第24話 新しい体に
目が覚めた。
グラーシュは寝ている。
この時間はアルディが警戒に当たっていてくれたようだ。
「シーッ!」
アルディがこちらに気が付き、挨拶をするしぐさを見せたので静止した。
ちょっとすいませんね。
ラゴイルの顔で覗き込んで起こしたら、寝起きは最悪だろうから、物音を立てないように、そ~っと近づき、グラーシュの寝顔を拝見した。
寝顔も端整ですな~。
ちょっと御召し物がはだけてて・・・眼福至極に御座います。
ありがたや、ありがたや。
・・・
さて、始めますか。
既に体を組成する闇の粒子は集まっているが、闇の粒子を得るまでの作業を実践してみることにした。
まずは、野営地から少し離れる。
左手を足元の土にそっと置き、吸収を試みる。
握り拳くらいの土を吸収した。
次は、吸収した土から、闇の粒子の取得と、エネルギーの吸収をイメージする。
・・・
これでいいのかな。
体の中を探ってみた。
確かに、闇の粒子のストックの増加と・・・
は?・・・。
エネルギーのストックしていた量は半端じゃないから、今回のストックの増加率は大したことない。
しかし、今回得たエネルギーの量だって、凄い。
規格外だ。
ともあれ、実践完了。
これで、先生は☆追加してくれるかな。
・・・
仕切り直して、ここからが本番だ。
自分の体の中にある光の粒子と闇の粒子を捉える。
2つをまとめて・・・混ぜて・・・新しい自分の体をイメージする。
目の前に、小さな玉が現れた。
よく見ると白と黒のプラズマの固まりのようだ。
次第に大きくなっていく。
直径2メートルくらいの球体ができた。
その球の核が細胞分裂を始め、徐々に人の形になり、変化が安定した。
そろそろお引越しできるかな?
俺の魂が、おじいさんと先生、フクロウと蛇、今まで吸収したすべてのストックを抱きかかえて、新しい体に続く一本道を歩くのをイメージした。
イメージの中を歩きながら、ふと振り返ると、白と黒のプラズマの隙間から、ラゴイルの体が力無く膝から崩れ、倒れるのが見えた。
俺は、新しい体に着くなり、抱えていたものを開放するイメージをした。
すると、体の中に白い世界と黒い世界が広がった。
その世界の中心で、フクロウを肩に乗せたおじいさんと、蛇を体に巻いている先生がサムズアップしているイメージが脳裏に浮かんだ。
次第にプラズマが治まって、“お引越し”が無事に完了したようだ。
目を開けると、慌てた様子でこちらに駆け寄るグラーシュと、その後ろにアルディの姿が見えた。
・・・
俺に向かって構えるグラーシュ。
「貴様、ルラン様に何をしたー!」
え?
なんのこと?
遅れて到着したアルディは、俺の前で跪いた。
アルディは俺の光の粒子で召喚しているから、気が付いたみたいだ。
「え?」
アルディの姿に驚くグラーシュ。
「ルラン様、新しい体になったのですね。おめでとうございます。」
アルディが仰々しく挨拶をした。
「あ、うん。上手くいったみたい。」
「え?・・・どういうこと?・・・こっちで倒れているのはルラン様じゃないの?」
あー!
いけね、ラゴイルの体そのままだった!