第3話 王都に入って初説教 その2
今度は指の先のゲートを小さく絞って、そのサイズの弾丸をイメージして・・・。
看板の“王”と“都”の間を狙って・・・
「発射!」
・・・
ん?
発射できたのか?
手応えのようなものはあったが・・・。
探知用の光の粒子を飛ばして確認する。
一応、“王”と“都”の間に穴が開いている。
え?この距離で、音もたてずに、刹那の間に着弾したの?
・・・
どうしよう・・・混乱してきた。
「加減してみたようね。」
「はい。」
「それで・・・、分かってもらえそうかしら?」
「ん-、やった本人がよくわかっていませんからね。周りで見た人には無理でしょうね。」
「どのくらいの威力ならよさそうじゃ?」
「この世界の魔法や科学の範囲でしょうか。」
「うむ、察しが良いな。ひとまず、威力の上限はその辺が参考になりそうじゃな。」
でも、その“この世界の魔法や科学”を分かってないから困っちゃうんだよな~。
「カムフラージュの方法は?」
「同じく、理解を得られる範囲というと・・・この世界の魔法や科学・・・“常識”の範囲ですかね。」
「そうね。」
「で、それは、どうしたらわかる?」
「情報収集ですね。」
「じゃな。生計を立てる方が気になるかもしれんが、幸いにも、お前さんが持っているおカネは、かなりの額のようじゃな。
「そうっぽいですね。」
「つまり、当面の間は、稼がんで、情報収集に集中しても良さそうじゃ。」
「そうなんですけど・・・。」
「やっぱり気になるか・・・。生計をどうしてもすぐに立てたいなら、儂に良い考えがある。」
「なんですか?」
「アルディにでも頼んでできる範囲の事をさせたらどうじゃ。アルディはお前さんの召喚に応じて、ここに居る訳だし。」
「あぁ、その手がありましたね。」
「それに、王都に居る限り、ゴブリンの奇襲は受けんじゃろ。」
「確かに。」
アルディでも出来る仕事を探さなければ。
「話が脱線してるわ。」
「すまんすまん、それと、気になったんじゃが・・・」
「何ですか?」
「お前さんはエネルギーそのものの放出が、どーーーしても、したいんか?」
「・・・」
そりゃあ、まぁ、か○は○波や霊○は、俺の小さい時からの憧れで、いつかやってみたいってどんだけ願ったことか・・・
でもそれは夢のまた夢と分かり、諦めた、現世では。
その諦めた夢が、今ならできるとわかったら・・・そりゃ、やりたいでしょうよ!
なんて言ったって、小さい時の悲願よ!
・・・
でも、カムフラージュが思い付かないうちは、保留するしかない・・・。
「威力調節とカムフラージュが済むまで、力の行使ができないとなると、お前さんにできることは何が残ってる?」
「・・・」
「武器成形により手元にあるダガーを振るう位じゃろ。」
「襲われても、左手の闇の粒子と右手の光の粒子があります。」
「左手で闇の粒子を使うのも、カムフラージュしなきゃでしょ!」
「そんな!?」
「わかったか?今のままでは、お前さんにできることが少なすぎる。」
「はい・・・。」
「そこでじゃ」
「・・・」
「エネルギーを何かに加える方が、分かり易いんじゃないか。」
「エネルギーの放出は?」
「一旦保留じゃ。」
「やっぱりそうですよね。」
「ゴブリン戦を思い出せ!」
ゴブリン戦・・・遠距離から毒矢を浴びた・・・。
そうか!