【始まり】00【
嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。
「今日からこのクラスで一緒に学ぶ事になる大城 白野君だ」
なぜここに?
いやそもそもなんでそんな平然と僕を見つめているんだ・・・・・・
「お、大城――白野です。よろしくお願いいたします」
おかしな状況に額と手から溢れ出る冷や汗が一向に止まらない。
教室に居る各々が形式上の拍手をする中、その人だけはこちらに笑みを浮かべるだけだった。
「それじゃあ大城君は霧縫さんの隣の席に座って」
先生が指した空席の場所を確認し、怯えながらも僕は指された席へ歩みを進める。
「よ、よろしく」
引きつった笑みとともに空いていた席に腰を掛けて隣の席の霧縫さんに言葉をかける。
彼女を見ているだけで昨日の衝撃的な映像がフラッシュバックして吐き気がこみ上げてしまう。
必死に平静を装っていると彼女の方は何事もなかったかのような満面の笑みとはっきりとした元気のいい声色で返してきた。
「うん!これからよろしくね大城君!」
昨日見た光景が嘘のようにも思えてくる程に彼女が見せる柔らかな笑みは純粋を敷き詰めて出来た様に妖艶なものだった。
未だ鮮明に記憶として脳裏にこべりついて忘れられない光景。
隣りの席でこちらに明るく振舞う彼女。
霧縫さんが男性を殺していた光景が―――