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転生しても”はぐれもの”  作者: C-HAWK
第3章 王都
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第7話 ダガーの見直し

おじいさんは、すぐにフクロウを呼び寄せてモフり始めた。


もうモフモフ中毒患者なんじゃないか。


モフモフが素敵な時間なことは、よくわかるのだが・・・。


おじいさんの過去に何かあったんじゃないかと、勘ぐってしまうほどだ。


一方で、先生も・・・


ん?


先生はさっきのお楽しみで十分だったのか、蛇とじゃれる様子が無い。


「どうしました?」


「あなた、ダガーの確認はしなくていいの?」


そう言われてみれば、まだ俺はこれを振るった事が無い。


よく切れて便利と、グラーシュとアルディから聞いてはいるけど・・・。


「そうですね。いい機会だから試しておきます。」




俺のナイフは光の粒子製のダガーで、刃渡りは20cmの両刃タイプ、片手で振るタイプだ。


とりあえず試し切りからかな。


目の前にストックしていた木材を用意して、切りかかってみた。


木材の節目なんて関係なく、抵抗も感じることなく、一刀両断に出来た。


これを、あの二人は“よく切れる”の一言で済ませていたのか・・・。


「よく切れるわね。」


先生が一言ぽつりとつぶやいた。


ここにも、居たわ。


「これでいいの?」


「え?いいんじゃないですか?」


「切れ味の話じゃないわよ。」


「何の話ですか?」


「刃渡りよ。」


「どういうことですか?」


「刃渡りが20cmなら、相手の考えるあなたの間合いは、いいところ、手を伸ばして半径1mくらいかしら。」


「・・・」


「踏み込みもあわせて2mくらいね。」


「そのくらいですね。」


「あなたがそれを抜いて切り付けるときは、必殺の時よね。」


「そうですね。」


「つまり、必殺で踏み込む場所は、相手の射程である可能性が非常に高いわ。例えば、あなたの相手がサーベルを持っていたら、どうかしら。」


「!?」


「あなたが必殺のつもりで切りかかるとき、同時に自分も必殺される場所に身を置くことになるわ。」


「・・・」


「武人としては良い覚悟かもしれないけれど、あなたって・・・とても武人には見えないのよね。」


「ははは。ご心配ありがとうございます。確かにおっしゃる通りです。」


改めて、ダガーを手に取り・・・


そっか、これ、俺が光の粒子で成形した武器だ。


しかも、念ずるだけで成形ができる。


それなら・・・。


「これでどうでしょう。」


3メートル離れた場所に木材を出現させて、ダガーで横切りをする。


このままでは届かないが、切る際に刃渡り3メートルをイメージする。


ブンッ!


俺を中心に半径3メートルの斬撃が生れ、木材を一刀両断にした。


「凄いじゃない!」


「いえ、まだです。」


もう一回、同様の距離に木材を出現させる。


ブンッ!


今度は木材に当たる瞬間だけ刃渡りを3mにして、一刀両断にした直後に刃渡りを元の20cmに戻した。


「おぁ!それはイイわ、サイコーじゃない。」


確かに、これは使える。


「長さはどのくらいまで伸ばせるんだろう・・・。」


「私が知るわけないでしょ。」


そうだった、これは光の粒子で作ったダガーだ。


聞くなら、おじいさんだった。


それにしても、よく切れる。


どうしてこんなに切れるんだろう・・・。


「いろいろ気になることがあるようだから、そこのモフモフジジイに来てみたら?」


「おじいさん!」


「聞いとったわ。いくらでも行けるぞ、お前さんの持っている光の粒子の分だけ。」


「足りない分を周囲から回収しながら伸ばすのは出来ますか?」


「できるじゃろうが、周囲が暗くなるという点と、伸ばすのにタイムラグが生まれるかもしれんぞ。」


「一瞬を争う状況で、タイムラグは痛いですね。」


「そうじゃな。まぁ、多分・・・」


「では、明日の朝、たっぷり光の粒子を回収しておきます。」


「たっぷり?」


「ちょっとぐらいこのホテルの周辺の夜明けが遅くても、違和感はないでしょ?」


「がはは、武器を得て、なんだか逞しくなったような気がするな。」


「おじいさん、ありがとうございます。」


「ちょっとぉ、ダガーの試験もって言ったの、私なんですけど。」


「そうでした。先生も、ありがとうございます。」


「どういたしまして。・・・そうだ。私の蛇も遊んであげてよ。」


この流れでは、蛇は触り慣れていないからって断れない・・・


仕方ない。


「そうですね。では、ちょっとよろしいですか。」


すると、先生の右脇から蛇が顔を出して、先生の体を這い始めた。


蛇なんて触ったこと無い。


巻き着かれて、噛まれるんじゃないか?


恐る恐る手を伸ばして、蛇の体に触れてみる。


ん?


蛇って意外と柔らかいんだな。


ムニムニじゃないか!


ムニムニ・・・


ムニムニ・・・


案外と好きになれそうだ。


それに、変温動物って聞いていたけど、割と温かいんだね。


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