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 いよいよ「衆議院選挙改正法」が可決され、日本で初めて、

名簿式全国一律比例代表制度

 が実施されることになった。

 だが、与野党の審議の末、この制度には、大きな修正がいくつか加えられた。

 新法では、衆議院の議員定数は450人と既定されたが、その際、ポピュリズムによる政治激変からの回避、実績のある既成政党の保護、政治そのものの安定などから取り入れられたのが「18分の1ルール」という制度だ。

 解散時、議席を持たない新政党は、総定員450人の18分の1、最大でも25人までしか名簿の提出権がない。次は9分の1・50人で、解散時に18分の1・25人に満たない政党は、最大50人までの名簿提出権しかない。制限は3分の1・150人、3分の2・300人と設けられていて、新興ポピュリズム政党が出現しても、最低5度の選挙を経ないと3分の2を獲得できないような仕組みが取り入れられた。

 さらに「首相公選制」という目的をより明確にするために、「党内複数立候補制」として、1つの政党から複数の立候補者を立てることが可能になった。

 実際に、次回の選挙では、次に5期目になる現首相ボセニカに、以前から対抗馬と言われて来たダクアトが反旗を翻した。その場合、現在300議席近くある与党スシブオホ党は半分ずつ、2人で分け合うということになる。それでも共に、優に50人以上の現有議席数となり、そうなると総定員の3分の2・300人の名簿提出が可能で、2人の首相争いのみに国民の関心が向けば、どちらが勝とうが与党の大勝利になる。

 さらに、これは与党スシブオホ党の地方県連からの要望から、立候補した首相候補者が提出した名簿に記入された、名簿人個人への投票も可能になった。議員は、各候補者が得た得票率に応じて当選人数が割り当てられ、そのメンバーは通常は名簿の上位から選ばれるのだが、名簿人の名前を直接記入して投票された場合は、その数に応じて名簿順位が繰り上がることになり、地方の特定の議員を当選させたい場合は、それも可能になったのだ。もちろん、その場合も、得票は立候補した首相候補者への投票として加算される。

 つまり、有権者は、首相候補者名、政党名(この場合は政党候補者で等分される)、名簿人名での投票を行えることとなった。

 そして最後に付帯事項で加えられたのが「名簿当選議員の身分保障」である。

 例えば、ボセニカ首相の名簿の中から当選した議員が、すべての政策において、ボセニカ首相の主張に逆らえないとしたら、それは議員ではなく単なるロボットである。そこで名簿からの選出であろうと、一度、議員として衆院に加わった以上は、その身分は、ボセニカ首相を裏切ろうと、与党スシブオホ党を離脱しようと、議員の任期期間は保障されることが、わざわざ明記された。要は、それだけ選出者は、責任を持って、慎重に、自らの配下を選べ、というシステムである。

 さて、ここから各立候補者の名簿がしばらくして公表され、それから約2週間後に、ついにミス国初の、

名簿式全国一律比例代表制度

 は実施された。この選挙の投票率がどれくらいで、誰が首相になり、その結果、国が良くなったか否かは、各自ご想像願いたい。

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