第19話 ポーションの効能
次はポーションだな。
で、ポーションを試すとなると、傷が必要になる。
誰で試すか・・・ってなるけど。
まず第一に、グラーシュを傷つけることは、俺にはできん。
ほぼ完ぺきな美人なのよ。
無理だね。
仮にグラーシュが美男子でも同じだ。
敢えて傷つける必要は無い!。
それに、グラーシュは土属性を持っている。
つまり、マナを持っているわけだ。
ハイポーションはもとより、ローポーションも効果があるはずだ。
分かっているなら試す必要は無い。
次は、アルディかな。
アルディは俺の召喚に応じた存在だけど・・・
何で俺が召喚しといて、俺がが傷つけねばならんのだ。
それじゃ、マッドドクターじゃないか。
それに、召喚しておいて、「自傷行為をせよ」ってのもふざけた話だ。
・・・
となると、被験者は、俺か。
以前、アルディは以前、スキルを試す際に、俺への攻撃を拒否したことがあるから、無理はさせれない。
グラーシュにぶん殴られるってのは、自分の中で、別の何かが始まりそうで怖い。
多分、始まらないと思うけど。
俺はそっちの気が無いから。
でも、人間ってのは、分からないもんだからね。
美人にされたら始まっちゃうかも・・・。
じゃない!
俺が手持ちのダガーで自傷してみるしかないか・・・。
「次はポーションを試すよ。試し方は簡単で、俺が自分の指先を自分で切って、ハイポーションを掛けます。」
「はい。」
「御意。」
気合を入れて・・よしっ!
サクッ
・・・
痛くなって来たー!
よく切れるダガーだから切れた瞬間は、あまり痛みを感じなかったけど、指先は神経が集中しているから、思っているよりも痛いよね。
・・・
え?
血・・・、出んやん・・・
ん?
浅かったかな?
ダガーを置いて、自分で切り口を広げて見たが、そんなに浅くも無いような気がする。
でもまぁ、念のためもう一か所。
・・・
痛っ!
今度は、ついつい深く切ってしまった。
が、血が出ない。
「ルラン様!これ!早く!」
動揺したグラーシュがハイポーションを持ってきた。
「あ、ありがとう」
早速、掛けてみる。
時間が経つにつれ、治った。
「良かった~。」
となりでグラーシュが胸をなでおろしている。
しかし、俺には違和感が残っている。
気のせいかもしれないが、ハイポーションで治ったように思えなかった。
「ごめん、もう一度やるね。」
グラーシュは驚いている様子だったが、お構いなしに、別の指をちょこっと切ってみた。
「痛!」
俺の声を聞いて、グラーシュがすかさずハイポーションを掛けようとする。
「ちょっと待った!」
グラーシュを制止して、様子を見る。
傷は・・・徐々に回復している。
どういうことだ?
・・・
ん-、考えても、知らない事と、自分の知識を組み合わせて分からない物は、考えても正解は分からない。
仕事をするようになって良く分かった事だ。
学生時代は、先生に「そこまでー!」って止められることが多かったから、あまり、自分で切り替える事はしなかったけど。
本質的には、自分で考えて、今後の対応を判断しなきゃいけないんだよな。
多分、おじいさんか先生に聞けばわかる事だろう。
今夜のお楽しみに取っておこう。
ってことで、考えるのは止め!
っていうのと・・・。
「ポーションは全てグラーシュに使います。」
「はい?」
「それと、俺とアルディはハイポーションを2本ずつ携帯します。それ以外のハイポーションとローポーションはすべてグラーシュが携帯してください。」
「ちょっと待ってください!」
「はい、グラーシュ!」
「何故ですか?何故、私に使うんですか?」
「ん-、多分、俺とアルディにはポーションが利かないんだわ。」
「え?さっき、治りましたよ。」
「いや、掛けなくても治ったでしょ?」
「はい・・・。」
「多分、大丈夫だから。それに、今後、俺に効果があると確認出来たら、俺も遠慮なく使うから。」
「はい。」
「ただね、ポーションもそれなりのお値段だったから、効果が確認できないのに使うの、勿体ないじゃん。」
「・・・」
「だから、今のところはグラーシュ専用にするってことだよ。いい?」
「分かりました。」
目の前で1回死んでいる男が、「多分、大丈夫」って言っても説得力無いよね。
さて残るは、解毒薬と地図だ。
解毒薬は、試せないから、次は地図!