
「一般ギルドですね。」
「分かりました。何屋になるか決めたらすぐにギルドで登録します。ご親切に、色々教えて下さりありがとうございました。失礼します。」
・・・
こんなことがあるなんて・・・。
王都内だからって全然安心できないじゃん。
常に、ダガーとハンドガンと仕込み杖は持ち歩くか。
どれも重さはほとんど無いんだから。
ってか、ハンドガンに関してはいっそ、普段はゲート内に入れておいて、緊急時にローブの袖から射出して握るようにするか。
おじいさんと先生お気に入りのガンアクションは無くなるけど、身の安全が最優先だ、仕方ない。
ダガーの携帯で、最低限の武器持ってますアピールは出来るし。
杖があれば遠距離対応も可能だから。
俺の知ってる古き良きロールプレイングゲームは、街中で魔物は出てこないんだけどな~。
・・・
ホテルの自室に到着した。
「ただいまー。」
既にグラーシュとアルディは用意を済ませていた。
今後に関わるから、散歩中の出来事を説明した。
想像していた通り、グラーシュからは丸腰で出て行ったことを怒られた。
自分だって丸腰で出歩く癖に・・・
あ、グラーシュは体が武器みたいなもんだから、良いのか・・・。
ってか、良かれと思ってやったことが悪いことになっちゃったときに、自分では猛省してても、関係者の数だけ怒られるんだよね~。
自分の猛省なんて、他人からは見えないから仕方ないんだけどさ。
手加減無いよな~。
もうさ、そこまでがテンプレって割り切るしかないんだけど。
つまり、今夜はおじいさんと先生からの説教もあるわけだ。
命取りになるような失敗は絶対に回避しなければならないし、失敗は少ない方が良い。
でも、既に失敗後で、まだ生きてるっていうなら、如何に失敗と向き合うかってだけだわ。
で、今回の失敗から、俺は“丸腰はダメ”ってことを学び、対策も考えた。
しゃーない!
気持ち切り替えていきますか。