第10話 王都中心へ移動開始
「本日は、王都中心に向けて進行します。本日は移動だけの予定です。」
「はい。」
「御意。」
「ただし、道中で武具屋や道具屋があったら立ち寄りますのでね。」
「それでしたら、私のブーツを作った鍛冶屋さんに寄りたいです。」
「お!イイね!グラーシュ、何処にあるか分かる?」
「分かりません・・・。」
おいおい、マジか。
でも、レーゼン侯爵城に出入りできるくらいだから、名の知れた鍛冶屋なんだろう。
「きっと王都の中心部近くじゃないかな。」
「そうかもしれません・・・。」
「大丈夫、きっと見つかるよ。」
「はい。」
「では、しゅっぱーつ!」
・・・
・・・・・
王都と言っても、この辺はまだ郊外だから、住宅もあるが、田畑も広がっている。
のどかなものだ。
日本の田舎とあまり変わらないな~。
これを王都に含めて考えていいのか?
王都圏っていう方がしっくりくる。
敢えて王都に含めているのは、何か訳があるんだろう。
それにしても、王都が予想以上に大きくてびっくりした。
自分の思い込みを排除して、きちんと王都を把握するためにも、まずは地図が欲しい。
・・・
進むうちに、住宅や商業施設の固まった“市街地”に入った。
市街地と言っても、建物が木造家屋だから、非常にレトロな印象を受ける。
まだ明るいから進んでおきたいような気もするが、土地勘のない俺らとしては、ここらでまずは地図をゲットしたいかな。
・・・
「万屋」の看板が見えた。
分かり易くて良い看板だ。
万屋っていう位だから地図も取り扱われているだろう。
「私は外で待っています。」
アルディが店の前で、3頭の馬の世話も兼ねて待機を申し出た。
確かに、ここで馬を1頭でも盗まれたら大変だ。
「悪いね。でも、アルディも武器欲しいでしょ?弓とか。」
「はい。」
「だったら、交代にしよう。俺とグラーシュが戻ってきたら、見に行けばいいよ。」
「御意。」
アルディが居て助かった。
・・・
「いらっしゃいませー」
店番の女の子の元気な挨拶が心地よい。
やっぱり挨拶って大切だよね~。
でも、知らない人に大きな声で気持ちの良い挨拶するって、なかなか難しいんだよな~。
この店員さんは、素晴らしい。
店内を見渡すと、武器から防具、道具まで、万屋の名前に恥じない見事な品揃えだった。
「王都の地図が欲しいんだけど。」
「ありますよ。どんな地図が良いですか?」
「王都全体と、この国全体の分かる地図ありますか。」
「もちろんございます。一枚ずつでよろしいでしょうか。」
「えぇ。それでお願いします。」
「合せて10,000Yです。契約税もあわせて、12,000Yです。」
そうだった、王都は入るのに料金は要らないが、この王都に居る間は契約をするたびに契約税がかかるんだった。
しかも、20%も。
王都での商売って大変そうだ。
苦労しているんだろうな~。
いかんいかん、買い物に集中せねば・・・。
「それから、旅に使える道具・・・解毒薬とか・・・」
「ありますよ。」
「じゃ、それもお願いします。数は10本で。」
ゴブリンの奇襲で毒の存在を教えられたから、忘れずに!っと。
「あわせて、回復薬の“ポーション”はいかがですか?」
おぉぉ、ポーション!
なんか異世界っぽくなってきたー!