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2/2

毎年恒例の夏休みがやってきた。

親友の君枝は実家に帰省。私の出身は東京なので帰省という所がない。今は自分の部屋で涼み中。

!!!

そうだ。

私も実家に帰ろう!

なんてバカだ。実家から通ってるんだもの変化があるわけない。

たった5日の休み。されど長い夏休み。休みが終われば

…また苦情処理の日々がやってくる…くる…くる。

休み中は仕事は忘れて、ゆっくり寝よう。部屋でクーラーに浸り気持ち良く睡眠。

その晩、奇妙な夢を見た…

…目の前には山、その裾野には川が流れている。川に向かって私は立っている。季節は秋。

木々が紅葉していて、とても淋しい感じがする場所。天気は晴れでもなく雨でもなく。人の姿が視線に入ることなく歩き続ける。私がどんな格好をしていたのかはわからない。どんな靴を履いてどんな服を着ていたのか、思い出せないということはたいした格好をしてなかったのかもしれない。

…目的は何なのかどこまでも歩き続ける… 突然、土砂降りの雨。雨宿りする場所も見当たらず、仕方なく小さい木の下に入る。次の場面で私は布を手にしていた。

しかし、ただの布ではなく女性物のピンクの着物。

誰がくれたのか、なぜ持っていたのかわからない。

誰ともすれ違ってはいない、木の上にもいない。小さい木だから人がいたら折れてしまうだろう。

ただ寒かったから着物が有りがたかった。

冷たい雨に体温を奪われ暖を取りたかったからありがたい。

雨と空の暗さで視界がぼやけて………

…翌朝起きるとここまでしか覚えてなかった。なぜかしら感情はしっかり覚えている。

夢を見てるときって感情もついてきたっけ??

それにしても、いったい何の夢だろう。気持ち悪い夢。暫らく考えてからやっと気が付いた。

君枝の家で鬼餓村の記事を読んだから頭に焼き付いてたのかも。でも鬼じゃなくて山だった。村っていうから勝手に山を想像したかな。

あのチラシ貰ってくれば良かった。というより君枝が『くだらない冗談よ』と再び捨ててしまったので貰えなかった。

そんなことをボーッと考えているところに携帯電話が鳴った… 相手は君枝だった。


「瞳元気?久しぶり!東京は暑いでしょ。こっちは涼しくていいわよ。お母さんに瞳のこと話したら話がしたいっていうから電話しちゃったの」


とても元気の良い声の無邪気な電話だった…

君へから母に代わる

「初めまして君枝の母です。いつも娘がお世話になっています。いつも遊んだり助けて頂いたりしてとても仲良くさせて頂いていると聞いたものですからなんだか私まで仲良くさせて頂いてる気になっちゃいまして…。アハハハ。すいませんねぇ、図々しくて… 瞳さんにお礼を申し上げたいとお電話をさせていただいたんです」


まるで弾丸トーク。

私が返事を返そうとすると次の言葉で消されてしまい、明るいお母さんだけど正直どうしてよいやら。


「今度遊びにいらしてください。夏休みは暑くて動くのが嫌でしょうから秋になったらいらっしゃい。切符の手配などはしておくから安心してね」


なんだか相手のペースで話が進み、『遠慮します』と断りきれないまま携帯電話を閉じた。

君枝の実家ってどこかしら?

出身地を聞いたことなかったな。これじゃ遊びに行けないわね。ハッキリと言えない私も情けない。

ま、どうせよく使う社交辞令でしょ。

しかし夏休みは本当に暇だ。私に彼氏がいるわけじゃないし、どこへ出掛けてもカップルが目に入る。

羨ましいから気にして見ちゃうんだろうな。

なんで私には彼氏がいないのかしら? って言ってる時点で何か問題があるんだな。なんだろ…??

自分じゃわからない。

君枝と違う点はいくつもある。たとえば…

スタイルばっちり、グラマーだし、仕草も女らしい。声も可愛いし、食事に行ったりすると取り分けてくれる。

顔は普通に可もなく不可もなく。人は外見じゃないっていうのは本当ね!これが君枝。

私は、まったくその逆。

といっても顔が可愛いわけではない。顔が可愛かったら一人ぐらい付いてきても良さそうだ。

なんでもっと可愛く産んでくれなかったのかしらねぇ。

魔法の鏡なんていうのが実際あったら楽しいだろうなぁ。

はぁ…私、暑さのせいか妄想してる。さっきからテレビも恋愛物しかやってない。

こうもお菓子ボリボリ食べながらみてると横に成長するね。

私の体重は…

はっ!危ない危ない、危うく報告しちゃうとこだった。ただ一言、君枝より、ぽっちゃりしてるとは言っておこうかな。

なんだかんだて、食べ終わっちゃった… 明日の暇潰しのため、あとで買い出しに行かなくては。

お菓子がないまま夢中で見ていたテレビも終わり、遅い時間になっちゃった。

たまには月を見ながらの夜の散歩もいいか。

外に出てみるといつの間にか雨が降って地面が濡れていた。

だけどムシムシね…暑さは増したみたいだ。いい加減、暑さにイライラしてくる頃コンビニ到着。


ピンポーンピンポーン


『いらっしゃいませ~』


『はぁ、やっぱり店内は涼しくて気持ちいい』


ずっとここにいたい気分、外に出たくないね。

おせんべ、ポテチ、チョコレート、アイス、…そうだ朝食はパンにしよう!あとはスナック菓子をいくつかカゴいれてレジで清算。おおっ、焼そばが美味しそう。これも。


『ありがとうございました』


ピンポーンピンポーン


『うわぁ!メガネが白く曇っちゃった』


私の視力は左右ともに0.1以下。メガネがなくては生活できずとても不便。でもたまに見えないフリをすることがある。それは都合の悪いとき。

あぁ。外は暑いしメガネは曇るし最悪!


ブィィィィン! キィーッ! バシャッ!


『冷たいっ!なっ、なんなのこの車っ!なにすんのよ!ちょと出てきなさいよ』


凄んでみたけれどメガネ真っ白だから何も見えてない…


『いや、すまない、だいじょ… ブハハハハ』


『あんた失礼な人ね!誰のせいでこうなったと思ってんのよ』


『いゃぁ、そのメガネは俺のせいじゃないぜ?とんだ言い掛かりだな』


『私が言ってるのはメガネじゃないわよ!泥水が跳ねたのをどうしてくれるのかって聞いてるの!』


『まあ、そんなにカリカリしないで…』


『あんた馬鹿じゃないの?こんなことされて平気な顔で笑ってる奴なんかいるの?いるとしたらアンタくらいなもんでしょうね! ………ヘーックシュッ』


『ごめんごめん、風邪引いちゃうね。家まで送るよ』


『こんばんわ、どうかしましたか』


『ちょうどいい所にお巡りさん!私の服をこんなにした上に家まで来る気なんですよ』


『どういうことだね?』



『違いますよ!私は…道端工事といいます。職業はフリーライターです。こちらの方に車で水を跳ねてしまいまして。くしゃみをしたので寒いだろうと思って送るといったんです』


『ほんとかね?』


『正直な事いうと思います?』


『おい、待てよ。俺にだって選ぶ権利はあるだろ』


『どういう意味よ』


服のクリーニング代として1万円渡されたけど、なんだかスッキリしない。

当然、奴には家まで送ってもらわず、お巡りさんに送ってもらった

自分の部屋で一息付くとさっきの男の名前なんだっけ……

そうだ、名刺だ名刺。


【道端工事】


…読み方はミチバタ?ミチハシ?

どっちだったかしら。ドウダってのもあり?

道端工事か…

【道路工事】と一文字違いなのね。新発見!

そうそう、翌朝目覚めた私は、そのミチバタのせいで風邪を引いた

座っているのが怠い

夏風邪だなんてぇ。

夏風邪は天才しか引かないんじゃなかった?

バカだって証明されちまったじゃないかっ。

あ、違う違う。

天才だって証明されたじゃない。皆には内緒にしておいたのに【脳ある鷹は爪隠す】ってね。

………ィーックシュッ

あたしはオヤジか…。

会社が始まったら当然『どっかいったのか』と聞かれ『夏休みは風邪引いてました』って可愛そうな夏休み。

毎日毎日テレビと睨めっこして、たいした会話をすることなく一日が終わる。今日もそのパターン。

なんだか勿体ない。怠いだけの風邪みたいだから一人トドライブでもしてくるか。

本日は晴天なり。

風を感じて走る!

私って詩人だわ。


イーックシュッ

やだな完全に風邪かなぁ。

ドライブして気分転換すれば治るか。さっさと支度を済ませて車のエンジンをかける。今日も絶好調な音がする。目標を定めず、道の上を気ままに走りだした。


ぉーっ!

窓全開がとても気持ちがいい。窓から入る風を受けて、風邪なんてスッ飛んでしまいそう。

…公園にぶつかった。

ずいぶん広大な敷地で景色も良さそうだ。ここいいじゃないっ。

大きな駐車場もある。

あら… でもカップルが多い… 見ない場所を求めてやってきたのに、公園じゃ逆効果だったね。

自分が気にしてるせいかやたらと目につく。

でも、気分転換に良い散歩になりそうだ。夕方近くに出てきたから太陽も傾いてきた。

光の世界と闇の世界…

私って詩人みたい。

自分に酔うときがあるのよね。


ブルッ


風が冷たくて気持ちいい。周りに邪魔する建物がないのもいい。

イーックシッ

クシュッ…クシュッ!


寒いっ。上着持ってこなかった。早く車に戻ろう…

ん?

なんかクラっときたような…?気のせいか。

それにしても寒くなってきた。

夏休み真っ最中なのに秋がやってくるみたいな寒さ。

雨が落ちてきた…嘘でしょ…

泥跳ねよりひどいじゃん…

なんかフラついてるみたい。

自分じゃ良くわかんない。

とりあえず車を目指そう

瞳の状況に遠くから気付いた者がいた。

…こんな土砂降りの中、傘もささずに歩いてる可笑しな奴がいる。世の中変わってきたのか。

フラついてるみたいだ。

あれ?あの可笑しな奴って… コンビニで邪魔したバカ女か。なんでこんな所に傘をささずにいるんだ?

ったく本当のバカだったとは…


『こんな雨の中、何やってんだ。風邪引くだろ?』


『あ!ミチバタ!これから車に戻るところです。風邪ですか。風邪なら誰かさんに貰いました』


『だれがミチバタだよ。おれはミチハシだ。ったくどこまでもバカな奴』


『うるさいなぁ。新手のナンパですか』


『ププッ!ナンパするなら可愛い娘を探す』


『でしょうねぇ。大丈夫ですよ、車はすぐそこなので。ありがとうごさいます』


『どこまでも可愛くない奴だなぁ。そんなんじゃ彼氏もいないだろ』


『うるさいなぁ。道路工事には言われたくない!』


『なんだと?もいっぺんいってみろ』


『聞こえなかったの?道路工事さん』


『くーっ!やっぱり可愛くねぇ』


『可愛くなくて結構です!放してください』


『こらっ。人を変態みたいに言うな』


『違かったの?』


『おま…………てに…………』


(ミチバタが何言ってるのか聞き取れない。しっかり喋りなよ)


『おいっ!しっかりしろ。おいっ。そういや名前聞いてなかったな。おい、権兵衛?』


(誰が権兵衛だって?

あたしには名前があるんだぞ!)

倒れる瞳を支えたのは道端の腕。苦しそうな顔をして道端の腕の中に納まった。自分の車に運ぶと甲斐甲斐しく世話をはじめた


『熱があるのにここまで来たなんて呆れた女だな』


『!! 冷たいっ!あ、ミチバタ』


『だからちがうっつーの、ミチハシ!なんにでも一々驚くな』


『なんでここ、どこ?』


『俺の車だ!熱があって俺にもたれかかったのはそっちだぞ』


『嘘!』 ジーッ


『なんだその目は?』


『なんかしてない!?』


『誰がするかっ!だいたい心配するような年じゃないだろーが』


『年なんて関係ないわよ』


『大抵、年増がそう言うんだよ』


『ムカツク』


『お互い様だ』


『どうもありがとうございました。車濡らしちゃいましたね、掃除代を…』


『そんなものはいらない。俺、著と出てくるから留守番しててくれ』


『え?』


聞き返す間もなく車のドアを閉めていってしまった。

ちょと離れたがすぐに戻ってきてドアを開けた。


『これ掛けとけ。まったく俺までビショビショだ。車に鍵掛けていくから少し寝てろ、そのまま帰ったら迷惑運転をするだけだ』


『ミチバタありがとう』


『だから俺はミチバタじゃねぇっつーの(なんだ少しは可愛いところあるじゃん)』


バタン

ガチャッ


『…なんだ優しいところあるじゃない、ただの非常識な奴なのかと思ってたけど。催眠術に架かったみたい…だんだん目蓋が重くなってきた… 眠…』


レポートを書き終え、一服を一時間ほどしてから道端は公園の向かいにある喫茶店を出た


『雨もあがった。夕立か。あの女は起きたかな』


道端が車を覗いてみると可愛い顔してまだスヤスヤと寝ていた。


『なんだ可愛い顔するときもあるんだ。へぇ、意外』


道端は少しの間見つめていたがやがて車から離れて公園内の休憩コーナーへコーヒーを飲みに行った。


『あれから二時間。今19時。そろそろ起こすか。お茶でも飲めば目も覚めんだろ』


車のキーを遠隔操作で開けてから覗いてみると、相手はしっかり起きていた。


『起きてたか。ほれ、お茶だ』


『あ、ありがとう。すっかりミチバタに迷惑を掛けてしまって。すいません』


『ミチバタじゃないけどな。この土砂降りに会ったのも何かの縁だろうと思って助けただけさ』


『ありがとう、優しいんですね』


『なんだよ気持ち悪い』


『思ったから言っただけです。ありがとうございました。遅くまで引き止めてしまってすいませんでした。帰ります』


『大丈夫か?外は冷えるからこれ着ていけ』


『大丈夫です。私が寒いならあなたも寒いでしょ。風邪ひきますよ』


『俺は大丈夫だ。男だからな』


『プッ!変な理由』


『うるさいっ。ホレ、着ていきなさい。返すのはいつでもいいから。名刺持ってんだろ?』


『はい。フリーライター、道路工事って書いてある名刺ですよね』


『おまえねぇ…』


『ほんとうに楽になりました』


『次にドライブするときは上着を持って出ることだな』


『はい、すいません。気を付けます』


『やけに素直じゃん。まだ熱がありそうだな、早く帰ったのがいいぞ。気を付けてな』


『はい、本当にありがとうございました。後日ご連絡します。失礼します』


そういうと道端の車を離れ、道端は後ろ姿を見送る格好になった


『本当は可愛い奴だったりして。ま、どうでもいいか』と独り言


あの時、少し寝かせてもらったおかげで無事に家まで辿り着いた。

名刺に携帯番号が書いてあったので翌日お礼の電話をした…


プルルルル…プルルルル…プルルルル…


『はい、ミチハシです…』


うわぁ出ちゃった!

掛けたんだから当たり前か…。電話だと感じが違うんだ。


『もしもし?』


『あのっ…』


わっ、間を開けちゃった…


『…はい…もしもし?』


『あのっ、サトウヒトミです!昨日は、ありがとうございました…』


『いえいえどういたしまして…ってどちらさんですか』


なぁによ、どちらさんだなんて! あ…。あたし名前言ってなかった…


『昨日雨の中助けて頂いて上着も貸して頂いたものです。ありがとうございました』


『あぁ、あのバカ女か… 名前聞いてなかったからわからなかったよ』


『バ、バカ女?人がお礼の電話してんのにバカ女とはなによ!』


『あははは、元気あるじゃん。ちゃんと帰れたか?』


『ええ、ちゃんと帰れたから電話してるんです』


『風邪はどうだ?』


『ご心配なく!上着をお返ししたいのですがクリーニング出してからお返ししますね』


『いや、そこまでしなくていいよ。元気になったら返してくれればいいさ。じゃね』


なんなの!あの一方的な態度っ!あったまきちゃうぅー。

もう寝る…頭ふらふらしてきた。

三日間、寝込んだけれどようやく治った頃、会社だ~。余計具合悪くなりそ。

雨の日から五日目に携帯電話が鳴った。


『もしもし?』


『瞳ちゃん?俺だけどミチハシ』


なっ!なんで番号知ってるのよ!?


『携帯番号なんで知ってるの?』


『だって番通で掛けたじゃん。知らない相手にかけるときは184つけなきゃダメじゃん。バカだな気を付けなきゃ』


『むかつく。ふんっ』


『そんなことより具合どうだ?』


『へぇ。気に掛けてくれるんだ』


『俺の上着が食われてるんじゃないかと心配になってね』


『ますます むかつく。大丈夫よ、まだなにもしてないから』


『まだっておい、何をする気だ?』


『風通しよくしてあげようかと思ってね。どうデザインしようかと悩んでるのよ』


『おいおい、悪かった!謝るから。ごめん』


『最初からそうすりゃいいのに』


なんだか電話が楽しい

『上着返してくれながら晩飯でもどうだい?』


『奢ってくれるなら付き合ってやってもいいけど?』


『お礼なんだからそっちが奢るんだろ?』


『あ、そ。嫌ならいい。上着は宅配便で送ります』


『相変わらず生意気な奴だな。わかったよ、奢ってやるから明日夕方六時大丈夫か?こないだ車の邪魔したコンビニで待ち合わせな』


『邪魔したですって?…まいーや。んじゃ明日そこで。どこいくの?』


『いやまだ決めてない…』


『はぁ。信じられない…』


『じゃ、明日な』


一方的な電話だなぁ。

秋に近い夏を晩夏っていうんだっけ??

まだまだ暑いな。

何着ていこう… スーツなんて着ていったら何言うかわからないし。

何、期待してるとか言われたんじゃ腹立つしなぁ。

普通でいいや。

Gパンにシャツで十分ね。

なんか私ってばそわそわしてる。

やだなぁ。

明日もこんな感じだったら変な風に思われちゃう!

落ち着け あたし!

ってゆーのも変…

よっしゃ。お肌がボロボロじゃいやだから早く寝ようっと。

なんだか楽しみぃ………。


……ンァゴォォォ。 ガガガゴォォォ……………


ん。なんと目覚めの良い朝だ。

今日は残業しないで帰ろう。


『砂糖!今日残業してくれないか?』


『ダメです!今日は帰ります』


『なんだかやけに気合いが入ってるじゃないかっ。今日は合コンか?』


『えっ?あんた彼氏できたの?』


『美樹違うわよ。できたらもっとお洒落してると思わない?』


『それもそうだわね。それじゃいつもと同じ格好よね。これは合コンじゃありませんねぇ』


『どういう意味じゃ おら』


『なんでもないなら残業だ』


『ダメです!あ。帰って着替えてから合コンですから』


『なんだ?そのとってつけた理由………』


『忘れてましたぁ』


『認めん!』


『お願いしますぅ。ほら!コーヒー入れちゃいますから!ねっ!』


『なんだ?やけにサービスいいなぁ。こんなコーヒーで逃れようとしてるのか?』


『はい!残業なしっ』


『…わかったよ。明日、報告だ』


『なんで??』


『上司命令だから』


『なんだそれ…』


かくして残業は逃れた。急がねば……




17時35分

ちょと前に着いたぞ。あんまり早く来ると張り切ってるみたいじゃない?


うへー。疲れた…

コンビニに到着ぅ。

え゛。もう来てるの?


『遅いっ!俺のが早かったぞ』


『ごめんっ。 ってかミチバタが早いのよ。まだ時間前じゃないっ』


『ミチハシだ。普通、女なら初めてのデートは緊張して早く来るもんだろ?』


『デート?どれがデートなの?普通の女って…悪かったわねぇ異常な女で!異常な女なんて探してもなかなか見つからないわよ。貴重じゃないの。キミはついてる!』


『くっ。相変わらず可愛くない女だな』


『ふんっ。相変わらず可愛くない男だな…』


『腹が減ったな。飯食いにいこうぜ』


いきなり手を繋がれて歩き始めた… どこいくんだ?

車?

このにっくき車め~!

あ、でもこの間、寝かせてもらったし…。

そだ。車に乗る前に言わなくちゃ!!


『あの、ミチバタ…この間はありがとうございました。ちゃんとお礼を言っていなかったので』


『ちゃんと言うなら名前もちゃんと言え』


『男ならそんな小さい事は気にしない気にしない』


『名前の違いは気にするだろ普通』


『あらそぉ?…ごめん』


『ん。許す。さて乗れ』


『なんで命令するかなぁ』


『年上だから』


『なんだその理由。ミチバタ頭悪いでしょ』


『いや、瞳よりはマシだ』


『というかなぜ呼び捨て?』


『んー、偉いから』


『やっぱ頭悪い…』


『何食いたい?焼き鳥好きか?』


『私が答える前に決まってんじゃん』


『あはははは。突然食いたくなったんだ。綺麗な格好もしてないしな』


『ことごとく嫌味な奴。綺麗じゃないから帰りますよ』


『そうじゃないさ。綺麗な服を着て気取ってる奴はどうも苦手でな』


『どうも誉められている気がしないんだけど?』


『誉めてるのさ。俺好みだ』


『あらあら、それはそれは光栄ですわぁぁ。あとで焼き鳥の串で刺しまくってやる!』


『…この間は風邪引かせて悪かったな。なんとかは風邪引かないっていうけど例外もあるんだな』


『例外?たまには変わったのが居ないと面白くないでしょうからね』


だんだん腹が立ってきたぞぉ!やっぱコイツ最悪だ!!



車で三十分程走ったところに焼鳥屋があった。

飲んだら運転できないんじゃないの??

車から降りて先入っててっていうけど…


『ミチバタが来るまで待ってる…』


『どした!急にしおらしくなっちまって! …すぐ車置いてくるから待ってな』

車が走り去った。

車の中では道端が独り言を呟いていた。


『可愛いところあるじゃない。へぇ~。ちょと惚れたかも…?それはないか…』


一方店先では瞳が独り言を…


『こんなオヤジばっかりいるところに一人で入れるかっつーの!デリカシーのない奴だ』


ガラッ


『らっしゃい!席空いてるよ、どーぞ』


『すいません、今、連れが来ますから待ってます』


『中で待ってたら?涼しくなってきただろ?』


『ありがとうごさいます。でも大丈夫です』


『そうかい?寒くなったら入っておいで』


『はい』


やっと道端が辿り着いた。


『遅いっ!』


『ごめんごめん、寒そうだな』


『…そうだなじゃなくて 寒い…』


『ほれ。少しの間、これ着てろ』


………イーックシッ


前屈みになった時、頭が道端の胸に付いた…


ガラッ!


『お嬢ちゃん、大丈夫か…ぃ…?あらま、こら失礼』


ピシッ


店の中では大騒ぎ!道端が初めて女性を連れてきたと一大事のように話が飛びかい…


ガラッ


『な?ほんとだろ?』


『まじかよ』


『ほんとだ!』


『工事早く入れよ、彼女が風邪引いちまうぞ』


『デリカシーのない奴だなぁ』


『だいたい女性をこんな汚い店に連れてくるか?普通はお洒落な… あ゛』


『悪かったな、汚いしお洒落じゃなくてなぁ』


『味は絶品だぜ。保証付だ』


『工事早く入りなさいよ。ほんとに風邪引かしちまうぞ。ほらお前さん達も邪魔だ』


『それもそうだ。お嬢さんが入りにくいんじゃないか?』


『そうだな。席に座るか』


『戸閉めとくから早くしろよ』


ピシッ


なんだあの意味ありげな言葉は?

ミチバタは、ここの常連なのか。デートだっていうから食事に期待したのにぃ。

この上着あったかい。

ミチバタは寒くないのかな?

やっぱり寒いよねぇ


『ミチバタ寒くない?』


『寒いっ。入るぞ』

ガラッ


『こんばんわ』


『なぁにが白々しい、こんばんわだ。お嬢さん、こんばんわ』


『こんばんわ。先程は失礼しました』ペコッ


『いいってことよ』


『なんかあったのか?』


『お前が来るのを寒そうに待ってたから中で待つように言ったんだけど外でいいといわれたのさ。可愛いじゃないか、お前を待ってるなんてなぁ』


違うっつーの!店の中にはオヤジしか居ないじゃないの!だからヤダっていってんのに、そんくらいわかれってぇ。


『可愛いだろう!可愛いんだぞ』


嫌味たっぷり、頭クシャクシャに掻き回しやがってぇ~。絶対に串刺し決定!


『座敷借りるぞ』


『あいよ。今日は特別だ。お嬢さんゆっくりしてってね』


『サンキュー』


『はい、ありがとうございます』


『こっちだ』


『座敷じゃなくてもいいよ?』


『そうか?でもいいさ』


『ありがとう』


『いや。(なんでコイツに彼氏が居ないんだ?いい娘なのになぁ。マジで惚れそうだ)』


『どうかしたの?』


『また風邪引かせたかなと思ってな』


『大丈夫。ありがと。上着…』


『着てていいぞ』


『でもミチバタも冷えてるでしょ?』


『大丈夫だ。風邪引かれると煩そうだしな』


『あのねぇ』


『いいなぁ、工事』


『お前も居ないもんなぁ』


『うるせぇ』


『ほんと羨ましいぜ』


『お前は離婚したんだったな…』


『なにやってんだ!覗いたりなんかして! …いい感じの娘じゃないか。工事にはいいかもな。よしっ、外に看板出せ。暖簾もしまえ』


『どこで知り合ったんだろうな?』


『オヤジ!座敷貸し切りにしようぜ。みんなで乾杯だ』


『そうだな。お前、余計なこと話すんじゃないぞ』


『わーってるよぉ』


なんだか急に店が静になった。


『ミチバタは、ここの常連さんなの?』


『ああ。嫌だったか?』


『ううん、焼き鳥大好きだから大歓迎!ただ常連のお店に私を連れてきたりしていいのかなって思ったから』


『別に構わないさ。なんで?』


『ばれたら困るとか…』


『バレるのを心配したら連れてこないんじゃないか?』


そっか…

『しかし静だな。何食う?』


『なんでもいいの?』


『好きなの頼め』


『ほんと?やったー!んじゃあ、皮!と、つくね!』


『それから?皮好きなのか?』


『うん!あとレバーが食べたい』


『ぶっ、メニュー見るときは目が輝いてんだな』


『はっ! …うるさぃ…』


『別にいいじゃないか。面白いから』


『あー!バカにしてるでしょ…』


『可愛いって言ったつもりだったけどなぁ』


『どの辺が?わぁーすごい!誉められちゃったー』


『機嫌直せよ。好きなのどんどん食べていいから。な?』


『…食べたら直す』


『ゲンキンな奴だな~』


『にっ。あの…』


『ん?どした?』


『あの、お手洗いはどこですか?』


『なんだそんなことか、早く言えばいいのに。ひょっとしてずっと我慢してた?』


コクン…


『バカだなぁ。トイレは…だな…』


ガラッ


『うわぁっ!なにやってんだ?』


横から覗いてみると店の常連客達が部屋の前にいた…


『工事だけじゃお嬢さんが退屈だろうなと思ってな』


『なんだそれ…』


『なんだ帰るのか?』


『いや、トイレだ…。そこ右』


『ありがと。上着もありがと』


『おお』


瞳はトイレへと向かった。


『工事みんなで宴会しようぜ』


『なんでだよ。そっちで食えばいいだろ』


『お前が女連れだなんて初めてだからなぁ。見学。あの娘と話してみたいしなぁ』


『話すことは何もないって』


『俺たちはあるんだなぁ』


『いいじゃないか工事。今日はコイツらの奢りだ』


『オヤジそんなのありか?』


『あれが断ったらどうするんだ?』


『………………』


クチュンッ  …クシュッ!


『お前のせいで風邪引いたんじゃないか?』


『俺の上着かしてやろう』


『お前のはいらないって』


『工事のがいいんだよ』


『ちっ』


『あ、お嬢さん、こっちこっち。あんた達と一緒に飲みたいんだよ。いいかな?』


『はい。どうぞどうぞ。すいません、私が邪魔してるみたいで』


『そんことないさ、大歓迎だよ』


『ほい。寒いか?これ着てろよ』


『え。大丈夫だよ  …ウイックシッ』


『オヤジみてー。やっぱり着てろ』

『…オヤジ? 着なくても大丈夫です。』


『怒らせた… 怒らないでやって。こいつぶっきらぼうでねぇ。』


『悪かったな』


『なんとかならないですか?このぶっきらぼう』


『あー。お嬢さんがなんとかしてやってくれ』


『無理です』


『おまえねぇ、ずいぶんじゃねぇ?』


『ふんっ…』


『また風邪引くぞ』


『まあまあ座って』


『ここにおいで』


『お前の隣はヤダって』


『あいつは手が早いから気を付けたのがいい。工事の隣に行きなさい』


(どんな人達なのよまったく…!)


『…ごめんな…』


(あら、意外…いい人なのかな)


『つくね くれたら許す』


『ふっ。はい』


『ありがと。私いやな顔してた?』


『いや、なんで?』


『ごめんなんて言うから…』


『そうじゃないよ。ただゆっくり話がしたかったなと思ってさ。これ着てなさい。大丈夫か?』


『なに?風邪?』


『そうじゃなくてコイツらと一緒で』


『うん。楽しいですよ。私こそ、いてもいいの?』


『だよなぁ。工事変な心配させるなよ』


私の座席は一番奥、隣はミチバタと右隣は壁。


『お嬢さんの名前まだ聞いてなかったね。教えて』


『おー、そうだなぁ』


『すいません、砂糖瞳といいます』


『瞳ちゃんかぁ。可愛い名前だね』


『瞳ちゃんは工事の彼女なの?』


(ゴクッ!彼女??危うく吹き出すところだったじゃない)


『そうさ。じゃなきゃ連れてこないだろ?』


『お前が女連れだなんてなぁ。どこに惚れたんだい?』


『うーん。ぶっきらぼうなところ?本当はまだよくわかりません』


『付き合いはじめかぁ』


(だから付き合ってねーっちゅーのっ!)


『これからか。新鮮だなぁ』


イイネェ~


『それでココってぇのはどうなんだ?』


『焼き鳥で悪かったなぁ』


アッハハハハハ……


『私、焼き鳥大好きなんです。だから連れてってくれるようにお願いしたんです』


『そうだったのかい。ほれみろ!へへんだ』


『工事、この娘の好みは?』


『皮、つくね、レバーが好きなんだって』


『へぇ。やっぱり詳しいんだな』

『こんなぶっきらぼうよく好きになったなぁ。ひょっとして瞳ちゃんは物好きか?』


『そうかもしれませんね』



『工事、可愛い娘じゃないか』


『だろ?』


『お前にはもったいないなぁ。なあ瞳ちゃん』


『はい、私もそう思います』


『こりゃいいや』


『おまえねぇ…』


アハハハハハ……

(楽しい人達なんだ。ミチバタも悪い人じゃないみたい)


『瞳ちゃん、ジャンジャン飲んで食って』


『瞳ちゃん飲めないの?』


『はい、すいません(酔ったら何言われるかわからないのに飲めねって)』


『なら、烏龍茶でいいかな。いま鍋用意するね』


『瞳ちゃん、お酌してぇ』



『あ、はい…(だから酔っ払いは嫌なんだよ)』


『瞳は俺専用』


(瞳?いつ誰が呼んでいいといった?おいこら)


『ちょと出てくる…』


『うん』


瞳は部屋を出て店の主人のもとへ。


『お世話かけてすいません』


『瞳ちゃん!いや、こっちはいいんだが辛くないかい?』


『本当に楽しいですから大丈夫ですよ。なにか手伝うことありますか?』


『いいんだよ。工事に怒られちまうから。瞳ちゃん、彼女じゃないんだろ?』


『え?』


『年の功でね、わかるんだよ。ありがとう。雰囲気を壊さないようにしてくれてるんじゃないのかい?』


『そんなことないですよ』


『あんたはいい娘だね。あれは昔、ひどい別れ方をしてね。それからは彼女作らなかったんだよ。だけど今日は普通に笑ってるし、あんたに相当気を使ってる』


『気を遣ってくださっているのはよくわかります。申し訳ないくらいです』


『あの子は本当は優しい子なんだよ』


『わかります。少し話しただけですけどよくわかりましたよ。ただぶっきらぼうなだけで、下手な人なんだなぁって』


『あんたが彼女ならいいのになぁ。なかなかわかってくれる娘がいないんじゃないかな?』


『私じゃなくても、ひょこって現われるかも知れませんよ』


『瞳ちゃんは工事どうかね?』


『楽しい方だと思います。相手の気持ちを誘導するのが少し強引ですけど、嫌いじゃないですよ』


『それじゃぁ』


『いえ、きっとミチバタが断りますよ』

『遅くないか?戻ってこないんじゃ?瞳ちゃん帰っちゃったりして』


『見てこいよ。俺たちのせいかな』


『いいよ、帰っても…』


『お前らしくないな。しっかりしないと、ほんとに逃げちまうぞ』


『まだなんでもないんだろ?みりゃわかるぜ。それなのにあそこまで付き合ってくれる娘はいないぞ。探してこいよ』


『早くしろ』


『まったく。(やっぱりこんなところじゃ嫌か)』


スーッ 


『うわぁっ!びっくりしたー。ミチバタぁ』


『なにやってんだ?』


『お鍋持ってきたの。ちょと重い…』


『ったく、しょうがない奴だな。かしてみろ』


ヒョイッ


『軽がる持ち上げるのねぇ、ミチバタありがと』


『どういたしまして』


『なんか機嫌悪い?ごめん、余計なことしちゃった?』


『さ!座ろう、瞳ちゃん』


『はい』


『瞳ちゃんのおかげで助かったよー』


チラッとミチバタを見る瞳。


(ミチバタなんか怒ってるみたい…いけなかったかなぁ)


『瞳ちゃん、食べよう』


『はい(ミチバタの飲むピッチが早い…大丈夫なの?)』


『さて、出来たよ!』


『……』


『あれま工事』


『ミチバタ大丈夫?』


『うるさい』


『あそ』


突然横になって…瞳の足を枕にした。


『えーーっ?なんで、どう……』


『少しの間、貸してやってくれないか?』


『瞳ちゃん、すまないね』


『しょうがないですね。高くつきますよ』


『工事にいくらでも請求していいから』


『はい!』


瞳は借りている上着を脱いで道端に掛けた


『こんなに飲むなんて珍しいな』


『普段あんまり飲まないんですか?』


『思い出したのかもしれないな』


『そうですか。私が来ない方がよかったかもしれませんね。辛い思い出を甦らせて飲み過ぎてしまうのなら…』


『葛藤してるんだと思う。どうしたらいいのか』


『そうですか…』


(何げに髪を撫でてしまった。泣いてるように見えたから)


『どこで知り合ったの?』


『雨上がりにコンビニへ行ったら車でやってきて私に泥水を掛けたのが出会いです』


『へぇ。工事をよろしくね。コイツはいい奴なんだよ。ただ口は悪いけど』


『そうですね。いい人ですね』

『んじゃ、俺たちは退散するとしようか』


『そうだな。あとは瞳ちゃんよろしく』


『起きたら鍋作ってやってくれるかぃ』


『言葉は悪いけどいい奴だから』


『ミチバタは幸せですね。いい人達に囲まれて』


『俺も思う』


ブハハハハ


『んじゃ、行こうか』


みんないってしまった。


『ミチバタ寒いかしら。この座布団も掛けちゃえ』


寝息が聞こえるくらい静かな室内……

結構、いい男じゃない。

それから一時間後、ミチバタが目を覚ました。


『おはよう。お腹空いてない?…』


『空いた』


『お鍋食べる?』


『みんなは?』


『片付けにいっちゃった。ミチバタごめんね、余計なことばっかり言って』


『いや。俺のほうこそ…』


『あたしもお腹空いちゃった!一緒に食べてもいい? はい』


『ああ、一緒に食べよう』


そのころ障子の向こう側では…


『なかなかいい感じじゃないか。うまくいくといいけど…』


『うまくいくかね、どっちも意地張るかもよ。』


『見守るしかないか』


『そうだな…。忘れられるといいけどな』


室内では。


『冷たいお水もらってこようか』


『今はいい……』


『そう?んじゃお鍋、お鍋』


道端に背を向けたとき…抱きつかれた…


『ごめん。少しだけこのままで…』


そういって泣いていた。

(背中で泣かれたの初めてだよ…あたしはお父さんか?)

泣いているのがよくわかる。不覚にも手に触ってしまったナデナデと

(そういえば、くしゃみ止まったみたい)


『大丈夫?酔っちゃったんでしょ。飲み過ぎはいかんねぇ…』


『ごめん』


『素直で気持ち悪いな。それじゃ工事できねぇ、道路工事』


『道路工事したらお前を真っ先に埋めてやる』


『うおー!大変、埋められる前に被害届けださなくちゃ』


『ありがと。もう大丈夫だ』


『それはよかった。あたし帰れなくなっちゃうからね』


『今何時だ?』


『二十三時ね』


『運転できたよな。これ乗って帰ってくれるか』


『ミチバタは?』


『俺は少し寝ていく』


『いようか?』


『邪魔だ』


『言ってくれるじゃないの。明日の朝来るね』


『十時に頼む』


皆さんに礼を言って店を出た

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