表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/103

今後の目標

「これで今やっておく事は終わったのかな?」

『最後に今後の目標について、指針だけでも決めておいては如何でしょうか?』

『お勧めは出来る事は全部頑張る、ですよ』

「全部って何やらせる気なの?」


 月詠の無茶振りが怖いんだけど、何をやらせる心算なんだ?


『ご主人様には後が有りませんので全部頑張るのには賛成ですが、相反する目標も有りますので、どちらの方を目指すかだけでも決めるべきかと思います』

「方向って、具体的にはどういう方向があるの?」

『はい、簡潔に申しますと、生かす方か、殺す方か、です』

「いやいやいや、殺すのはなるべく避けたいんだけど」


 殺しまくりの殺伐とした人生なんて嫌だからね。

 殺すのは自衛と食料確保位で収めておきたい。


『でしたら生かす方向ですね。いっぱい産ませると良いのですよ』

「うますって、何?」

『ハーレム作っていっぱい子作りですよー』

「ハーレム!?」

『そうですね、子作りだけでしたら3桁は作らないといけませんし、一人の女性では無理が有るので他にも何人か娶る必要が有ります』


 3桁の子作りって流石に無理だと思うよ。


「ハーレムもそうだけど、3桁とか無理だよ」

『それでは他にも人助けですが、聖人か英雄辺りも目指しますか?』

『不幸な人を探して助けまくりなのですよ』


 なんか、積極的に不幸な人を探すのも違う気がするんだけど。


「それじゃあ他人の不幸を喜んでいるみたいなんだけど?」

『その方が不幸なのは、その方自身やその方の周りの問題なのですから、ご主人様が気になされる必要は有りません』

『目的は不幸の排除なのですよ。不幸を喜んでいる訳じゃなくて、お助けするのですよ』


 確かにその人の不幸に僕は係わっている訳じゃないし、出来れば助けてあげれば良いのかな?


『後は助ける基準ですが、今まさに命の危険にさらされているご主人様好みの女性、で宜しいかと思います』

「命の危険限定? しかもなんで女性限定なの? 更に僕好みって??」

『全ての不幸な人を助けるのは不可能ですし無意味なので、最も危険な状態の方を優先するのが妥当かと思います』

『女性検定なのは勿論、お嫁さん候補にする為なのですよ』


 あれ? 話がハーレムに戻ってる?


「結婚はハーレムとかじゃなくて、まずは普通の結婚を目指すべきだと思うんだけどね」

『分かりました、まずは朝夕1回地図で不幸女性を検索してお助けしつつ、嫁候補も探すという方向で良いでしょう』


 嫁探しは確定なのね。

 一応、悪い人じゃなかったら男でも助けるよ。


『他に殺さない功績だと後は王様とかどうですか?』

『ご主人様は既に国造りに必要な土地や戦力をお持ちなので、後は国民さえ集められれば建国も可能です』

「土地って複製世界の事?」

『そうですが問題ありますか?』

「あそこは別世界だから余り他の人を連れて行きたくないんだよね。自力で帰れなくなるから拉致っぽいし」

『なるほど、でしたら何処かの無人島を使うしかないのですが、大きな島は既に他の国が有りますので、かなり小さな島しか残っていません』

『主様はどんな国をお望みですか?』

「どんなって?」

『山の多い国、海のある国、平地の多い国とか、変わった物では地底の国、海底の国、天空の国等です』

「いや、初めの3つは分かるけど、後の3つは何? 一寸カッコイイけど」

『他の国に支配されていない土地はあまりありませんから、先ほどの小さな島の地下や海中や浮遊島に作るという方法もあります』

「地下は分かるけど、海中とか浮遊島って何?」

『海中は海生種族や水陸両生種族の国がいくつかありますが、数はそれ程多くないので海底には土地に余裕が有ります。浮遊島は浮遊石という一定の大きさを超えると空中に浮き上がる性質をもった物質が、ある程度の割合で含まれる大きな岩の塊です。こちらもいくつかが空人族の国になっていますが、空で生活出来る種族が限られているので、空いている島も多くが残っています』


 地下王国っていうと魔王っぽいからちょっと躊躇うけど、海中都市とか、特に天空都市って凄くカッコイイ気がする。


「天空都市か、なんかカッコイイ響だね」

『天空王国に興味がおありですか? 一度行ってみたら良いのですよ』

『天空王国に行くには交易のある国から天空船に乗って行く以外の方法が有りませんが、天空船に乗るには交易のある国の商人の身分証が必要です』

『主様なら重力制御で空を飛んで入る事も出来ますが、不法侵入なので見つかると困った事になるのですよ』

「え、僕って空も飛べるの?」


 空を飛べるんだったら色々便利だよね。

 ますます天空都市に興味が湧いできたよ。


『重力制御で空も自由自在なのですよ』

『ご主人様が天空都市を気に入られた様ですので、適切な浮遊島を開発する事に致しましょう』


 あれ? 天空都市制作も決定なの?


「っていうか王様目指すのも決定なの?」

『当然ですよ。王様になってハーレムなのですよ』


 僕の意見は聞いて貰えないのかな?


『島の整備が一段落致しましたら住民の勧誘をする事になりますが、ご希望の住民像は有りますか?』

「いや、普通に犯罪者とかじゃなければ良いんじゃないかな?」

『種族等には拘らないという事でしたら、いくつかの税率の高い国から税率を低く目に設定すると言って移民の勧誘をしてみては如何でしょう?』

『先に住居を用意しておけば移動も転移門を使って直ぐですし、それが良いと思いますよ』

「ん? その転移門て何? 普通の転移と違うの?」

『転移は空間制御能力で行いますが、転移門は移動魔術です。転移は物体を入れ替える事で移動しますが、転移門は空間同士を繋げたトンネルの様なものです。大人数の移動や大量の物品を運ぶのには転移門の方が適しています』

『直接転移だと知らない人には場所を移動した事が判り辛いのですが、転移門だと歩いて潜るので別の場所に移動したのだと認識し易いのですよ』

「そっか、任意での移民だから自分で移動した方が本人達にも分かりやすいって事か」

『では方針が決まった様なので、その方向で島の選定と改造計画を立案致します。暫しお待ちください』

「あれ? 王様とか決定なの? 僕としてはもっと普通に生きたいんだけど」

『ご主人様、普通の生活というか、穏やかな人生ではあまり功績は積めません。何より時間が足りないのです』

『主様、これまでの200回以上の人生で功績を積まなかった主様が、普通に生きようとしたらまた功績を積まずに終わってしまうのですよ』


 確かに、きっと先送りにし続けて、そのまま終わりそうな気がする。

 でも、あんまり派手なのは好きじゃないし、目立つのはもっと避けたいんだけどな。

 なんか、恥ずかしいし、それに。


「僕なんかが王様とかやっても政治なんて分からないから国民が苦労するだけだと思うんだけど。それにあんまり目立つのは好きじゃないし、せめてなるべく地味な王様とか出来ないかな? ひっそりと少人数の国というか、もう一層の事国民は家族だけとか?」

『政治が分からないのでしたら、分かるお嫁さんを見つければ良いと思いますし、新しい国では国名が名前になりますから、変装すれば別人として認識されるのではないでしょうか? 更に家族だけだとただの家族で無人島暮らしですので国にはなりません』

『分体を使って同時に存在していれば、同一人物とは思われないのですよ』


 そっか、こういう時こそ分体を使えば良いのか。

 一層の事、王様も分体に任せてしまおうかなとも思ったけど、流石に無責任過ぎるから駄目か。


『そもそもこの世界はとても広いのですから、和富王国と接点を持たなければ国の存在すら知られる事がないかと思います』

『この星には300万を超える国が有りますし、先程も言いましたが毎日の様に国が亡んだり興されたりしていますから知らない国の方が殆どなのですよ』

『特に和富王国は島国ですし北東から南にかけて四千キロメートル以内には小島位しか無く人も住んでいません。反対側の大陸も把握している他国は精々隣の隣位までです。極端な話、星の反対側にある国等には、寿命の長い森人族ですら到達するのは略不可能です』


 森人族の寿命ってかなり長いんじゃなかったっけ?

 その寿命でたどり着けないって事は。


「それだけ遠いって事かな? それとも危険って事なの?」

『その両方です。この星の赤道距離は8千万キロメートル以上もありますし、それだけの距離を移動した場合、魔物にもそれなりに遭遇致します』

『大型以上の魔物は一部の英雄級の人以外では軍隊でないと勝つのは難しいのですよ』

『その英雄級の方でも数人で組めば勝てる、といった所です』

『海の魔物は大型が多いですから海を渡るのも簡単じゃないのですよ』


 そんなに距離が有るんじゃ空でも飛べないとまず無理だし、更に強力な魔物までいるとか、どんだけ危険な星なんだか。

 何か普通の人ももう少し世界を移動しやすく出来ないかなとも思うけど、移動門とか使えないのかな?

 まぁ、僕だけなら地図と転移もあるから関係ないみたいだけどね。


「そういえば、空を飛べる種族もいたよね? その種族だったら浮遊島にも来れるんじゃないかな?」

『可能性は有りますが、殆どの浮遊島は移動していますので近くを通らない限り気付かれないかと思いますし、人が住める状態にするには気圧や気温を調整する為に結界も張りますので外部からの侵入は難しいかと思います』

『空に浮いていますから、浮遊高度を高めにしておけば上から見られませんし、下から見てもただの岩と区別が付きませんよ』


 それなら問題なのかな?

 まぁ、来ても友好的だったら構わないんだけど。

 王様はともかく、空の島に家とかなんか秘密基地っぽくて楽しそうだ。

 って空で思い出したけど、僕って飛べるんだよね?


「聞き忘れてたけど、空を飛ぶってどうやるの?」

『はい、ご主人様は重力制御が使えますので、ご自身に掛かる重力の方向や強さを変える事で空中でも移動が出来ます』

「重力の方向を変えるって事は、上とか横に落ちるって感じなの?」

『その認識で間違い無いのですよ』

『重力制御を意識して一度浮いてしまえば後は移動したい方向を考えるだけで移動できます』


 空を飛ぶのは興味が有るので早速試したが、思ってた以上に簡単に飛ぶ事が出来た。

 正に自由自在だ。

 そして高く飛んでも考えていたより恐怖心はなかった。

 たぶん高所が怖いのは意思に関わらず下に引かれる重力に対する恐怖なのだろう。

 横方向でも自分の意志に関わらずに吹き飛ばされればやっぱり怖いのと同じだ。

 そして重力制御の出来る僕は重力の方向も強さも自分の意志で変えられるので怖くないのだと思う。

 そのあと暫く空の散歩を楽しんでから、僕は元世界の自分の部屋に戻ったのだが、空を飛ぶのが楽し過ぎたのもあって気が抜けていたのだろう。

 自分の部屋の状態を確認せずに戻ったら、戻った部屋には分体以外の人物も居たのだ。

 さて、どうやって誤魔化そう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ