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凍り付く心

この頃、だんだんおかしくなってきたんですよねーー

  「逃亡者」


逃げ回っている

執拗に追いすがる

手を引っ張り

足を引っ張り

包み込んでしまうように

逃げる


磁石、それは磁石だ

離れようとしても引き付けられ

くっつこうともしない癖に

くっついてしまえば離れない


暗闇の世界に追い込まれ

広い、ただ広い世界に追い込まれ

一人だけの世界に追い込まれ

呼んでも、叫んでも、泣いても

何も聞こえてこない


挿絵(By みてみん)


大きな時計が彼方に光っている


今日の、昨日の、悔いから

永遠の逃亡が続いている




  「もう一つの目」


そこにいるのは誰だ

おとなしくしていてわからなかったけど

私の中にもう一人の私がいた


眼の中に

手に、足に、腹の中に

頭の中に


眼を使って外を眺める

頭を勝手に使って考える


じっと見ている、見つめている

思考とも呼べない何かを見ている


挿絵(By みてみん)


私の中に私がいた

なにもかにもわかっているような眼をしている

こんな、こんな

ずっと以前から

壁も、天井も、床もない

塀さえもありはしなかったのか・・・


ガーン、ゴーン、ガーン、ゴーン

空の大時計が追い立てる

体が、凍り付いた体がきしんでいる

唐突に冷たい、重い、無表情な手が覆いかぶさってくる

何度も、何度も

凍り付いた体はなおも冷えていく

停めてくれ、逃がしてくれ


手が覆いかぶさってくる


私はどこまでも冷えていく体を引きずり

はいつくばって

土をなめながら逃げていく

また大時計が、がなり立てようとしている




  「途絶」


何も聞こえない

静けさが痛い

ここは地の底か

どこまでも泥とうすぼんやりした世界


沈んでいく

足元からだんだん冷たい泥が這い上がってくる


挿絵(By みてみん)


見ている奴がいた

血走った眼玉が浮かんでいる


静けさが重い


静けさが痛い


自意識過剰で、うっとおしい時期が続きます

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