功績の積み方
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〇六九 功績の積み方
「とても美味しかったです。でも、シロウさんの服装やこの建物の雰囲気から、お菓子なら和菓子だと思っていましたわ」
お菓子を食べ終えたリーズさんが洋菓子は意外だと言うが、この部屋は畳でなく板張りだから、寧ろ洋菓子の方が合うと考えたのだ。
「勿論、和菓子も有りますが、其方は次の機会に致しましょう」
今まで低カロリーで過ごしてきた者に、いきなり高カロリーのお菓子の食べ過ぎは良くないだろうと説明すると、皆も納得してくれた。
「それで、やはりシロウ殿の出身地は、日本の様な国なのだろうか?」
「そうですね、色々混じっていますが町中は概ね現代人の考える昔の日本といった感じです。但し町の外は魔物が跋扈していて危険なので、とても同じとは言えませんね」
ダニネルさんの質問に答え、体長五メートル越えの熊や、翼幅九メートルにもなる雷鳥の話もすると初耳の者が驚き、更に正竜は体長が百メートルを超える事や、鯨に至っては体長二キロを超えると説明すると、そんな国には行きたくないと言われた。物騒な話をし過ぎたらしい。
実際には正竜は縄張りの山からは滅多に出ないし、町に来る事も無い。鯨に至ってはそもそも海にしか居ないのだから、街道を進む分には何方にも遭遇しない。郷の町周辺の街道にまで出てくるのは灰色狼や槍猪、一角鼠位だ。
そして僕達の作る国は別の場所だし、町は防壁で囲み、安全な街道も用意する予定だと説明すると、若干怯えながらも納得してくれた。
「何度聞いてもシロウ様の様な強者が住む国というのは、やはり魔物も強力だからこそ、其処に住む者も強者になるのですね」
此方の国とは大違いだとライルさんは頷く。
「強者といえば、シロウさんが国内の共和国兵を一掃して下さったのだとか。どの様にやったのか伺ってもよろしいかしら?」
「そういえば詳細は私も聞いていなかった。良かったらお聞かせ頂けませんか?」
僕の戦闘を直接見せていないリーズさんが、ライルさんの言う僕の強さが気になったのか、共和国兵撃退の方法を訪ねて来る。
リーズさんの質問に、ライルさんも詳細が気になった様だ。
「簡単に説明すると、共和国の者を探し出して共和国に転移で送り返しただけです」
「ああ、探索の魔道具とやらと、あの襖ですな」
「それも誰も気付かない内に達成してしまったというのだから、共和国兵に大きな反撃すら許さずに制圧したという事だ。あれだけの手下が居ればそれも可能なのだろうが、それは同時に彼らの強さも相当なものだという事の証明でもある」
ダニエルさんとライルさんは大量の絡繰りが人海戦術で片付けたと、僕に都合の良い勘違いをしてくれた様だが、通常型でも人換算位階で六十四もあるのだから、実際には共和国兵を殲滅する事さえ余裕で可能だ。
「シロウさん本人も、とってもお強いんですよ」
フランさんが僕が銃弾を刀で弾いたり、素手で手掴みしてみせた時の事を楽しそうに話すと、ライルさんが昼間にも同じ事をしたと話し、二人意外を驚かせていた。
「どうやったら銃弾を掴むなんて事ができますの?」
「一番簡単な方法はレベルを上げる事です。この世界の人は元から地球人とは比べ物にならない程に頑丈ですが、レベル次第で更に強靭になれます。例としては、レベルが三十二を超えた辺りで水虫や虫歯にもならなくなりますし、拳銃弾程度なら筋肉を貫けなくなります」
「それは、羨ましい効果ですな」
「そうね、虫歯は前世で懲り懲りよ」
その反応に皆が頷く。皆、過去に虫歯になった事が有ったのだろう。それに歯医者って、治療音だけで恐怖感があるもんね。
そして、レベルが低くても堅固や結界の能力、障壁や身体強化の術、魔力集約の防御力向上等、他にも色々な方法で銃弾を防ぐ事が可能な事や、思考加速や危機感知、行動速度上昇等の能力が有ると、銃弾を見切れる様になるので銃弾を躱したり弾いたりし易くなると説明する。
「剣で銃弾を斬るとか、確かに浪漫ですな」
「私にはできる気がしないのだが」
「この世界でなら、修行次第で多くの者ができる様になりますが、単純にレベルを上げるのが一番簡単な方法でしょう。レベル上げも功績になるそうですしね」
弾丸を斬るには相応の技術が必要になるが、当たっても大した怪我をしなければ防ぐ必要すらなくなるのだから、下手な修行をするより余程単純だ。
「強くなる方法は何となく理解しましたが、そもそも我々の根源目標である筈の功績自体が、如何すれば積めるのか、詳細が分からないのですがシロウ様は何かご存じなのですか?」
ライルさんの疑問も尤もだろう。僕も天照達が居なかったらさっぱりだったのだ。
なので天照に聞いた情報を、話せる範囲で皆にも功績の積み方を開示する。
「一番単純なのは子供を沢山作って育てる事です。但し、それだけだったらわざわざ魔物の蔓延るこの世界に転生した意味も有りません。地球でも十分にできますから」
「確かにそうだな、魔物の居る世界に転生する必要は無いし、子育てなら寧ろ魔物等いない方が良いだろう」
ライルさんが同意すると、他の者も頷いて同意を表す。
「次に単純なのは他者を殺す事です。つまり狩りを行い、魔物や獣を狩れば良いので、ある程度のレベルになったら、手頃な獲物を狩るのが良いと思います。レベルの上り方も早くなるので一石二鳥です。一応補足ですが、殺すのは人でも構わないみたいです。お勧めはしませんが、盗賊の様な襲撃者を返り討ちにするのは有りかもしれません」
この案には女性陣は微妙な顔だ。ジスランさんは農作業の一環で害獣駆除等もするだろうし、貴族男性の二人も当然戦闘訓練を行っている筈なので、動物や盗賊を殺す事に余り抵抗感は無いのだろう。
しかし、メラニーさん以外の女性陣は、そうでもなさそうだ。
「直接生き物を殺すのは嫌だと云うのでしたら、物を作るのも良いでしょう。既に有る物より、新しい魔道具等の開発ができればより良いのですが、此方は相応の知識や能力が必要になります。功績まで辿り着くのは結構大変かもしれません」
「私は其方の方が興味が有ります。地球の家電みたいに便利な道具が欲しいです。手洗いの洗濯は大変なんですよ」
「私の年齢になると、新しい勉強は辛いわね」
ペリーヌさんは魔術だけでなく、魔道具にも興味が有るそうだが、単純に前世の道具の便利さを実感しているのが大きい様だ。
そしてリーズさんは年齢を理由に勉強を嫌がっている。貴族の彼女は洗濯も自分でしてないだろうしね。ちなみに八神家の家訓は「死ぬまで修行」だったりするので、リーズさんも頑張って欲しい。
「最後が称号を得る事ですが、身分も称号になるので身分を上げるのも良いでしょう。此方は僕が国を造って王を目指す理由の一つですね。作る事と身分とで二重で功績が得られますし、より多くの国民を得る事でも功績が増えるそうです。称号については様々な行動で得られるそうですから、皆さんも色々やってみると良いでしょう」
「でも、移民後は身分を白紙にされるのでしょ? それだと私達が移民をしたら、身分が下がるだけで損をする事になるんじゃないかしら? それに、称号って結局何なの?」
「身分については相応の仕事をして頂ければ、仕事内容に応じた身分を保証します。但し、今程明確な上下関係ではなく、身分が上になる程に義務が増える分、権利も増える形になります。
できれば皆さんにはライルさんと同じ様に代官になって、町を運営して頂けると助かります。」
「私達もライル様と同じ代官に!?」
ダニエルさんが、ライルさんと同じだという事に驚いて訊ねて来る。
「ええ、代官になって頂く方には仮町では一律にその町だけを、正式な町に移った後は、ライルさんには周囲の町全体を管理して貰う、県知事の様な役職に。他の方にはその下で、市長の様な役職に就いて頂きたいと考えています。
そして人口が増えれば、新たな県知事も必要になるかもしれませんので、その時にはライルさんと同じ、県知事を頼むかもしれません。
知事や市長には領主程の強権は有りませんが、代わりに町の発展に合わせて報酬も追加で出す予定です」
「あの、子供の私に代官は無理だと思います」
「お、俺も無理だ。農民の俺に代官の仕事なんて分らねぇし」
「私もリーズ様にお仕えする身、代官は遠慮致します」
庶民の二人は町の運営等の知識が無く無理だと言い、メラニーさんは移民後もリーズさんに仕えたいと言うので無理強いはしない。
「農業が得意なら畑等を優遇しても良いし、農業組合の管理や職員という仕事もあります」
国の組織の職員なら身分も付与できるから、功績にもなると補足しておいた。
但し、皆にはできる事、やりたい事を優先して欲しいし、その中で協力しあえる事が有れば、相談に乗ると僕は伝える。
「女の私が代官をしても、よろしいのでしょうか?」
「僕は男女で役職を分ける気はありません。この世界では、レベルが上がれば能力に男女差は殆ど無くなりますから、能力重視で考えています」
実際、家の女性陣は其処らの男性よりも圧倒的に強い。そんな中で育った僕が、女性だからと下に見る事ができる筈が無いと、皆にもそう伝える。
「シロウ様のご家族も相当な強者の様ですが、それはシロウ様よりもお強いのでしょうか?」
「今は僕の方が強いですが、能力に覚醒してなければ母上方も姉上達も圧倒的に僕より強いですね」
僕が若干遠い目をすると、ライルさんがそれ程なのかと驚愕したので、一番下の兄以外は全員拳銃弾位は武器で弾けると伝えた。
序でに故郷の上層部では、前世知識持ちを覚醒者と呼んでいる事も伝える。
前世知識を持っていなくても略全ての人が転生した人なので、僕達だけを転生者と呼ぶのも変だし、前世知識に目覚めると他の能力も効率的に使える様になる者も多く、文字通り何かに覚醒した様に活躍する場合が多いからだという、桜花様から聞いた話をそのまま伝える。
ライルさんの話から、リーズさんもそんな感じだったのでは、と尋ねると、リーズさんは恥ずかしそうに俯き、メラニーさんが僕の考えを肯定してくれた。
「覚醒者、分り易くて良いですな。私達も今後はそう呼びましょう」
ライルさんの提案に、リーズさんだけは少し恥ずかしそうにしながらも、皆が頷く。
「話が逸れてしまいましたが、もし旦那さんとの立場で問題が有るのでしたら、旦那さんを代官にして、リーズさんにはその補佐という形でも構いません。但し直接の身分でない分、リーズさんの功績は減ってしまいます」
何方が代官になるかは夫婦で相談して貰えれば良い。
但し、リーズさん夫妻に関わらず、代官としての能力が無ければ、他の人に交代させる可能性も皆には伝えておく。上が無能だと下が悲惨な事になるからね。
「旦那様に相談してみますわ」
リーズさんは代官に前向きに検討してくれるそうだ。
「称号については、様々な行動に由って積んだ、功績の証明の様な物だそうです。
但し、その行動に良し悪しは関係ありませんから、悪い事をしても称号を得る事が出来ます。つまり、犯罪行為も功績になってしまうので気を付けて下さい。流石に皆さんでも犯罪を犯せば処罰しない訳にはいかなくなります」
「その称号というのは、どうやって確認するのでしょう?」
ライルさんが称号の確認方法を僕に訊ねると、他の人も気になるのか、何人かが前のめりになっていた。
「称号は生物鑑定の能力が上がれば分かる様になりますし、専用の魔道具もあります。皆さんも自分の称号が知りたければ、後日個別でお教えします」
これは他のに人には知られたくないだろうという配慮だ。
「鑑定で名前や能力以外も分るとは知りませんでした。でも如何すれば鑑定の能力が上がるのでしょう?」
「どの能力でもそうですが、何度も使い続ける事で能力の熟練度は上がります。更に鑑定も含め幾つかの能力は、本人のレベルが高い方が上がり易い傾向が有る様です。
あと、フランさんの病名を知れた様に、鑑定能力が高いと病気や怪我等の状態も、より詳しく知る事ができる様になりますし、前世知識等の固有能力も分る様になったりと、鑑定能力が高くなると色んな事が分る様になるんです」
「鑑定がそこまでの能力だとは知りませんでした。能力も鍛えると、そこまで使える幅も変わるのですね」
ダニエルさんは感心と共に納得してくれた。
「うーん、能力が高いと言われても判断できませんわ。あら、レベルは本当に高いのね、それにやっぱり若いわね、フラン様と同じ十四歳ですのね。言霊術とは何かしら? 能力名が分かっても詳しい事が分らないわ」
リーズさんは僕を鑑定して能力を調べた様だが、彼女の鑑定の熟練度では、僕の能力の熟練度を見る事はできなかった様だ。僕もお返しにリーズさんを鑑定し返す。
「では、お返しに僕も、リーズさんの年齢は二十六歳で、身長が百五十五センチで、体重やスリーサイズは言わない方が良いでしょう。能力は……」
「待ちなさい! 身体のサイズまで分かるのっ!」
リーズさんが僕の言葉を遮って言葉を被せて来る。
「納得頂けましたか?」
「分ったけど、女性の身体のサイズを勝手に調べるなんて、セクハラよ」
「先に僕を鑑定したのはリーズさんですよ。鑑定結果も熟練度に由りますから、分ってしまう物は仕方がないかと。口にしなかったのですから、セクハラは勘弁して下さい。
鑑定自体は能力を磨く為と、自己防衛の為にも積極的に使うべきだとは思いますが、自分より何倍も強い者を鑑定すると、脳に負担が掛かる場合が有るので、明らかに格上には使わない様に気を付けて下さい。
そして結果を軽々しく話さない事です。鑑定した事を隠せますし、相手も鑑定を持っていた場合は鑑定され返されますから」
「忠告ありがとう。良く分ったわ」
リーズさんは僕を少し睨みながらも、一応の納得はしてくれた様だ。
読んで下さった方々、有難う御座います。
次も一週間~三週間位でに更新出来る様に頑張りますので、また読んで頂けると嬉しいです。
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変更修正報告
通常型絡繰り人形上位の人換算位階を、簡易型と差異を分かり易くする為に四十八から六十四に変更しました。
〇六四話の若返り方に、女神様の言っていた方法が抜けていたので、若返りの秘薬を追記しました。
若返る薬も有ると理解して頂ければ、読み返す必要は無いと思います。




