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都市国家からの来訪者


帝都バル・アレ 冒険者ギルド。



依頼を発注しに来たもの、依頼を受けに来たもの。


或いは用もないのに入り浸っているもの達で賑わっていた。




そんな中、1人のエルフの少女が受付嬢に粘着していた。



「もしかして誰も助けてくれない感じ……?」


「無理です。それはもはや国家規模のことですし、当ギルドではどうしようとありません」



受付嬢にあしらわれたエルフの名前は、ミスラ・オフリダ。


ここから、遠く南方の海岸地方に広がるアヴァンブルム都市国家群に住む町エルフだ。



アヴァンドルム都市国家群――無数の小規模な都市国家で形成され、緩やか同盟で結びついていたり、或いは都市間で対立したりなど世界的に珍しい地域だ。



「ここまで遥々来たのに、このままじゃ私の故郷は……!」



ミスラはその場に泣き崩れる。


辺りの注目が、一斉に集まった。


受付嬢もどうすれば良いのか、あたふたしている様子だった。




というのも、彼女の故郷であるウェタル市国含める都市国家群はモンスターの大侵攻を受け、滅亡の危機に瀕していた。



オーガやリザードマンを始め、ゴブリン、オーク、トロールなど数多のモンスターが徒党を組み一斉に侵攻を始めたのだ――その数、実に三万。


本来ならあり得ない、異常事態だ。



その知らせは先日、エストリア帝国にも伝わっていた。


しかし、ただでさえ戦争中で兵力が枯渇気味なのだ。


派兵する余力も無いし、これ程の大侵攻を冒険者風情がどうにかできる問題では無い。



人間よりも身体能力が優れるモンスターだ。


完全武装の兵士を倍の六万人は欲しいところだろう。とは言え、それでやっと五分五分の勝負ができるくらいだろうが。



「騒がしいな……一体どうしたんだ?」



その時、1人の男が姿を現した。このギルドのマスターであるリハクだ。


ミスラはリハクに、受付嬢に話したことをもう一度全て話した。



「軍の派遣は無理だろうなぁ。時期が悪すぎる……同じく教国側からの支援も無理だろうし、別の国に頼るしかないぞ? それこそカルミア王国とかな」


「カルミア王国にも断られてしまいまして……」



確かに、国境を直接面して居ないカルミア王国には無関係な話だ。


それに大量の軍を派遣するほどの余力はあの国に無いだろう。



「じゃあ、冒険者の皆さんでどうにかできません?」


「流石に、数万のモンスターをどうにかするのは無理だぞ?」



いくらなんでもそれは無理な話だ。


せめて相手が五千体くらいならどうにかなったかも知れない。



リハクはどうすれば良いか、深く考え込む。


モンスターの脅威から守るのが冒険者だ。少なくともリハクはそう思っている。


なので、放っておく気にもならなかった。



その時だった。


リハクの脳裏に、とある人物の顔が浮かんだ。



「エリシアならなんとかしてくれるかも知れないな」



エリシアならなんとかしてくれるかも知れない。


あの帝国最強の存在と謳われるウェレスを一撃で、戦闘不能にしたそうだ。


と言うか、ウェレスが三万体程度のモンスターに負けるイメージが湧かない。



ならば、エリシアも負けないはずである。


それに憤怒の悪魔すら使役しているならば尚更だ。



「なんとかなるかもしれん。報酬は高くつくぞ?」


「勿論、国家予算の数割は出すし、望むなら都市国家丸々一つ献上しますよ」



そこまでの報酬を彼女一個人で決めれるのかどうかは知らないが、そこまでする意思はあるようだ。


兎に角、エリシア――冒険者の間では、竜殺しと名高い彼女に連絡をしなければいけないだろう。

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