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非日常奇譚/絞殺欲求・十二支編  作者: 柊木 渚
絞殺欲求・十二支編
16/36

【第一章 志向と異常】04【

 教室に戻ってから霧縫さんとは気まずくて喋る事ができないでいるまま最後の十時限目の体育を迎えてしまっていた。

「・・・・・・体育って何やるのかな?」

 流石に変な雰囲気を振り払いたいという思いと初めての体育でどうすればいいか分からないという事もあり霧縫さんに聞いてみると

「うちの学校の体育は時間が短いから勉強の合間の休憩時間みたいな感じで特に内容は決まってないの、各々好きなように身体を動かしたり教室に残って勉強してたりしてるわ」

 え、なにそれ?体育の意味なくね?!

「それで霧縫さんはこれからどうするの?」

「・・・・・・ねえ大城君」

「何でしょうか霧縫さん?」

 なんだろう急に改まって。

「あなたは人に聞くしか能が無いの?いっつも私に聞いてるだけで友達を作る素振りさえしないし何?シャイなわけ?」

 霧縫さん急に冷たい!

「昨日と打って変わって冷たいな・・・・・・」

「いやいや、昨日はドッキリの為の小芝居だから!もう私的には目的は達成されたから貴方に優しくする必要はほとんど無いの分かる?!」

「ほとんどないのか・・・・・・」

 全くじゃなくて良かった・・・・・・

 まあ霧縫さんにずっと尋ねっぱなしで悪い気もしていたしこの際他の人とも交流してみるか。

「そうだねごめん、それじゃあ僕はちょっと身体動かしてくるよ・・・・・・って悪いんだけど使える場所ってどこかな?」

「ああもう!体育館と外!」

「はひっ!ありがとうございます!」

 呆れすぎてキレ気味の霧縫さんに僕は体育館履きを持って逃げるようにして感謝の言葉を口にして教室を出ていった。

 まあ、出で行ったはいいものの体育着なんか持って来てないんだよな・・・・・・

「行くだけ行ってみるか」

 どうにかなるだろうと安直な思考をしながら僕は体育館へ向かった。

 少々道に迷いながらもどうにか体育館に続く渡り廊下に出ることができ、トボトボと廊下を歩いていると体育館からドンドン!とバスケットボールをつく音が聞こえてきた。

「お邪魔しま~す」

 何となく体育館に入る際にそう言って入るとこちらに気が付いたようでバスケをしていた人たちがこちらに視線を向けた。

「おっ!転校生じゃん」

 とYシャツの長袖を捲り上げてボールをついているガタイの良い人と他に五人ほどがフリースロー勝負をしているのを中断して寄ってきた。

「丁度良いや、転校生さ、一緒にバスケやろうぜ!ちょうどお前入れたらスリーオンスリー出来るからさ」

「あ、はい」

 断る事も出来ずに言葉の流れに乗るまま僕は彼らと一緒にバスケをすることになってしまった。

 体育館には他にもちらほら生徒がいたがどうやらスリーオンスリーをやる事を聞きつけたのか生徒がライン外から各々応援をしていた。

「転校生は俺のチームで勝負内容は五本先取な、俺の名前は三菱でこいつが同じチームの田島」

「よろしく」

「大城です。よろしくお願いします」

 足元を見てみると全員体育館履きでなくバスケットシューズを履いていた。

 何故皆が観戦しに来るのか何となくわかった気がする・・・・・・

 こいつら全員バスケ部なんだ・・・・・・

「大城はバスケ経験は?」

 上履きから体育館履きに履き替えてる際に聞かれたので答える。

「一応前の学校ではやってました」

 と答えると

「そうなのか、よし!履き替えたな、始めようぜ」

 三菱は僕が靴を履き替えたのを見てからコートの中心に全員を集めて外に居た生徒にボールを預けて真ん中のサークルの中心で上に投げるように指示する。

「おっしゃあ!いつでもこい!」

 サークルを囲うようにして散らばった後に三菱ともう一人の巨体の生徒がジャンプボールの態勢に入った。

 Yシャツの袖を捲り上げて僕も臨戦態勢に入る。

「それじゃあいきます!よっと!」

 ボールを高らかに上げてティップオフ。

「転校生!」

 上がったボールを巨体以上のジャンプ力で上回り三菱が僕の方にはじき出してきた。

「うぉ!」

 僕かよ!

 一瞬びくついてからドリブルを始めて相手ゴールに向かった。

 切り込もうとするがスリーポイントライン手前で相手に阻まれる。

 身長はこのコートの中で僕が一番小さく、ゴール下でレイアップをしたとしてもカットされてるのが目に見えている状況・・・なら!

 後ろに一歩下がってから勢いよく中に切り込んで抜いてからセンターポジションでボールをくれと高らかに手を上げて待っている三菱にパスをする。

「お!ナイスパス!」

 左足を軸にフリースローライン側に身体をもっていきながらシュートへ持ち込む。

「させるかよ!」

「ありゃりゃ、残念。なら!」

 相手の巨体がブロックで飛ぶが対角線に位置する場所で待っていた田島に三菱が強引にパスした。

 三菱にガードを二人回していてノーマークだった田島はそのままスリーポイントからシュートを放ち、華麗に決めた。

「残り四本!守り頑張るぞ」

 それからは同じ様一本ずつ交互に取り、カウントは四対四と同本の状態でボールは相手が持っていた。

 久々のバスケであってウォーミングアップなしじゃ調子も出なくてしり込みしていたが今ならいけるかもしれない。

「速攻!」

 田島が三菱とのスイッチの際にボールを奪取し、その勢いのまま速攻に切り替わった。

 田島からボールをパスされた僕は先程と同様に中へ切り込もうとするがやはりマークマンである高身長の男に経路を阻まれた。

「三菱!」

 三菱がセンターへ入ってこようと中へ切り込むモーションに入った中途半端なタイミングを見計らって勝手にボールをパスする。

「おいおい!おもしれえな!」

 中途半端なパスを出した後に僕はマークマンよりも素早く三菱の後方、スリーポイントラインに動きだした。

 それを察した三菱は難しいボールをいともたやすくすくい上げてからノールックでボールの軌道だけを後方にずらしてワンバウンドで僕にパスをした。

「決めろ大城!」

 シュートモーションに入り全神経をボールをリングへ入れる事だけに費やしてボールを放った。

 マークマンの手にかすりそうになるギリギリのタイミングでのシュート。

「入れ!」

 高い軌道を経てボールは頂点に達すると共に下降していきボードに当たりながらもボールはリングの中へ入っていった。

 キーンコーンカーンコーン

「ナイス大城!そして俺らの勝ち!!」

 ブザービーターの様に十時限目の終了を告げるチャイムが体育館中に鳴り響いた。

「あんがとな大城!楽しかったぜ!」

「こっちこそ、短い時間だったけど三菱の凄いプレーが見れたし楽しかったよ」

「お前これから部活はどうすんの?バスケ部?歓迎するぜ!」

 肩を組んできた三菱がそう誘ってくれるが

「いやいいよ、もう二年だし今からバスケ部入っても馴染めそうにないしね」

「そっかそりゃ残念だな、じゃあ今度もバスケやろうな!」

 体育館にいたクラスの生徒はぞろぞろと教室に戻っていき僕も三菱や他のバスケ部とさっきの試合の話をしながら教室に帰って行った。

「よ!霧縫さん!いやあ楽しいものですねバスケって・・・・・・あれ?無視ですかっておい!」

 陽気な気持ちで椅子に腰かけて霧縫さんに何となく話をするが返事が無いので霧縫さんの方を見てみるとブルートゥースのイヤホンをしながら勉強をしていた。

 いやそれはダメでしょ・・・・・・

 勉強に集中している霧縫さんには悪いがこれは駄目じゃないかと勝手にイヤホンを外すと

「ひっ!って何すんの?!」

 と睨みつける様にこちらを見てきた。

「いや仮にも授業なんだからイヤホンはダメかな~って」

 僕の手からイヤホンを取り返してから霧縫さんが反論してきた。

「ノイズキャンセリング機能使ってただけだから別にいいでしょ」

 と反論されたがイヤホンをつけること自体いいのか判断のつかないグレーゾーンな事柄なので逡巡するも最終的には

「やっぱダメでしょ、一応電子機器だし・・・・・・」

 と一般的見解を述べて宥める様にして注意してみるも

「ケチケチうっさいわね、貴方禿げるわよ」

「はげ?!」

 納得のいかない霧縫さんはそう口にしてから十限目が終わってるのを確認し帰りの支度をし始めた。

「ちぇっ善意から忠告してやったのになんだよその言いぐさ」

 グチグチと独り言を漏らしながら僕も帰宅の準備をし、帰りのホームルームを待った。

 ❃

「以上でホームルームを終わりにする。気を付けて帰る様に」

 担任の言葉を最後に帰りの礼をして放課後がおとずれた。

「先に部室で待ってるから早く来なさいよ」

 つんけんした態度のまま鞄を持って僕に向かって端的にそう言ってから霧縫さんは足早に教室を出ていった。

「待ってくれないのか・・・・・・まあいいけど」

 僕も鞄を持ち、スマホの通知を一通り確認してから部室へ向う。

 といっても通知されているのは母さんともう一人が主なんだけど・・・・・・

「夜は今日も一人か」

 今朝の通知は母さんからの今日は帰れないというメッセージだった。

 その通知で僕は寝坊の危機を回避したと・・・・・・母親さまさまだな。

「運動して疲れたし飲み物買うか」

 僕は自販機でコーラを買ってから一口飲んで乾いた喉を潤してから旧校舎に向かい、ミステリー研究部の部室のドアを開けた。

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