第24話 傷の治りを追究
「そうなんですけど・・・どういうことですか?」
「お前さんの付けた傷が、この世界ではすぐに治る類の傷だったんじゃ!」
「はい?」
ちょっとメチャクチャなこと言いだしてるよね?
「そんな・・・ホントですか?」
「じゃあ、お前さんはグラーシュに同じ傷を付けて比較したんか?」
「え!」
「お前さんだけ回復が早かったなんて、グラーシュと比較しなきゃわからんじゃろ!」
「・・・」
「グラーシュの柔肌に傷付ける訳にもいかないわよね~。」
「・・・」
なんか今、“諦めたらそこで試合終了ですよ”って言われた気がする!
まだだ、まだ終わらんよ!
「でも、ハイポーションを掛けても掛けなくても同じスピードでした!」
「分かり易く言うなら、ダメージ1の回復は、自然治癒力とハイポーションで、変わりゃせん。」
「あんなに痛くてダメージ1ですか?」
「ダメージ量の話なんかしとらんわ!」
くーっ。なんだ、この敗北感は・・・。
絶対に何かを隠してる!
・・・
上司にいくら掛け合っても、話を聞いてくれないときのことを思い出したわ。
教える気になってないもん。
こういう時ってどうにもならないんだよな~。
自分から敢えて御機嫌を取る必要はないけど・・・。
機嫌のいい時に聞くのと、悪い時に聞くのでは、全然違う。
おじいさんはおじいさんで、属性鑑定球を使ったことと、属性鑑定球自体にご機嫌斜めっぽいし。
先生は・・・
あ!
「先生!ちょっといいですか!」
「ん~?」
「もう1人召喚したいんですけど。」
「すればいいじゃない。」
「いやいや、そうじゃなくて。」
「何よ?」
「今度は、闇の粒子だけで、召喚してみたいな~って、できます?」
「できるわよ。」
「念じたらいいだけ・・・ですよね?」
「ええ、そうよ。」
「了解です。」
「ちょっと待って、分かってると思うけど!」
「闇の粒子は自分の中から出して召喚ですよね?」
「そう。くれぐれも不足分は周囲から集めようとしないで!いっそ、召喚に使う量以上を用意して、召喚後に余りを回収するイメージでやってね。」
「はい!」
「これ出来たら?」
「【黒き理】☆6よ」
「よーし。がんばるぞー!」
「ちょっと待ったー!」
おじいさんが急に声を上げて、話に入ってきた。
「どうしました?」
「儂からも何か教わりたいじゃろ?」
「え?」
もしかして【黒き理】の☆が先行するの嫌・・・とか?
「別にないですよ。」
「無いってことは無いじゃろ~。」
「そしたらさっきの傷の・・・」
「その話は終わったじゃろ!」
「えー!」
「それにその話は【白き理】だけの話じゃない!」
・・・
ん?
やっぱり、気になるんだな、【黒き理】の先行が・・・。