表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/103

諦めました

ブックマーク有難う御座います。

4話目にミスが有ったので直しました。

修正箇所は今回の後書きにも書いておきました。

 僕はまだ諦め切れずに足掻いてみた。



「姫様、前世とは何でしょうか?」


「惚けても無駄なのじゃ、この国には魔法という言葉は無いのじゃぞ。更に魔法少女等という言葉の意味が分かるという事は、前世が日本だった場合位なのじゃ」


『これって、もう誤魔化すの無理だよね?』



 僕には対策が尽きたので天照達に聞いてみる。



『不可能では有りませんが、手荒な方法しか残されていません』


『洗脳する位しか対策が無いのですよ』


『いやいやいや、姫様を洗脳とか絶対駄目だから!』



 仕方がない、それなりに長い付き合いだから知っている姫様の性格的にも酷い事にはならないだろうと、諦めて白状することにした。



「ふう、諦めました。確かに僕には前世の知識がありますが、姫様は僕をどうする御心算なのでしょうか?」


「やっぱり四狼も前世の知識に覚醒していたのね。でも心配しなくて良いわよ。前世の知識が有るからと言って何かをさせたり、捕まえたりはしないわ。私にも前世の知識が有るしね。基本、国に害したりしない限りは何もしないわ」



 あれ? 口調が変わってる?



「あの、姫様、口調が何時もと違うのですが……」


「ん~~、何時もの姫言葉は前世知識のある人に使うのは、演劇とかしているのを見せているみたいで一寸恥ずかしいのよね。実際演技みたいなものだし」


「演技、なのですか?」



 姫様が少し頬を赤くしながら答える。



「似たようなものね。前世の知識がある人から見たら姫プレイに見えてそうで恥ずかしいのよ!」


「実際に姫様なんですから、気にしなくても良いと思いますが」


「私が恥ずかしいのよ!」



 まあ、本人が恥ずかしいって言うなら、そうなんだろうけど。



「口調については分かりましたが、前世の知識があっても特に何もしないと言うのでしたら、何で問い詰める様な事をしたのでしょうか?」


「さっきも言った通り、国に害する者にはそれなりの対応をしないといけないからよ」


「害とは?」


「私達は前世知識覚醒者、略して覚醒者って呼んでいるんだけど、覚醒したって事は輪廻転生とかも知っているって事でしょ。だったら今生での目的が何かしらある筈なのよ。国の中央にいる私としては、それが破壊的な方向だったら止めないといけないし、王位簒奪を考えてる場合でも対処しないといけないじゃない」



 そうか、破壊や王になるのも功績になるらしいし、この国の姫様なのだから、国の事を考えるのは当然って事か。



「まあ、四狼の事は4年以上見ていたから酷い事はしないと思うけど、よく今まで私を騙していたわね。全く気付かなかったわ」



 信じて貰えるのは嬉しいけど、騙してないって事は説明しといた方が良いよね。



「いえ、覚醒したのが今朝なので、あっさり見破られてしまったのですが……」



 そう答えると姫様は少し驚いたような顔をして詰め寄ってきた。



「四狼は確か14歳だったわよね? 普通10歳前後で覚醒するはずなんだけど、どういう事なのかしら?」



 さて、何処まで話していいものかな?



『詳細は話さずに、取得した能力の数が多いから、で良いと思います』


『残ってる転生点を全振りしたって事で良いと思いますよ』


『そうなると、いくつ位の能力を持ってる事にするかとか、どの能力を説明するかが問題だよね?』


『基本的に自分の能力は隠すものですので、詳しく説明する必要も有りません』


『只、姫様も鑑定を持っておられるので、隠蔽の能力はお伝えした方が良いのですよ』



 結局、月詠の意見を取り入れ、隠蔽の能力で隠しているけど、数多くの能力を貰ったので覚醒に時間が掛かったと説明したら、姫様は不思議そうにしながらも納得してくれた。



「能力が多いと覚醒が遅れるって、初めて聞いたんだけど、そんな事も有るのね」


「僕は他の覚醒者を知りませんから、女神様に聞いてた話と違うとしか感じませんでしたね」



 実際、今目の前に居る姫様以外の覚醒者を僕は知らないけれど、姫様の話し振りからは他の覚醒者も複数知っているのだろう。


 機会が有れば他の覚醒者にも会ってみたいものだ。


 目的によっては協力も出来るかもしれないし、して貰えるかもしれない。


 そんな打算的な事も考えていると、姫様が他の覚醒者に会ってみるかと言ってきた。



「それなら他の覚醒者にも会ってみる? さっき言ってた平田幻奉も覚醒者よ。気になるのでしょ?」



 平田幻舞に会えるのは嬉しいけど、忙しいんじゃないかな?


 まあ、姫様が会いに行けば会わない訳にはいかないのだろうけど。


 それよりも気になるのが。



「平田さんの事を勝手に覚醒者だって話して良かったのですか?」


 一応、かなり重要な個人情報だし、勝手に話すのはどうなのかな?


 僕も今後どうするか決め目兼ねているので、どう影響するかも分からない覚醒についてを、知らない所で話されるのは困るからね。


「それは本人に確認済みよ。相手が覚醒者で信用出来そうなら、話しても構わないそうよ」



 姫様に信用出来ると言われるのはとても嬉しいけれど、目標を定めるまでは秘密にしておいて貰おう。



「お気遣いは嬉しいのですが、まだ覚醒してから数時間ですので、今後の事も決めかねています。もう少し気持ちの整理が出来たら、お願いしても宜しいでしょうか?」


「そうね、私も覚醒数時間なんて人には会った事がなかったわ。気持ちの整理が出来たら教えなさいね」


「はい、お気遣い有難う御座います。それと、僕の事も考えが纏まるまでは、余り公にしないで貰えると助かります」


「覚醒の事も、四狼が望まない内は父上以外には話さない事にするわ」


「王様には話されるのですか?」


「一応、国防に関与する情報だからね。国王に離さない訳にはいかないのよ。まあ、四狼も直接会った事が有るんだから、特に心配する様な事は無いわよ」



 国防か、確かに能力によっては国に大きな被害をもたらす者も居るかもしれないから、仕方が無いか。


 実際、複製世界で試した僕の攻撃力が有れば、この街を消し飛ばす事も出来そうだし、この辺りは黙っていた方が良さそうだ。



「この国にその様な危険な覚醒者が現れた事が有るのでしょうか?」


「国に害する程の覚醒者は現れた事は無いけど、大勢の人を殺した者なら過去にそれなりに居るのよ。盗賊団を作った人とかもね」


「僕は意味も無く人を殺したりしませんし、盗賊になんてなりませんよ。その前に父上に殺されます」


「あはは、確かに四狼のお父上なら自分の息子が盗賊になんてなったら真っ先に切りに行きそうよね。


「姫様、他人事だからといって笑わないで下さいよ」



 姫様は僕の台詞に納得したのか、楽しそうに笑てっている。


 やっぱり笑っている姫様はとても可愛いなと、僕は思った。



「でも、数年だけど四狼の事は見てたから、その辺りは信じてるけど、四狼は王様になりたいとか思わないの?」


「そんな大それた事は考えていませんよ。例え王様を目指すとしても、既にある国を乗っ取ったり、滅ぼしたりするのは違うと思いますので、新しい土地を探しますよ」



 うん、余り他人に迷惑とか、掛けたくないからね。


 それに、姫様みたいな美少女に嫌われるのは避けたい。


 楽しそうに笑っている姫様を見ていると、なんとなくそんな気がした。



「新しい土地ねぇ。そっちの方が難しそうだけど、四狼が国を出て行くとしたら、私も寂しくなるわね」


「とても嬉しい話ですが、僕なんかが居ない位で寂しいとか言わないで下さい。たとえ国を出ても時々返って来ますよ」



 姫様は少し呆れた顔をして言った。



「僕なんかとか言わない! 私なりに四狼の事は気に入っているのよ。やっぱり会えなくなるのは寂しいわ。それに、国を興したらそうそう帰ってなんて来れないわよ」


「えっと、何で国を興す事が前提になっているのでしょう? 国を出るとしても旅行位ですよ」


「あははっ! この魔物の溢れる世界で旅行なんて、四狼は大物なのね」



 姫様が少し驚きの混ざった顔で感心している。


 確かに、魔物の事をすっかり忘れていたけれど、今の僕にとって脅威になる魔物ってどの位いるんだろう。



『ご主人様の脅威になる魔物など存在しません』


『龍だって余裕で瞬殺なのですよ』



 どこまで本当か分からないけれど、二人の案内人によると大丈夫らしい。



「そうでした、この世界は魔物が居るのでしたね。まだ覚醒の影響が残っている様です。すっかり忘れていました」


「その辺りは気を付けなさい。本当に命に係わる事なんだからね」


「はい、お気遣い有難う御座います」


「一応、伝えておくけれど、今の所この街で確認されている覚醒者は私と四狼も含めて14人よ。この14人は安全が確認されているけれど、それ以外に居ないとも限らないから、見付けたら気を付けなさい」


「気を付ける、とは?」


「確認出来ていないって事は隠しているんだから、何かを企んでいる可能性もあるでしょ?」



 なるほど、確か天照の情報だと、この街には20人の覚醒者が居るって話だったけど、他の6人は未発見って事なのかな?



『頻繁に街を出入りしている者が一名いますし、地図検索でも出来ない限り王家でも未確認の者が出るのは仕方ない事だと思います』


『それだけ主様の能力は優秀なのですよ』


『それって自画自賛になってない?』


『複数の能力を組み合わせる事で更に能力を伸ばせるのですから、数多くの能力を持っている人程出来る事が増えていくのですよ。略全能力を持つご主人様の能力が優秀なのは当然なのですよ』


『まあ、それはそうかもしれないけれど、それよりも、その頻繁に街を出入りしている人って何者なの?』


『能力が前世知識しかありませんので、街の外で狩り等をして生活している様です』



 それは結構大変そうだ。


 そもそも、何で前世知識だけ取得して終わりにしたのだろうか。


 単純に転生点が足りなかったのだとしても、貯めようとか考えなかったのかな?


 実際、来世の為に貯めようって考えるのも難しかもしれないけれど、地球の様に魔物が居ない世界から、魔物のいる世界に特別な能力も持たずに前世知識だけ有っても、返って辛いような気がするんだよな。


 まあ、前世が地球の様な世界ならともかく、この世界みたいに魔術系の能力が有る世界だったら、それなりに有用な知識も有るのかもしれないけれど。


 うん、もし会う事があったとして、その人が良い人で、何か協力が必要だったら手を貸してあげれば良いかな。


 少し上から目線な気もするけれど、間違いなく僕の持っている数々の能力は強力なんだからしょうがないよね。


 実際、一生働かなくても食べていけるだけの資産が既に有る位なんだから、少し卑怯な気もしているのが本当の理由なのかもしれない。


 等と自分に言い訳しながら考え込んでいると、姫様が話し掛けてくる。



「折角だから午後は私に付き合わない? 異世界転生の定番! 孤児院に案内するわよ」


「孤児院が定番なのですか? それに僕が行って良いのでしょうか?」


「異世界転生して、金銭的余裕が有るんだったら、まず孤児院に寄付でしょ!」



 姫様が少しドヤ顔の入った顔で胸を張りながら言い切る。



「そんな事を当り前みたいに言われても、僕には分かりませんよ」


「私も今生では姫だから、お金はそこそこ持っているし、国の為になるって事で予算も増やさせたからね。いくつかの孤児院を時々回っているのよ。折角だから、四狼も付き合いなさい」


「姫様の要望には逆らえませんから、お供させて頂きますが、先にお昼にした方が良いのではないでしょうか?」


「そっか、もうそんな時間だったのね、ご馳走になっても良いのかしら?」


「大丈夫でしょう。お城ほどの物は用意出来ないと思いますが、宜しかったら食べていって下さい」


 こうして意図せずに転生仲間が増え、今日の午後の予定も決まってしまった。

使わない様に気を付けていた心算だったのですが、4話の一角に複数ありましたので訂正しました。


空間魔法→空間魔術

魔法金属→魔導金属

魔法道具→魔道具

魔法薬→魔術薬


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ