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憤怒の悪魔



エリシアは《鑑定眼》で悪魔のステータス確認する。




  ーーーーーーーーーーーーーーーー


  憤怒の悪魔 アラストル


  レベル:120

  体力:4500

  精神力:2100

  魔力:2000

  筋力:6000

  スキル:《処刑人》《憤怒》


  ーーーーーーーーーーーーーーーー





「七大罪の悪魔ーー流石の貴方でもこれは倒せないはずです!」


スフェルは高揚していた。既に勝ったと思っている様だ。



(ステータスの上では互角ですね。後は問題はスキルでしょうか)



どうやら、9000以上の魔力を他のステータスに振り分けたエリシアは、もはや最上位の悪魔と殴り合えるほど強いらしい。



しかし、あの悪魔にはエリシアと違い魔法が使え、強力なスキルも持っている。


相手が格上の存在であることに変わりない。




先に攻撃を仕掛けてきたのは、アラストルだった。



剛腕から繰り出される拳は、エリシア一直線に向かっていった。


エリシアは咄嗟の判断で、回避する。


アラストルの拳が振り下ろされた床は砕けちり、辺りに破片が散乱する。



何度も、エリシアを追撃しようと攻撃してくるが、その動きは散漫で来るとわかっていれば容易く回避できる。



(何も勝たなくても良いんですし)



十分間耐え切れば、此処から解放されるのだ。


スフェルの発言からして、この仮想空間でしかあの悪魔は使役できない様なので、出た瞬間勝利は確定する。



「蠅の様に、飛び回る女ですね」



スフェルは手を振り上げる。



「え...?」



次の瞬間、エリシアの身体が棒の様に固まり動けなくなる。



「これが、アラストルのスキル《処刑人》です」



《処刑人》は対象の身動きを短時間の間、その全てを封じるといったものだ。


これだけ聞けばそこまで強いスキルにも思えないが、その数秒間が命取りになるのだ。



(不味い、このままじゃ......)



身体を無理くり動かそうとしても、指先すら動かない。


アラストルの剛腕がエリシアの眼前まで迫っていたーー。



その時、アラストルの腕に氷の塊が何発も直撃する。



「氷弾!」



どうやら、背後に居たリアが魔法を放ったらしい。


リアが使った魔法ーー氷弾は人間の皮膚を貫く程度の威力がある。


しかし、アラストルの前では無力だ。



だが、そのおかげでアラストルのヘイトがエリシアからリアに切り替わった。



エリシアへの攻撃をやめ、リアの方へと襲いかかる。



「まて! 私の言う事を聞きなさい!」



スフェルは命じるが、アラストルは従わなかった。


やはり、完全に操れている訳ではないみたいだ。






アラストルにリアが潰されようとする瞬間、エリシアに身体の自由が戻る。


エリシアは地面を蹴り上げ、アラストルを背後から殴りつける。




アラストルは、短い咆哮をあげ体勢を崩す。


ダメージはしっかり入っている様だ。



エリシアは、側にいたリアを咄嗟に抱き抱え、その場から離れる。



「リア、大丈夫ですか?」


「はい......なんとか無事です」



アラストルは、全力を持ってエリシアに向かってくる。


しかし、やはりその動きはぎこちなく散漫で、容易く回避することができる。


《処刑人》さえどうにか出来れば、十分間逃げ切るのは余裕だろう。


だが、それの方法が思いつかない。



「《処刑人》を発動させなさい」



スフェルがそう命じると、再びエリシアの身体の自由が奪われる。



「二人まとめて、潰しなさい」



アラストルは、ジリジリと距離を詰めてくる。



(不味いですね......)



エリシアは、辺りを見渡す。


リアは身体の自由を奪われてはいない様で、あたふたとしていた。



「リア...私から離れて......」



エリシアは喋ろうとするが、上手く声が発せない。聞き取れるのがやっと程度だ。



「でも、そ、そんな!」


「見捨て......って...訳じゃないです...離れたところで、魔法を......」


「そ、そういうことですか? わかりました!」



どうやらなんとか伝わったらしい。


先程の様に、横槍を入れる事でアラストルの気が逸れるなら《処刑人》の脅威は無くなるだろう。


二人同時に硬直させられたら、意味は無くなるがエリシアしか硬直してなかったので、恐らく同時に動きを止められるのは一人だけなのだろう。




リアは走り出し距離をとり、氷弾を放ったーー。



「ウォォォォ‼︎」



アラストルは、咆哮を上げてリアに鋭く凶悪な瞳を向ける。


やはり、攻撃を受けると其方に注意がされる様だ。


その直後、エリシアは体の硬直から解放される。



エリシアは、先程と同じようにアラストルの頭部に拳を振り下ろす。


その際にできた隙に、リアを背負って遠くに駆ける。




この方法なら、勝つことが出来るだきるはすだ。



「あ、あ...貴方達! ひ、卑怯ではありませんか⁈」



スフェルが喚き散らかす。彼はかなり焦っていた。


エリシアが彼の予想を遥かに上回る強者だったこと。アラストルの力を過信し、怠慢した自信が引き起したことだ。




《処刑人》は、一人にしか効果を反映できない上、完璧に使役できないスフェルには、アラストルの行動を完全に制御出来ない。



そのため、エリシアを動かなくした隙にリアを殺害するーーと言った事も出来ない。



「こうなれば、どうにでもなれば良い......《憤怒》を使いなさい!」


スフェルは声を荒げた。

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