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最底辺ギルドの悪夢  作者: 斑鳩アルカナ
ギルドバトル編
1/4

第0話妄想の邪魔しないでください

新作です。

 

 夜空の下、地上は地獄と化していた。


 人々を炎が浚い、業火が街を包み込む。


 そんな街の広場で勇者━━アークライトは魔王ヴォイドの魔法に倒れた。


 伝説の聖剣グラムと共にあらゆる困難を乗り越えてきた彼女だが、魔王という存在を越えることは出来なかった。


「勇者も大したことがありませんね。これで終わりですッ!『獄炎球(インフェルノボール)』!」


 巨大な火球が轟音とともに迫り、アークライトは死を覚悟して目を瞑ったが……


 彼女に魔法が当たる事は無かった。

 

 アークライトはゆっくりと顔を上げ、目を見開いた。


 道化師の様な仮面に金の刺繍が施された紺碧のコートを纏った人間が目の前に立っていた。


 仮面の男は手に刀を握っていた。


 予期せぬ来訪者の出現にヴォイドは動じなかった。


「突然、現れて少し驚きました。それだけではなく私の魔法を消滅させられるとは……何者ですか?」

「俺はナイトメア。悪夢だ」

「アハハハハハッ」


 突然、ヴォイドが笑いだした。


「悪夢ですか。貴方が私の驚異になるとでも言うのですか?」

「ああ、その通りだ」


 仮面の男が消えた。


 そしてヴォイドが自分の懐に仮面の男が踏み込んでいる事に気づいた時、彼の両腕は消えていた。


「貴様ァァァァァァ!」


 怒りが頂点に達したヴォイドの魔力が高まった。


 メキメキと身体中が音を立て、内側から沸騰したようにブクブクと膨れ上がり━━


 深紅の鱗に身を包む巨大な紅の竜と化した。


『消し炭にしてくれるわァァァァァァ!』


 ヴォイドは口に全魔力を注ぎ込み……


『滅べェェェェェェ!』


 ヴォイドがブレスを放った。


 灼熱の炎の奔流を前に、仮面の男は刀を構えた。


「起きろ、天叢雲(あめのむらくも)


 青い光を放ち、黒色の刀身が姿を変えた。


 深海を想わせる青い刀身が月の光を受けて煌めく。


秘剣夢幻(ひけんむげん)━━

























「おっす、双士」


 頭上から声がした。


「ふざけんなッ!今、俺の秘剣夢幻の太刀で華麗に勝利するところだったんだぞ!」


 仮面の男━━俺は声をかけた友人の胸ぐらを掴み、怒鳴った。


 教室が一瞬で静まった。


「す、すまなかった。許してくれ」

「……俺も怒鳴って悪かった」


 友人に謝って机に突っ伏した。


 それを合図にしたかのように周りがザワザワと会話を始める。


「おいおい、また夢藤が怒ったぞ」

「ホントだな。あいつまだ中二病治ってないのかよ」

「ウケるわー。俺達もう高校一年だぜ」

「私も突然、怒鳴られた事あるー『邪魔すんな』って」

「気持ち悪いなー」


 俺の名前は夢藤 双士。


 高校一年生で趣味はラノベを読むのと妄想だ。

 異世界でカッコいいと思う自分を妄想して戦わせるのが趣味だ。

 俺はこれを妄想俺ワールドって呼んでいる。

 この趣味は小学生の頃からだ。

 一番嫌いな事は俺の妄想中に話かけられることだ。

 先程のような事が多々あって、クラスからの評判は悪い。


 他にも理由があるのだが……


 すると突然、バンッと大きな音を立てて教室のドアが開け放たれた。


 黒い小さな影が俺に向けて突進してきた。


「双士ッ!何かあったのかッ!?この姉に相談するんだ!」


 ストレートの黒髪に愛らしいクリッとした瞳に整った容貌、150㎝に満たない身長。小柄だが自信に溢れる彼女のオーラが存在を大きく感じさせる。


 俺の従姉━━蓮花(れんか)


「……蓮姉何でここに?」


 突進してきた従姉を引き剥がして立たせた。

 従姉は胸を張って答えた。


「無論、双士の怒鳴った気配がしたからだ」


 二年生の蓮花姉の教室は一年生の上の階だ。

 当然、俺の声が聞こえる距離ではない。


 それよりも━━


「蓮姉ズルいだろッ!俺だって気配を感じられるようになりてたいんだよ!」


 気配とかカッコいいッ!


「ふんッ、修行が足りんわ」

「どうすればいいんですか師匠ッ!」


 ノリがいい従姉は顎髭を撫でる動作をしながら蓮姉が言った。


「わからんのか?愛だ、愛」


 愛ッ……だと……!? 意味が分からないッ!


 蓮姉の言葉に旋律していると……


「おーい、そこの仲良し姉弟ー。予鈴鳴ったぞ」

「「すみませんでした!」」


 蓮姉はダッシュで自分の教室へ戻っていった。


「「「「「……ちッ!」」」」」


 クラスの男子から舌打ちを貰った。



 蓮姉はモテるらしい。そんな俺に嫉妬する奴等から評判が悪い。



 俺は心の中で中指を立てた。








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