第21話 王都の地図
こっちも、簡略さは、シーデリア国全体の物と同じだ。
全体の構造が分かればいいと思って買ったから、文句はないけど。
王都は、真東から王都中心を通過し、真西に抜けている川と、基本的にきれいな碁盤の目状に道路が走っている分かり易い構造だ。
道を間違えてもすぐに戻れそうで良いね。
・・・ん?
こんな作りになっているってのは・・・今までの都市の反省を踏まえて、新しく作られた都市なのか
もともとは王都が別のところにあったけど、何かがあって、この地に改めて計画的に都市を作ったとか・・・。
あるいは、この地に王都があったけど、例えば、何か大きな戦争?があったりして、真っ新になったから、改めて計画的に都市を作ったという事も考えられる。
この辺は、歴史ものが充実している図書館とかで調べる必要がありそうだ。
王都の市街地は、他の部分と色分けされていて、東・西・南・北と中央の5か所だ。
特に、中央市街地は一部別の色が塗られている。
「ここは、公的なエリアってことかな?」
グラーシュは首をかしげて、分からない様子だった。
「ちょっと見に行こうか?」
「でも、ルラン様、ここ。」
グラーシュの指の先には“関所”の様なものがあった。
場所は、今居るであろう、東の市街地と中央の市街地の間。
何やら、中央から東への矢印が付いてる。
地図の端にある記号の解説を見ると、一方通行の矢印だった。
「これって、中央から東に出ることはできるけど、東から中央には入れないって事か。」
「北周りで、中央に行くか、南回りで中央に行くかのどちらかですね。」
「うーん。」
ここまできれいに碁盤の目状に道路を張り巡らせて、東西南北がバランスよく発展していると、北回りと南回りでどっちがいいかなんて決めれない。
「こればっかりは、勘だね。・・・何の根拠もないけど、南回りにしよう。」
「はい。」
「御意。」
「それと・・・、この王都に生活拠点を構えて生計を立てようと思います。ただし、どんなことをして生計を立てるかは決めていません。」
「決めていないというか、決めるだけの情報を持っていません。だから、最初に生計の立て方に関する情報収集を行います。」
「・・・」
「さて、その生計に大きく関わる、本日のメインイベントにうつります。」
「・・・」
「グラーシュ!」
「はい!」
驚いた様子でグラーシュがこちらを向いた。
「なんで“鑑定眼”、欲しいのか教えて。」
「え・・・?」
あ、質問が緩すぎたかな・・・。
「オホンッ、なぜ、グラーシュさんは、“鑑定眼”を身に付けたいと思ったのですか?」
「それは・・・。」
「それは?」