第27話 クヌギの公園
“集落で一番大きな建物”って目印は、分かり易くて良いなぁ。
馬上からの視線は高いから、建物を見失わずに到着できた。
建物正面から真っすぐ東に大通りがあり、その両脇はクヌギの木が並木になっている。
建物の裏手には、大きな公園が広がっていた。
「これが中央公園か。」
公園は、クヌギの木が群生し、点々と存在する東屋では、ドングリを使って子どもたちが遊んでいるようだった。
地面はクヌギの落ち葉だらけ。
至る所でクヌギの葉を集めている。
公園の清掃員かな。
落ち葉の片づけをしているように見えるが・・・。
集めたクヌギの葉の行き先を見ると、子供たちが歓声を上げている。
よく見ると、枯れ葉がうずたかく積まれた山や、枯れ葉が敷き詰められたプールで遊んでいる。
ははは、ずいぶん楽しそうだ・・・。
妙な気配を感じて振り返ってみると・・・
ネロアがヘドバンしてる。
首が捥げるんじゃないかってくらい、頭を振ってる。
最高にハイになってるじゃない。
ネロアの視線の先には、枯れ葉の山とプール。
今すぐクヌギの枯れ葉の山に突っ込みそうだ。
「アルディ、ネロアが・・・」
「はい。」
「向こうで一緒に遊んであげて。」
「御意。」
・・・
見渡すと公園内を散歩しているカップルの姿もある。
クヌギの木の下で見上げると、雲一つない碧空に、綺麗に紅葉したクヌギが映える。
なるほど・・・楽しめるってのはこういうことか・・・。
転生してからこっち・・・
バタバタしてて、この世界を観光してなかったな~。
「ちょっと散歩しよっか。」
「はい。」
グラーシュは笑顔で返事をしてくれた。
・・・
公園をぐるっと一周した。
グラーシュのカンタやどんぐりの悪いイメージが少しは払拭できたかな。
馬に跨り、綺麗な女性と紅葉狩りが実現するなんて・・・、前世では想像もしていなかったな~。
アルディとネロアも帰ってきた。
ネロアは御満悦。
アルディも、リフレッシュできたみたいだ。
「さて、輸送業者、探しますかね~。」
そもそも、このデカい建物はなんなんだ?
ただ、あまりいい予感がしないんだよな~。
多分、お役所か、カンタの大富豪の邸宅か・・・。
どちらであっても、ここが接待上手のカンタ村って事も考えると、レーゼン侯爵に繋がるようにしか思えないんだよな~。
この建物を出入りしている人に、紹介された輸送業者に依頼したら・・・。
巡り巡って「何で、お前がラゴイル様の遺体を持ってるんだ!?」ってなるに決まってる。
「とりあえず、土産物店、特に土産用の家具を扱っている店とか、土産物用の家具職人を当たってみようと思う。」
「家具職人ですか?」
「買った家具は持ち帰るより、送らせるでしょ?」
「・・・」
「家具職人が自分で持ち込むことも有るだろうけど、大きい家具なら輸送する業者と繋がっていそうだし。」
「なるほど。」
アルディが納得してくれた。
「でも・・・」
「ん?何か気になる事ある?」
「・・・どうやって家具職人を探すんですか?」
グラーシュは納得の上で、質問してきた。
ひひひ、それはね~。