黒衣の司祭
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部屋を間違えて入った先に居たのは、ウェレスと見知らぬ黒衣の女だった。
エリシアは直ぐその女の異質さに気づくだろう。
死んでいる聖女はずの聖女の能力が訴えかけてきている。彼女が纏っている濃密な死の匂いーー。一体彼女はどれだけの命を奪ってきたのだろうか。
異質なそれはエリシアに声をかける。
「貴方の話は聞いている。あのウェレスを倒したって」
「えぇ、そう言う事にはなっています……」
エリシアは《鑑定眼》で女のステータスを確認する。
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ラウエルス・エルザ・キリシア 118歳
レベル:88
体力:850
精神力:1580
魔力:4000
筋力:580
スキル:《命喰らい》《操血術師》《超回復》《不老》《毒耐性》《魔力耐性》《ダメージ半減》《全加護》《幸運》《属性耐性》《即死体制》《身体能力向上》《魔力量向上》《魔力量超向上》《魔力量超々向上》《呪い無効》《祝福》《魔法範囲拡大》《魔法効果倍化》《魔法適正》《覇者》《全制御》《死霊使い》《魂操術師》
ユニークスキル:《先祖返り》《使徒》《賢者》《半勇者》《聖者》
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(何ですか。このスキルの量は……)
本来はスキルは一つか二つ、若しくは三つ。どんなに多くても五つ程度だ。
それなのに、この女は何十ものスキルを保有している。それに強力なユニークスキルも複数所持している。
それに魔力量もかなり高い。
単純にアラストルの倍もある。とは言え、アラストルは他のステータスも軒並み高く、スキルがありえないほど強力と言う点は加味されるが。
「どうした。初対面の相手にそうビクビクするものでもないだろうに」
女はそう言うと席を立ち、エリシアへと近づく。
「私はラウエルス・エルザ・キリシア。ウェレスの古い友人だ。話はよく聞いているよ」
「私は、エリシア・エルミールです。隣にいるのは、リア・カルスティラです」
「リア・カラスティラです。お初にお目にかかります」
軽く挨拶を交えた後、ラウエルスはエリシアに問いかけてくる。
「随分と強力な縛りをかしているみたいだが、心当たりは?」
ラウエルスはエリシアにそう問いかけてくる。
縛りとは何のことだろうか。もしかして生まれ持って魔法が使えない事と関係しているのだろうか。
しかし、そうだとして彼女は何故その事が分かったのだろうか。恐らくは何かのスキルによるものなのだろう。
「一応思い当たる節はあります。私は生まれ持って魔法が一切使えませんでした……魔導士としての適正があるにも関わらずです」
「それで、その縛りは誰と結んだ?」
「生まれ持ってです。別に誰かとそんな馬鹿みたいな契約結んだ覚えはありませんね」
「そうか……変な事を聞いて悪かった。私も幾つかの縛りをかされていてな。もしかしてその縛りを与えたのが同じ人物では――と思ったのだが、心当たりが無いのでは仕方がないな」
エリシアは何故自分だけがまともに魔法を使えないのかと考えてきたが、魔力の変換装置の様なものが破損していると言う結論にいたった。
だが、ラウエルスが言う様に、何かしらの誓約などの縛りの影響なのかもしれない。しかしそんなもの結んだ覚えはないが。
「そうだ。エリシアにお願いしたい事があったのだ」
暫くの沈黙の後、ウェレスが口を開いた。
「今一度、お主に頼みたい事がある。ここで話すのはなんじゃ……日を改めて城まで来てほしい」
彼女は至って真剣な眼差しでそう言い放った。
察するに相当大切な話なのだろうか。
「わかりました。後ほどお伺いします」
エリシアはそう言い、部屋を後にした。




