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マッチポンプ



「アラスはなんで面倒なことばかり起こすんですか⁈」


「まっ、待ってよ……一体どうしたんのさ?」



エリシアはアラストルの胸元を掴み上げる。



エリシアはその後、会議を終えて急ぎで家まで帰ってきたのだ。


会議で決まった結論。それは、ダンジョンへ潜った冒険者達が戻り次第、彼らと共に最大火力を持ってアラストルを叩く。


これが結論だった。



その事をアラストルに全て洗いざらいに話した。




「そ、それは大変だねー。まさかそこまで恨まれてとは思いもしなかったよ……」


「一体なんであんな事をしたんですか?」


「それはねぇ。理由なんてないよ? 小さな子供が蟻の巣を潰すのとなんら変わらないのさ」


「やっぱり悪魔は理解できませんね」



エリシアは諦めから深い溜息を吐いた。


エリシアとアラストルには契約がある長期的に二人が離れることはできない。


ならばアラストルを倒すか――そう思うと何故か気が引けなくなる。


これも契約の効果だろうか。



そうなるとこの生活を捨てて、遠くに逃げ出すしかないだろうか。



「はぁ…この生活も気にいってたんですけど……」



エリシアは深い溜息を吐く。


契約がある限りはアラストルの味方をせざる終えないし、それに個人的にはアラストルのことは好きか嫌いかで言えば好きな方だ。


だったらこの際、仕方ないときっぱり諦めた方がいいだろう。



「私はエリシアさんの行くとかならどこでもいいですよ?」



エリシアの隣にいたリアはそう言う。


何故だろうか。こんな時だからか、リアのこんな言葉でもとても身に染みた。



「そう決まれば、荷造りして早く逃げましょう……」


「勿論、私も手伝いますよ」



色々と思い返すと、涙が溢れてくる。


やっと落ち着けると思ったのに、また逃げなくてはならないのだ。振り出しに戻された気持ちだ。



「でも逃げなくてもいい方法あるよー」


「なんですか? 契約を解除してくれるんですかね」


「それは嫌だねぇ。まだこの世界で何もしてないしねー」


「じゃあどうするってんですか……」



どうせ、悪魔の虚言だ。


聞かなくてもいいんじゃないかとエリシアは思ってしまう。



「ボクを倒せばいいんだよー。簡単でしょ?」


「アラスと結んだ契約のせいで、多分私は危害を加えられないんですが……」


「形だけで倒したってすればいいんだよ。そうした後契約を結んで従えたって言えばね」


「そんなの上手く行くんですかね……」



この国に人々はアラストルに相当恨みを持ってるはずだ。


契約を結んで従えたので安全です――だからと言って納得するのだろうか。


しない様な気がする。



「やるしかありませんね……失敗したら、その時はその時です」



とは言え、やってみるしかないだろう。


行くあてもパッと浮かんでこない。此処に居れるならずっと此処にいたいのだ。



「失敗したらしたでー、この国を滅ぼせばいいだけだしねぇ。きっとボクとエリシアならできるはずだよ?」



アラストルはそう微笑を浮かべた。


なんというか、悪魔的な考え方だ。


と言うか悪魔なのだから普通なのだが。とは言え、人間としてドン引きする。



「嫌ですよ。第一滅したら何も残らないじゃないですか……兎に角、時間がありません。明日にはアラスの詳しい居場所が特定されますし」



この作戦を行うにも時間がない。やるなら直ぐに実行するしないだろう。

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