第4話 王都に入って初説教 その3
「こういう事ですか?」
俺は光の粒子でライフルを念じた。
次の瞬間、手元にライフルが出来上がる。
それを前方に向けた。
そのライフルの銃身の中で、生成してある矢の軸を、加減したエネルギーで加速させ、パイプの先から発射して見せた。
木の棒が飛び、看板に着弾した。
これなら、ゲートはパイプの中で開くから誰からも見られない。
後は、飛んでいくものを工夫するだけだ。
「いいじゃない!もうちょっとブラッシュアップの必要はあるけど。」
先生が褒めてくれた。
「それは、それで遠距離攻撃用にブラッシュアップするとして、近距離戦はどうするんじゃ?」
「え?」
「そのパイプは長すぎて、取り回しが悪い。」
・・・
「それなら、これはどうですか・・・」
アクション映画の超近距離戦で使用するようなポケットに収まるサイズの“コンパクトハンドガン”をイメージした。
右手のひらに姿を現した銃を、コッキングして、看板向けて、発射!
弾薬が爆発して、弾丸にエネルギーを与えるの異なり、ゲートの中でエネルギーを加えられた弾丸が銃口の奥から射出されるので、発射音はしなかった。
イメージ通り木製の弾丸は発射されたが、惜しくも看板に当たらなかった。
銃を持った右手でローブの裾を払いのけながら、そのまま尻の上あたりのベルトに引っ掛けるように納めた。
「がはは!イイ!凄くイイ!」
「ほんとですか?」
「えぇ。どうみても、あなたが凄いんじゃなくて、道具が凄いようにカムフラージュ出来てるわ。」
「どう見ても、道具が凄い・・・、ちょっと凹みますね。」
「それくらいでちょうどいいんじゃ!どうせ、お前さんの凄さなんて他人にはわかりゃせん。」
「看板に当たらなかったのは、練習します。」
「なんでじゃ?発射前に、発射口から光の粒子を直線に並べて当てたい場所を照射してから発射すれば、どうじゃ?」
「おぉ!それイイですね。」
「ひひひ、そうじゃろ~」
「でも、遠くなると、着弾まで時間がかかるから、重力の影響を受けて思った場所よりも下に当たるから注意しなさいよ。」
「了解です。弾速も上げてみようかな。」
「あまり弾速を上げると、“音”が生まれるんじゃないかしら?」
「あ、そうですね。この銃は近距離用なので、消音を重視で調整します。長距離用の物は弾速高めで調整します。」
ダガーとコンパクトハンドガンによる近距離戦闘(CQB)と、長距離狙撃・・・。
おじいさんと先生のおかげで、俺の戦い方も少しずつ形になってきた。感謝感謝。
「ちょっと一休みしましょ。」
「そうじゃな。」
そういうと、おじいさんはフクロウを呼び、モフり始めた。
い~な~。
先生も蛇を体に這わせて、何やらお楽しみの様子だ。
是非、御呼ばれされたい・・・。
でも、先生の方に御呼ばれされると、アレがアレだし・・・。
それに、猫を飼ったことのある俺としては、モフモフに興味がある。
「おじいさん、ちょっと、俺もモフらせてもらっていいですか。」