第38話 ニュームス
なーんか、裏がありそうな気がするな~
でも、グラーシュは知らないっぽいから、追求はやめとこう。
王都で調べたいことが増えちゃったな。
・・・
「で、通常版は、どんなんなの?」
「通常版は、個人用だけみたいで、開くとイメージや情報が頭にダイレクトに入ってくるみたいです。最新の情報がすぐに把握できるので、喜ばれているとか。」
通常版・・・、こわっ。
でも、喜ばれているという事は、この世界の住民は、頭に直接情報が入ってくることに慣れているのか・・・。
それか、発行元の努力とかで、このニュームスに慣れざるを得なかったとか・・・。
「実は、ニュームス、私も見るのは初めてなんです。」
「え?城内で見ること無かったの?」
「メイドですから。」
無料配布版って侯爵城には届かなかったって事か。
商業施設にだけ無料配布しているとか・・・。
グラーシュと話しているうちに、映像が終わってしまった。
いけね。せっかく、転生先のニュースとやらを見るチャンスだったのに。
改めてニュームスプレミアム版に目を落すと、文字が消えていた。
只のA3サイズの書類になってしまった。
残っている文字は・・・記事の内容じゃないな。
“Publisher:KNK”
これは発行元の表記かな?
KNK・・・カンタ・ニュームス・協会?
まさかね。
「これ、見れるの1回だけかな?」
「みたいですね・・・。」
・・・
「もしかして・・・通常版も持ってる?」
「ありますよ。」
グラーシュが、スッともう一本のニュームスを出してきた。
「さすが、グラーシュ!」
「えへへ。」
か・・・可愛いな・・・。
じゃなくて。
ニュームス、ニュームス。
早速、開いてみた。
プレミアム版と同じように、書かれている文字が光り出す。
「おー!」
頭の中に映像が・・・。
「あれ?」
入ってこない・・・。
話が違うような・・・。
紙面に目を落すと、文字が消えている。
「どうでした?」
グラーシュが興味津々に俺の顔を覗き込んでくる。
「それが・・・どうもこうも・・・。」
「え?」
「何も頭に入ってこなかったよ。」
「でも、光ってましたよ、文字。」
「確かに光ってたね。ん-、何だろうね。」
「なんでしょう・・・」
「不良品・・・だったのかな。」
・・・
「他にも持ってる?」
「いえ、それで最後です。ごめんなさい。」
「いや。なんか悪いことしちゃったな。・・・ごめんね。」
「・・・」
「でも、いい勉強になったよ。ありがとうね。」
ニュームスかー。
魔法が凄い重宝されているんかな。
何魔法なんだろう。
どうであれ、魔法が生活の一部になっていて、異世界っぽい!
転生してからこっち、ラゴイル対応に振り回されていた気がするけど。
それもさっき終わった。
ここから、改めて、俺の冒険だ。
なんかコーフンしてキター!