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新しい家族

大変長らくお待たせして申し訳ありません。

予定を大きく遅れてしまったのは、七割方書いた時点でファイルが壊れてしまったので、書き直していたのと、ワクチン三回目にして初めて寝込んでしまった為です。

次回は予定内に更新できる様、頑張ります。


そしてブックマークをして下さった方、有難う御座います。

今回短めですが、僅かでも楽しんで頂けたら幸いです。

 〇七八 新しい家族


 午前に新しい魔道具を持って来た四狼に誘われて、昼前から食事会に出掛けていた一刃が何故か町外用の大型自走車で送られて来た。

 何事かと思ったら、同行してくれた春菜義母君が説明してくれた。

 なんと、遂に一刃が懐妊したのだという。

 中々妊娠しなかった為、自身の種無しを疑い始めていた処に聞かされた朗報に、思わず二重で喜んでしまった。


「巧さん、これで来年には貴方も父親です。自覚を持って、今後も励む事を期待します」

「ご忠告、ありがとうございます、春菜義母君。最近は四狼が色々と商売の種を持って来てくれるので助かっております」

「ええ、最近は四狼も頑張っている様で、頼もしい限りです」


 春菜義母君も四狼の事を嬉しそうに話す。


 その後、春菜母君に一刃の初めての妊娠という事で更に幾つかの注意を受けると、一刃達を降ろすと何処(どこ)かに行っていた自走車が迎えに来て、春菜義母君が帰って行った。


 そこで運転していたのが四狼だった事にもう一度驚いた。

 何時の間に自走車の運転を覚えたのだろうか。

 最近は新しい商品を持って頻繁に来てくれるが、会う度に驚かされる。


「預かり物の自走車らしいけど、父上の自走車よりも余程乗り心地が良かったわ」

「それは凄いね」


 確か一刃の実家の自走車は、僕の持っている自走車より高級品だ。

 それを上回る乗り心地となると、相当な物になる。

 更に町外用ともなれば、当然値段も更に跳ね上がるだろう。


 最近の四狼は何処かおかしい。

 悪い意味ではなく、僕にとっては都合の良い、助かる方向にだが、変わった気がする。

 そもそも知り合って数年経つが、今までは武術や魔術の修行に姫様への指南と、典型的な武闘派で、商売に興味を示した事等無かったのだ。

 先月に彼も十四になり、何も無くても来年には成人だし、仮に義父君が認めれば今直ぐ成人扱いになれる仮成人の歳になったのだ。

 恐らく将来を考えての行動の変化なのだろう。春菜母君が自慢げに語る訳だ。


 今の四狼なら我が商会に来てくれれば護衛任務だけでなく、商売でも十分に戦力になる。

 少しだけ我が商会への就職を期待したが、恐らく姫様がそれを許さないだろう。

 今はまだ候補でしかないらしいが、二人は年齢も近く、とてもお似合いだと思っている。

 残念だと思う気持ちもあるが、四狼はその方が活き活きと新しい商品を紹介してくれる気がする。

 産まれてくる子の為にも、四狼の持って来てくれた儲け話を上手く捌いて、商会をより大きくしてみせよう。

 僕は新しい家族と四狼に、そう誓った。


    ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 一刃姉上を自走車で家まで送り、赤熊を売却して屋敷に帰った僕は、道場に向かう春菜母上と別れ、解体小屋に向かう。灼熱熊の解体をしたと言い訳する為だ。

 解体小屋で少し時間潰すと、早めの風呂に入ってから夕食までのんびりと過ごした。


 夕食は焼肉会に参加できなかった一狼兄上と三狼兄上の為に、また肉主体の献立になったが、美味しい肉に変わりは無く、五狼と三刃も喜んで食べている。

 三狼兄上に至っては「流石姫様が狩った肉だ! 美味い!」と、大喜びだった。

 誰が狩っても肉自体の味は変わらないと思うのだが、これが恋は盲目という奴なのだろうか。

 症状は目ではなくて舌に出ているので、恋の味覚障害といった方が良いのかもしれない。

 寧ろ、これこそが愛情が最高の調味料だという事なのだろう。


 そんなくだらない事を考えていると、春菜母上が一人だけ未だ告げられていなかった三狼兄上にも、一刃姉上の懐妊が告げられる。


「おお!それは目出度(めでた)いな。父上にもお知らせしたのですか?」

「遠征中の父上にお知らせするには城を経由する必要があるからな。そこは伊吹に頼んだ」

「成程、遠征中の朗報ともなれば、父上も喜ばれるだろうな」

「寧ろ早く帰って来る為に直接狩りに参加するかもしれん。それでは部下の修行にならんし、狩られる側にとっても不運な事だな」


 三狼兄上と一狼兄上が楽しそうに話すのを聞き流しながら夕食を済ませた後は、何時もの様に五狼達の呪力操作の練習に付き合っていると、今回は三狼兄上も参加して来た。


「こんなものは手足の先に集められれば問題無い!」


 三狼兄上はここでも脳筋振りを発揮したのか、呪力操作も豪快だった。


「それでは一部の単純な技にしか応用ができません。五狼達は術の精度や発動速度を上げる為の呪力操作を練習しているのですよ」

「つまり、俺は術が使えんから、この修行は意味が無いという事か?」

「いえ、二狼兄上の得意技でもある刃置や刃壁の様に、繊細な呪力操作の必要な技も多数あります。呪力操作が使えないと獲得できない能力もあるそうですから、できても無駄にはならないと思います」


 刃置は呪力斬の斬撃を飛ばさず、その場に暫く留める罠の様な技で、刃壁はその刃置を複数並べて文字通り壁の様にする技だ。

 何方もただ呪力を刃に流して放つだけの呪力斬より、相応に精密な呪力操作が必要だ。


「益が有るのなら、やり方を詳しく頼む」


 三狼兄上も強さには貪欲だから、本格的に興味が出てきた様だ。


「五狼、僕が初めにやった様に、三狼兄上に呪力を流して操作してみてくれ」

「僕がですか?」

「これができれば、呪力操作まであと一歩だ」

「やってみます」


 やる気を出した二人が手を繋ぎ、呪力操作の練習を始める。

 暫く続けていると、三狼兄上も一人でできる様になったが、やはり大きく操作するのは問題無いのだが、細かな微調整はまだ苦手な様だ。

 川の流れの様に一定ではなく、心拍の様に強弱が有る。先は長そうだ。


 やがて、魔道食洗器のおかげで食事の後片付けが簡単になった女性陣も戻って来ると、三狼兄上が参加しているのを見た三刃に誘われて、二刃姉上も加わって呪力操作の練習をする。

 二刃姉上は言霊術を持っているだけあって、助力無しで練習を始められた。

 この分なら早々に呪力操作も獲得できそうだ。


 そうして小一時間程練習を続けていると、流石に三刃が疲れて来た処でお開きにする。

 最後に、明後日の狩りの準備の確認を其々にやってから寝る様に言っておいた。

 今日確認しておけば、足りない物や交換が必要な物が有っても、明日準備できるからだ。


    ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 自室に戻ると最近の日課になっている記憶統合をする。

 どうやら、アルベール王国からの初日の移民は六万人強といった処だった様だ。

 昨日発表の今日なので、思っていたよりは多い。

 どうやら、殆ど準備の要らない路上生活者や孤児等が中心で、家族で移民した者は五百組程度だったみたいだ。

 その家族も低所得層なので、結局荷物が少ない分、身軽だっただけなのだろう。


 今はまだ少ないが、三~四日後には食事の配布も終了させる予定なので、その後は移民も加速するだろう。

 此処まで進めば当分はライルさん達に任せて、僕は様子見だけで十分だろう。

 暫くは分体二号の出番も余り無さそうなので、明日からは他の分体の様に、他の地域の救助活動に移る事にする。


 但し、旅館別荘は移民完了までそのまま残して、アルベールの覚醒者の保養に使う予定だ。此方の方が一般配布の食事より豪勢にしているし、温泉もあるからね。

 そして今までに用意した精密型はライルさん達に付けたので、新しい温泉要員として精密型を男女二体ずつ用意した。

 名前は男性型が一指と二指、女性型が()み子と()で子だ。

 名付けが益々いい加減になって来ているが、元々精密型は指圧用に用意したのだから、名前は判り易ければ良いと思ったのだ。

 それに、入浴後の後のマッサージはとても心地良いから、指圧要員が居ないと温泉の魅力も若干減少してしまう。

 一応マッサージ椅子も日本産の物が無限倉庫にあったのだが、この世界にはコンセントが無いので使えないのだ。

 今後、こういった電化製品の魔道化も考えなくてはいけない。



 監獄惑星の病院島の病室も、アルベールの負傷者を解放した事で空いていたので、無限倉庫に隔離していた重体の火山被害者の治療に使い始めた様だ。

 此方は状態は重いが、症状としては骨折と打撲や火傷等の単純な怪我ばかりなので、基本的に医療用の絡繰りに任せても問題無さそうだ。

 人数が多いので、一度に開放しても混乱の続く現地での対応が間に合わないだろうから、現地の余裕を見つつ順次回復させては解放を続けよう。


 しかし、これだけ被害が大きいと、隠れたままでは今後の復興支援は難しいかもしれない。

 さて、此方(ここ)では如何(どう)いった形で関わるべきか、アルベール王国の時の様に行き当たりばったりで上手く行くとも限らない。

 月詠達には、もう少し慎重な方法での支援の検討をお願いしておく。



 複製世界の分体一号は相変わらず色々と作っていた様だ。

 中でも特に重要な自走車の開発も、車体の素材に魔導金属を使わずに、普通に鉄と軽銀アルミで作って、市場に流せそうな物の見本も一応出来ていた。


 町乗り用に軽四程度の大きさで、馬力も低く安く作れる物と、それより高くなるが車高高めのSUV的な大きさで、町外用の頑丈な自走車だ。

 後は試作車で狩りに行って、皆に感想を聞いてから修正を加えれば本当の完成だ。

 但し、何方も値段を優先した為、狩り用に作った試作車に比べると、馬力も魔力効率も比べ物にならない。


 そもそも試作車が異常に高性能なので、寧ろそちらの方が問題だろう。

 総魔導金属仕上げな為、魔石や呪力の補充なく周囲の魔素だけで走れる。

 つまり、太陽光だけで充電不要な電気自動車の様な物なのだが、魔素は天気や昼夜に関わらず在るので、見掛け上の永久機関車の様になってしまったのだ。


 まあ、僕が使う分には詳しく説明でもしない限り、ばれたりはしないだろうから大丈夫だと思いたい。

 その偽装の為にも早めにこの電気自走車を、いや、走る仕組みが自走車とは全く違うし、魔力を変換しているのだから、電気魔道車と言った方が良いかな?

 名称は兎も角、僕が自由に乗り回せる様に、早くこの車を普及させた方が良いだろう。

 又しても巧義兄上に負担を掛けてしまう事になるが、他に伝手が無いので致し方ない。

 身勝手な意見だが、その分、巧義兄上にも利益が有るのだし、新しい家族の為にも、商人なら頑張って稼いで欲しい。



 他の分体は相変わらず盗賊や魔物に襲われている商隊等、困っている人々を助けて周っている。

 今は初めの頃の様に派手に魔術を使って直接戦闘不能にしたりせずに、一寸足を滑らせたり、草を絡ませたり、地面をへこませたり突起を作ったりして転ばしたりと、半ば嫌がらせの様に目立たない支援を繰り出して、止めは当人達に任せている。

 僕の功績としては減るらしいが、派手に盗賊や魔物に雷が落とすと天罰として神様の功績にされ、それを宗教に利用して利益を得ようとする者まで現れたので、そいつにも雷を落として黙らせたりと、違う問題が発生したからだ。


 一度直接姿を現して協力もしたのだが、今度は次の町まで同行しないと、何処に行くんだという話になった。

 それでは次の救助に急いで行けなくなるので、結局陰からの支援に徹する事にしたのだ。

 但し、余りにも戦力に差が有る場合は仕方が無いので、こっそり盗賊や魔物を無限倉庫に回収して去る事にした。

 目の前の敵に集中している所為(せい)か、伏兵や後ろの方から徐々に回収すると、案外気付かれないみたいだ。

 数が減れば、通常のこっそり嫌がらせ支援で何とかなる。

 回収した魔物や盗賊は、その内纏めて監獄惑星の適当な島にでも棄てれば良い。その為に作ったのが監獄惑星なのだから。


 何はともあれ、今日も相変わらず世界は殺伐としていた。


 少しもやっとした気分を抑えつつ、明日に備えて眠る事にする。


「おやすみなさい」



読んで下さった方々、有難う御座います。

次こそ三週間以内に更新出来る様に目指して頑張りますので、次回も読んで頂けると嬉しいです。

また、気に入って頂けましたら、ブックマークや評価等もして頂けると、とても励みになりますので宜しくお願いします。

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