第3話 覚めない悪夢
今回はこちらの投稿です。
「はいはーい!皆さん集まりましたね。これより第29回ナイトメア会議を始めますよ。進行は前回と引き続き私、アヴァが担当です!」
蜂蜜色の長髪白衣美女の眼鏡がキラリと光った。
彼女の名前はアヴァ・ゲシュタルト。
ナイトメアの頭脳であり……マッドサイエンティストだ。
貢献してくれるのだがマッド成分が強すぎてマイナスの結果を引き起こすトラブルメーカーでもある。
「くッ、また負けたッ!」
アヴァの足元には四つん這いで項垂れる水色短髪美人女騎士。
彼女の名前はベリル・クコーロ。
ナイトメアの斬り込み隊長だ。
見てくれはクールだが中身はポンコツ。
でも無駄に強いからクッコロ女騎士にならないのが悩みの種だ。
「ベリルどんまーい!」
笑いながらベリルの背中を叩く桃色ポニテ元気美少女。
彼女の名前はサマイル・オサナージ。
ナイトメアのバーサーカーだ。
彼女は戦場に立つと殺戮兵器と化す為、距離を取らないと巻き込まれる。
「双、デートしたい」
背中に引っ付いているのは銀髪ドレス美女。
彼女の名前はマステール・ヤンディーレ。
不死の軍団を操る最強の黒魔術士。
共に異世界送りにされた事でますます好感度が上昇した。
しかし彼女はヤンデレ要素を含んでいる為、刺されないように注意が必要だ。
「……今回こそマトモな案をお願いします」
隣でげんなりとする黒髪の女性。
彼女の名前は安倍雅日。
始めはおしとやかで大和撫子って感じだったが……ナイトメアの面々に疲れてストレスが溜まっているらしい。
彼女は安倍晴明の子孫らしい。
「その話もしますが……」
アヴァの眼鏡がキラリと光った。
「この世界の話からです!」
人の願いを叶え世界を創造する神具『ワールドメーカー』。
長年に渡り世界を創造し続けた事により、人の負の欲望が少しずつワールドメーカーを蝕んでいった。
そしてついにワールドメーカーの暴走を引き起こしてしまった。
暴走したワールドメーカーは次々に凶悪な生命体━━レイダーを生み出し始めた。
そしてレイダーは地球に侵略を開始。
ワールドメーカーの暴走を止める前に人類が絶滅するという最悪の未来を回避する為にドリムは世界を書き換える決断をした。
「夢と妄想の神ドリムによる世界の改編。壮大ですね」
知らない歴史、知らない景色にレイダーと戦う人類。
地球に帰還したらローファンタジーな世界が俺を待っていたのが二年前。
「それと一応説明しますね」
アヴァがサイコロの様な箱を地面に置いた。
箱はガシャガシャと音を立ててスクリーンに変わった。
「こちらのスクリーンを見てください。これは『夢装』と呼ばれる個体別魂合契約型神具。簡単に言うと自分専用の武装ですね」
スクリーンには炎の剣、雷を纏う槍、魔法杖などゲームで出てくる様な武器が映し出されていた。
「そしてこの夢装を使ってレイダーを討伐して賃金を得る『冒険者システム』。また複数の冒険者が所属する組織をギルドと呼び、ギルドランキングで上位のギルドには多額の報酬が国によって支給されます。そして見てください!」
・1位 英雄の覇道
・2位 真実の探求者
・3位 鮮血の牡牛
……
・最下位覚めない悪夢
「私達のギルドは最下位です」
そう俺達のギルドは最下位なのだ。
俺の名前は夢藤 双士。
最底辺ギルド『覚めない悪夢』のマスターだ。