第23話 新しい体の構造
「結論から言うと、新しい体の組成は、光の粒子と闇の粒子を半々使うけど、混ざり切ってしまうわけではないわ。」
は?
先生は何を言ってるんだ?
「どういう事ですか?」
「がはは、絵の具の白色と黒色を混ぜたらどうなる?」
「灰色になりますね。」
「そうじゃな。」
「でも、あなたの体は、グレー1色になるわけじゃないのよ。」
「そうじゃ。白は白、黒は黒、ものすごい細かいモザイク柄になるって感じじゃ。まぁ、遠くから見たらグレー1色かもしれんがな。」
ん?何が違うんだ?
「まだわからないみたいね。要するに、状況によっては体の芯を白に、体の表面側を黒にすることもできるって事!」
「そうか!!吸収が左手だけじゃなくなるって事ですか?」
「そう。」
「全身白にすれば?」
「まぁ・・・今はそれ・・・しない方が良いと思うぞ。」
む!
おじいさん、何か隠してるな?
でも、さっきの“爆発”と言い、マジでシャレにならんから、素直に今は全身白にすることは止めておこう。
おじいさんの事だからそのうち教えてくれるだろう・・・多分だけど。
頭を切り替えてぇ。
「先生、闇の粒子はストックすると何に使えますか」
「ストックするつもり?」
「利便性が高いなら、必要な範囲で。」
「なんか、怖いわね・・・」
「ダメですか?」
「あなたの言う“お引越し”が済むと、どうなるか、ちゃんと分かってる?」
「はい。」
「言ってごらんなさい。」
「光と闇の粒子で出来た新しい体に、私の魂と、おじいさんの光の粒子と先生の闇の粒子が入っている状態がベースになります。」
「そうよね。それなら、あなたの使える闇の粒子の総量は、ザックリいうと今の1.5倍になるのよ。まだ要るの?」
「例えば、なんですけど・・・」
「何よ・・・」
「闇の粒子の総量が増えると、闇の粒子を伸ばして、遠くにあるものも吸収したりできませんか?」
「・・・」
「闇の粒子のストックを用いて、自分と仲間を闇の粒子で包んで脅威を吸収するとか・・・」
「はいはい。」
「・・・」
「いいわよ。必要だと思う分だけストックしなさい。」
「はい。ありがとうございます。」
「その代わり、ちゃんと周りから不審がられないように素材を集めて、吸収後に闇の粒子に変換してね。」
「了解です!」
・・・
「まだ質問は、ある?」
「ちょっと、情報過多で、頭がパンッパンです。」
「じゃろうな。」
「目を覚ましたらやる事、覚えてる?」
「多分・・・大丈夫です。」
俺は仕事中は周りがドン引きするくらいのメモ魔だったから、転生してから、メモが取れない不便さに悩まされる。
そういえば、営業先で、「持ち込んだノートが小さい、やる気あるのか!」って追い返された先輩社員いたな~。
一方で「メモばかり取ってないで話を聞け―」って怒られた後輩社員もいた・・・。
“メモを取る”行為に対して怒られたくないって考えて、どうしたらいいか分からなくなったことも有った。
でも、結局、仕事ができれば怒られないからってメモを取るようになった。
気が付いたら、メモに何度も助けられた。
そんな俺が、メモを取れないこの世界でマヌケと言われても仕方ないのかも。
メモ取れるなら、絶対に取るのに。