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奥様
「いってきま~す」
娘がランドセルを背負って出ていった。
が、ドアを閉める音がしない。
どうかしたのか?
見ると、ドアを開けたまま立ち竦む娘、の向こうに見えるのは広大な草原…?
慌てて娘の手を引いて閉めた。
「どうしたの?早く行かないと遅刻しちゃうわよ」
そう言いながら来たカミさんに、娘と俺は口をパクパクさせてドアを指差した。
「なに?玄関がどうかした?」
カミさんがドアを開けると、いつも通りの道が見える。
娘は今度こそ学校に向かった。
「お前、昨夜、向こうで狩りをしてから、戻すのを忘れただろう」
てへぺろって、可愛く舌を出したって駄目だぞ…