日常-2
翌日の日が落ちてきた頃。
「エリシアさん、行きましょう」
「そうですね。そろそろ時間ですか」
結局、エリシアの誕生日祝いとして、帝都有数の高級料亭である"竜の秘跡亭"は予約を入れる事になったのだ。
最初はリアが料理を作ると言っていたのだが、その結果できたのは焦げたゴミの山だった。正直言って彼女の料理のセンスは皆無だ。
それで仕方がないから、料亭で食事を取ろうと言う事になったのだ。
そのタイミングだった。
エリシア達の目の前に魔法陣が出願する。
「久しぶりだねぇ。エリシアに会いに帰ってきたよー」
そこから、現れたのはアラストルとレーマだった。
「今度は何処へ行っていたのですか? そろそろ教えてくれたって良いんですよ」
「んー。それは教えられないね。まぁボクの気まぐれでは教えるかもだけど」
アラストルが本当にどこで何をしているのだろうか。また大量虐殺でもしでかしてるのでは無いだろうか。していても可笑しい存在ではない。
「しかし、何処かへ出かける予定だったのか? 随分と身なりが良いみたいだが……」
レーマがそう問いかけてくる。
確かに今のエリシアとレーマはドレスに身を包んでいた。
これから向かう予定の"竜の秘跡亭"は、ドレスコードがしっかりある格式が高い店なのだ。
「今日はエリシアさんの誕生日なので、外でご飯食べてくるんですよ」
「そうなのかい。というか、エリシアの誕生日だったんだねぇー」
「すみません。教えていませんでしたね」
「とりあえず、おめでとうなのかなー。二人で行ってきたら良いよ。悪魔に誕生日を祝う概念は無いからねぇ……二人で行ってくると良いよ」
アラストルはそう言った。どうやら彼女達はついてこないようだ。
「ついてくると思ったんですが、来ないんですね」
リアはアラストルにそう追いかけた。
「別に二人の中に割って入るほど無粋じゃ無いよ。ボクは待ってる。じゃーね」
「なんですか、アラスのその口ぶりは……」
エリシアはアラストルの口ぶりに変な違和感を感じた。
「とりあえず、行きましょう。エリシアさん」
「そうですね。時間に遅れてもあれですしね」
そうして二人は家を後にした。




