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ドラゴンの長



ダロル高原の中央部には、ドラゴンの巣が存在する。



かつてはエルフの大規模な集落が位置しており、青々と生い茂っていた草木は、ドラゴンの火炎の息により焼き払われ、見渡しが効くようにされていた。



その中心に、無数のドラゴン達が集まっているのが見えた。




「それで、バサーオルスが殺されたと」



ドラゴン達の中でも、一際体躯が大きいドラゴンが口を開いた。


彼はドラゴンの中でも高度な知能を持つ、ハイ・ドラゴンの長にして、始祖の龍と呼ばれる龍神ストロヘルの息子、サヴァイテルだ。




「はい、近隣の森で死んでいるのを見つけました」



サヴァイテルの近くにいたドラゴンが口を開いた。



「ふん。まだそのような強者が残っていたか。翼人か?」


「恐らく、近くに翼人の羽らしきものが落ちておりました」


「なるほどな」



別にドラゴンを倒せる強者がいた事はさほどの驚きはない。



ドラゴンは圧倒的強者であり、多種族の追従を許さない。



しかし多種族の中にも、稀にドラゴンに匹敵する強者が生まれる場合がある。


しかし、そのような強者はごく少数だ。



サヴァイテル達が、このダロル高原のエルフ達を滅ぼそうと攻め入った時も、何人かそのような強者がいた。


そのせいで、3匹程度ドラゴンが死ぬ結果になってしまった。


勿論、翼人にもドラゴンに匹敵する強者が2人程いたが、それも殺害済みだ。



「しかし、もう一つ問題がありまして……特に争った形跡もなく、バサーオルスは一撃で仕留められていました」


「な、なに!! 一撃とは本当か!?」


「はい、胸部に風穴を開けられておりました」




いくら多種族の強者であっても、激戦の末にドラゴンに勝てるか勝てないかの戦いを繰り広げるものである。


それを争った形跡もなしに、一撃で仕留めたと言うのはあり得ない。




だが、その様な人間を一人だけサヴァイテルは知っている。



数年前、彼の父である龍神ストロヘルが数匹の息子達を従えて、神聖リベスタ教国に向かったそうだ。



目的は、教国が異世界から勇者を召喚しようとしているのを察知したからだそうだ。父は勇者の存在が大層気に食わないらしい。


 


しかし、ミリアドと名乗った人間の雌にサヴァイテルの兄弟達は惨殺され、あの龍神である父ですら、激戦の果てに退けたそうだ。


 


もし、その人間の雌―ミリアドなら可能な所業だ。



ミリアドとやらが、この地に来ていればサヴァイテルに勝ち目はないだろう。相手はあの父に敗北を味合わせている人間だ。


そうでないにしろ、厄介な事になっているのは間違いない。




「早急に翼人どもを滅ぼすぞ。あの舐めた鳥どもを食い殺せ」



予定を少し早めて、翼人を滅ぼしてしまおう。不安要素は早急に取り払いたい。



サヴァイテルが咆哮を上げるとドラゴン達は一斉に飛び立った。

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