自分との対話 4
すこし変わった毛色のかいとなりました。裏話をすると、みんなで遠足に行ったんじゃないかと思っています。遠出っていいですよね。
「岬の浜辺にて」
岬の海に来ている
太平洋のうねりが春霞の中から
岩場に浜にいつまでも打ち寄せている
胸に突き刺さる音を立てて崩れ来る
浜では砂利がしぶきで濡れていて
波の音が、空の色が映っている
「渚を散歩するときに」
山の上から眺めてみると
緑の海が頭を白くして打ち寄せている
人は集まり彼方を眺める
浜辺にはアリに似たものが群がっている
生命を生み、はぐくみ
永遠にそのリズムを響かせてくれる
それを広いなあと感嘆し
深いなあと驚く
岩にぶつかる波の飛沫を見てはまた嘆息
砂を踏みしめ
自然の造形を蹴散らし
足跡をそこここに残して歩き回る
それは風に吹かれ
砂塵に埋められ
そこには何の感動もないのだけれど
作り出された街、そして社会は
妖しく花開いている
快楽があり心の安らぎがある
そして束縛がある
太陽を生み
また飲み込む海原は
船を浮かべてはしらせる
霞の中、はるか彼方からくるうねりが
白いしぶきと心地よいかぜをふかせている
打ち寄せる波には憎しみは微塵も感じられず
心地よい風はあくまでも心地よい
「宝石箱の金貨」
どこからかカエルの声がする
蛍光灯の青白い光に虫が集まってくる
どこから来るのか昼間は見かけない
蛍光管に自分の体を
自分の体をぶっつけ、ぶっつけ
おまえは何を考えているんだ
往きたければ死なせてやろう
人はいけないが虫はいいってことだから
ただ、役にも立たない虫だから
人は生きようとする
虫も生きたいに違いない
なんで虫に生まれたか知らないけれど
やっぱり死にたくないに違いない
強いものはますます強くなり
弱いものは押しのけあって生き延びる
美しい言葉で飾られた人生
白い、美しい上塗りの剥げかかった宝石箱から
かつて奪い取られた金貨が
新しい金貨と一緒に顔を出している
「安息の巣穴」
雨の音が小さくなってきた
雨だれの音がトタンに響いている
ガラスの向こうはパラついているのだろう
臆病な私は
壁に囲まれていないと落ち着けない
壁に閉じこもれば安心する
そして窓から眺めてる
小さな窓
すりガラスのはまった
雨粒がガラスを伝う
指であとをたどるとぼんやり視界が開ける
霞のかかったおそとは美しい
すべてぼんやりとして
都合のいいように作られていく
水の湿り気が飛び去ってしまうと
もう、もとのすりガラス
ぼんやりと光を放っているだけだ
窓の外は壁の外
いまは関わり合いのない世界
ぎゃんぎゃんと大騒ぎすることはちょっとだけ落ち着いてきたのかな?でも、ちょっとしたことで逆戻りしてしまうのもこの頃の特徴かな?って思ってます。