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自分との対話 3
「私の体を風が吹く」
貝殻の中を風が吹いて
乾草の上を風が吹いて
鉄道草の横を風が吹いて
なにも載っていないお皿の上を風が吹いて
陶器のカレーライスの上にとまったハエ
雛のいない鳥の巣
無人島のゴキブリ
そんな空気が私の体の中で渦巻いている
この夜
私が死んでも何も変わらないことに気が付いた
途端になぜ生きているのかが分らなくなった
「痛みは嫌いなんだけど」
棘のとげ
薊のとげ
サボテンのとげ
それに
それに
人間のトゲはどれが一番痛いかなあ
それとも痛さに違いがあるの?
「退屈な連想」
長い髪が風に吹かれている
さらさら
スカートの裾も
ふわふわ
ブラウスの背中も
ぶかりぶかり
袖も風に吹かれているなあ
襟もそうだなあ
下着のゴムも吹かれているのかなあ
当然、髭も吹かれているよねえ
「世界に気が付いた時」
自由な日々
幸せな毎日
陽は輝き、風は舞い、自然は謳う
ある日を境に世界が変わる
自由への放浪
束縛からの逃亡
圧力からの退避
悲しみからの盲目
怒りからの歯軋り
クルリと裏返った世界
蒼い顔色の世界
ただ、淡々とつづけていきますが・・・