第32話 美味しい料理の行き着く先
お酒、焼き物、漬物、鍋・・・。
サイコーです。
運び込まれる順に食べたくなるが、アルディがまだ風呂だから、我慢我慢。
しかし、何かを察したのか、アルディが急いで出てきた。
タイミングよく配膳が終わった。
久しぶりに、畳に座って落ち着いて食べる感じも、和食も、良い。
「それでは、いただきまーす。」
この集落は内陸だから、この白身の焼き魚はどこで取れた奴だろう。
漬物も、彩りが考えられていて、見栄えが良い。
鍋もやや薄味だが、これはこれで染み渡るわ~。
“接待上手のカンタ”・・・その表現、分かるような気がする。
別に、高級旅館を選んだ訳ではないのに、これだもん。
お酒も日本酒に近い味がする。
日本酒は、「旨い、旨い」ってついつい飲んじゃうんだよね~。
で、気分良くなって飲んでいると、腰が立たなくなって、立ち上がれなくなって・・・。
気が付くとベロンベロンに酔っぱらっちゃうんだよね~。
日本酒、おいしいよね~。
俺は、酒に弱い方じゃないから、4合瓶を1本呑んでも大丈夫だけど、明日もあるから、一口だけにしておこう。
「ルぅ、ラぁ、ン、様~。」
聞きなれない感じに嫌な予感がして振り向くと、赤ら顔のグラーシュが、くねくねと四つん這いで近づいてくる。
開いた浴衣の胸元から・・・
谷間が・・・
ぷるんぷるん・・・
じゃないっ!
グラーシュ、ベロンベロンやんけー!
「ちょ、おまえ、飲み過ぎたなー!」
出された料理に夢中になっていて、グラーシュの事を見てなかった。
日頃ちゃんとしてるから、2人のことを放置して和食を堪能してしまった。
グラーシュの向こう側に、酒瓶が何本も転がってる。
流石、接待上手のカンタの宿!
酒は切らさないように沢山用意されていたのか。
「ねぇ、ねぇ・・・聞いてるぅ~?」
対応に困っているうちに、抱きつかれてしまった。
はだけた浴衣に、美人の赤く染まった素肌・・・。
目が・・目がー。
柔らかくて温かい、心地良いムニムニの感触が、次から次へと俺を襲う。
やばい、この浴衣、薄いし、浴衣の下、何も着てないじゃん!
あ、ヤバい・・・。
力が強くて引き離せない。
ヤバいー。
死にぞこないの体と違って、実に素直に体が反応して、どうにも興奮が止まらない・・・。
俺の体、人間じゃなくなったんじゃなかったのかよ!
「アルディー!」
ダメだ。
見て見ぬふりだ。
なんでだよ。
もしかして、俺が喜んでるようにしか見えてないのか?
ヤバい・・・
頭頂部まで、心臓の鼓動が響く。
自制心と興奮の狭間で・・・
頭が・・・
おかしく・・・なりそうだ・・・・