表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/134

追憶-3



覆滅の魔王を討伐して、暫く経った頃だ。





人類軍の最前線基地である、要塞都市クルグラにて。





勇者に各地で、魔王を討伐されていった魔王軍は、急進力を失い、それに伴い人類国家連合は、反撃に転じた。


クルグラは、魔族に支配されていた旧人類の領域作られ、ここから更なる進撃を続けている。




30万以上の兵士を常駐させる事ができる大要塞都市に、リーベス含む勇者一行は訪れていた。






✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎





「ここでお別れだね、リーベス」



メリアはリーベスにそう言いかけ、言葉を続ける。



「ごめんねぇ……私のせいで、リーベスは……」


「気にしないで。ボクが好きでやった事だからね」



リーベスは、魔法を使えなくなる呪いを受けてしまった。


何度も解呪を試したが、この手の呪いは、呪った本人が解呪しなければいけないらしい。


だが、その呪いをかけた本人であるフレイアは、勇者ユウマにより殺されてしまった。




魔法が使えないリーベスは、何の役にも立たない。


この要塞都市から出ている馬車で人類領まで、帰る事になった。


そのあと幾度か乗り継いで、故郷の村まで帰る手筈だ。


もうミアやメリア、ユウマ達と、戦っていくのは無理がある。



「それに、ボクと弟で少し贅沢できるお金はあるからね」



リーベスはそう言い、片手に握られた麻袋に目を向ける。


この中には、袋いっぱいの金貨が詰まっていた。これは、今まで対魔族戦で助力していた事への報奨金だ。幾つもの国から支払われている。



と言っても、途中脱退との事で金額は少なめなのだが、それでも充分すぎる額だ。



「幸せに」



ミアはそう呟いた。



「まぁ、後のことは任せろ」



ユウマは、リーベスにそう言い放った。



「うん、後のことは皆んなに任せて、ボクはのんびりしてるね」



それから、リーベス達は暫くの間話し合った。



それなりに時間が経った頃、リーベスを乗せて帰る予定の馬車が到着する。



「それじゃあ、そろそろ行くね」



リーベスは、別れを告げて馬車へと乗り込んだ。



「絶対会いにいくからねぇ!」



そう言ってきたメリアに、手を振りながら馬車の扉を閉めた。





✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎





馬車が走り出して、かなりの時間が経った。



辺りの景色は、平野から木々に囲まれた山道に移り変わった。



「大賢者様、あともう少しで後方の町に着きますよ」



そう声をかけてきたのは、剣を携えた護衛の男だった。



「ボクの事、そんな呼び方しなくても……もう魔法を使えないわけだし」


「いえ、貴方様は人類の為に戦い続けてくれた英雄です。その事実は変わりません」



リーベスもそこまではっきり言われてしまうと、否定のしようがなかった。






その時だった。





突然、馬車が止まった。




御者の「うっ」と言う短い断末魔が聞こえる。





そして突然、護衛の男の首が宙を舞った。




「なに……!?」





リーベスは突然の出来事に頭を上げる。



そこにいたのは、勇者その人―― シラサキユウマだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ