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異界創造

大変お待たせいたしました。

前回より早く更新する予定が、あまり変わらず申し訳ありません。

今回の ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ の後には少し残酷な描写が有りますので、苦手な方は読み飛ばす事をお勧めします。

色々拙い所が有るかと思いますが、楽しんで頂けたら幸いです。


 ここは四狼が覚醒直後に作った複製世界。

 地球より遥かに広いこの星は、現在は野生生物以外の生き物は四狼の分体が居るだけの、少し寂しい世界だ。

 複製世界を管理、と言っても別荘を作り終えてしまうとやる事は殆ど無い。

 今は無限倉庫内に大量にある本を読んだり、分体同士で何かをしたりして時間を潰しているのだが、時間が余っているのを本体も知っているから、色々頼まれる事が多くなってしまった。

 主に何かを作って欲しいという依頼だが、先程シャワー代わりの個人用の浄化装置を作ったばかりなのに、今度はいつもより遥かに大きく、星を作れと言う。

 大きさそのものは異界創造で指定するだけだが、それぞれの島の形や植生等の特性を考えるのはとても面倒そうだ。

 ここは発案者に丸投げした方が良いだろう。


『天照、事情は分かっているというより、発案者の君達にはどんな星にするかの案もあるんだよね?』

『勿論です、詳細は私達にお任せ下さい』

『素晴らしい監獄を作るのですよ』


 素晴らしい監獄がどういったものか僕には分らないが、前世では囚人にゲームをしたり食っちゃ寝させるだけの監獄が海外にあるとか聞いたけど、そんな別荘みたいなのは嫌だなと思ったので、しっかりと罪に見合った罰も与えるのか聞いておく。


『罰に関しては今後作る法律に合わせますから、今回作るのは星だけで十分です』

『勿論、様々な罪に合わせられる様に、色々な特徴を持った島や大陸を用意するのですよ。例えば、死刑は執行も後始末も面倒なのですよ。ですから自動的に処理できる様に凶暴な肉食獣等の生息する島を用意しておけば、後は罪人を放り込むだけだけなのですよ』


 死刑に関しては昔から日本だけでなく、海外でも執行人の精神的負担が問題になっていたとか聞いた気がする。

 そう考えると死刑の自動化は便利そうだし、害獣の処分等それ以外にも使い道はあるかもしれない。

 他には犯罪者の罰として定番の鉱山や、農地開拓とかもできる島があった方が良いかもしれないし、本体が送ってくる子鬼族用の島も必要だ。

 それらの意見を天照達に伝えて調整して貰う。


『今回作る世界は監獄ですから、絶対に逃げられない様にしなければいけません』


 それは当然なので、僕は頷きで答える。


『異界創造は熟練度によって部屋世界、箱庭世界、星世界、と作れる世界の広さが大きくなっていきます』

『それと並行して簡易、時限、通常、隠蔽、封鎖、と付与できる属性も増えていくのですよ』

『つまり、この世界は星世界で属性は無しになるのかな?』

『違うのですよ。この世界は元の世界の完全複製ですから、完全世界の通常型になるのですよ』


 あれ、元の星を複製しただけだから、星世界で属性も付けていないと思っていたが、どうやら違った様だ。


『この世界は元世界の星を完全に複製しましたので、元の世界と同じ型と属性を持ち、また同じ様に成長や衰退もします』

『そういえば、星の成長や衰退って何十億年も先になる筈だろ? 僕の寿命はそんなに長くないけど、僕が死んだらこの世界はどうなるの?』


 深く考えていなかったが、監獄を異界に作るとなると僕の死後も変わらずに存在しないと意味がない。


『この世界は完全世界で通常型なのですよ。通常型以上の世界は独立した一つの世界として確定しますので、仮に主様が今死んでも、この世界はそのまま影響なく存続するのですよ』

『そもそも、ご主人様が死んだら消える世界を監獄にしては、皆も道連れになってしまいます』


 やっぱりそうか、異界創造は思っていた以上にとんでもない能力だった訳だが、維持の呪力とかは要らないのだろうか。


『簡易型でしたら内包する呪力が尽きた時点で消滅しますが、通常型以上の異界は作る際に世界を十分な魔素で満たしているので魔素は自己増殖しますし、一度できてしまった物質を存続させるのに呪力は必要ありません』

『寧ろ壊す時に必要になるのですよ』


 それもそうか、建物や道具でも時間経過での劣化はあっても、突然消えたりはしないしね。


『それで結局、今回作る監獄惑星は星世界の封鎖型で良いのかな?』

『はい、更に外からの干渉も防ぐ為に隠蔽も付加しておけば十分でしょう』


 そうやって天照達と相談しながら詳細を決めていった結果、十二の大陸と数千の島を持つ直径二万キロ、大気層千キロの直径二万二千キロの完全に封鎖された星世界を作った。

 今後この世界に入れられる者の生活地域の環境等も考えて、元世界と同じ様に赤道付近と極地で重力に三倍の違いがある為、南北に少し潰れた球形の星だ。

 当然南北の極大陸は氷に覆われた世界だし、六つの大陸と半分の島は普通の森や草原で普通に生活できそうな半面、凶暴な肉食獣や更に大型生物も大量に生息する危険地帯になっている。

 そして二つの大陸と二割の島は鉱物の多い鉱山や荒地にし、同じ様に二つの大陸と二割の島は本当に普通の森や草原で、比較的安全に生活も出来る様にした。

 最後に残った一割の島には色々な特性を持たせておいたが、詳細は天照達に任せたので僕も詳しくは知らない。

 作ってみて分ったが、星世界の空は世界の壁に描かれた幻影なので、ある意味星世界とは天動説の世界みたいだった。

 なんにしても本体からの依頼は済ませたので、準備ができた事を連絡して一息ついた処で、別の分体からも依頼が来た。


『お前もか』


 今度の依頼も大型で、面倒臭さでいえば本体の依頼より遥かに上で、百万人分の一時待機用の仮宿を用意してくれって、理由は記憶統合で理解したけど、展開が早くないか?

 複製世界では暇を持て余しているけど、記憶は共有しているのだから、この世界の僕だけ感覚が違う筈もないのだが。


『記憶が統合されるまでに時差がありますから』

『方針は変わっていないのですよ』


 その通りなのだが、もう少しのんびりしたかった。きっと本体もそう思っているに違いない。

 軽く現実逃避していたら自称分体二号が複製世界ではなく、監獄世界に一時待機所を作る様に依頼を変更された。

 僕もこちらより、あちらの世界に作る方が気楽なので了承し、作る物件を考える。

 一時待機の住居と言っても、殆どが家族連れになる訳だが、全員に一戸建てを用意するのは食糧等の配給を考えても効率が悪いだろう。

 そう考えると集合住宅になる訳だが、独身なら一部屋で十分だけど、家族が増えれば人数に合わせて部屋の広さや数も調節しなければならない。

 そして、あくまでも仮の住まいなので、あまり快適な環境も良くないのだが、今後僕の作る国に住む事も考えると、ある程度の衛生観念や犯罪に対する意識も和富王国や日本の基準に近付けておきたいと思う。

 やっぱり汚い町や犯罪が頻繁に起きる国って嫌だからね。

 その為には教育が必要なのだが、どうやって教えたら良いのか分からなかったので天照達に聞いてみた。


『人数が多いですからご主人様が直接指導する訳にもいきませんので、代役に絡繰り人形を使うのをお勧めします』

『アルベール王国で活動中の主様が使用した通常型下位の絡繰り人形ではなく、流暢な会話が可能な通常型上位の絡繰り人形を使えば良いのですよ』


 月詠の言う通常型上位の絡繰り人形がどういった物か無限倉庫を確認してみたが、上位も下位と同じく大量に収納されていたので数が足りないという事は無さそうだ。

 顔や身体ものっぺらなデッサン人形の様な下位とは違って、上位は可動式のアニメのフィギュアの構造に近い様で、話してても下位よりは違和感が少ないかもしれない。

 どうせ宿毎(やどごと)に男型と女型で二体は必要になるし、ついでに仮宿の管理もさせれば一石二鳥になりそうなので、その案を採用する事にした。


 方針が決まったので早速仮宿の建築の為、多重思考と分体を半分に分けて複製世界に残し、僕は監獄世界に転移する。

 仮住居に選んだのは九州程の広さを持つ、凶暴な生物の比較的少ない島にした。

 アルベール王国との時差が多少あったが、重力の差が少ない事を優先したので仕方が無い。

 島の中央には縦に山脈が繋がっているので、中央から西に海との中間から更に半分程海寄りの地域に中心になる町を作る。

 まずは区画整理だ。当然町の中心に管理者の建物を作るのだが、どんな施設や部屋が要るのか分らないので、地図でアルベール王国の城を調べて参考にする。

 ついでに町の方も確認したが石や煉瓦の家が多く、王都以外は殆どが平屋だった。

 そして王都ですら各家から出た下水が側溝に流れる仕組みだったので、大雨の日などは道に溢れそうだったし、そのまま川に流れ込んでいて、下流域の水質はかなり大変な事になっていた。

 衛生観念はしっかり教え込まないといけないかもしれない。

 それらを考慮しながら区画整理をし、聖銀の網で囲って浄化と滅菌を付与しただけの簡単な上水や下水の処理場も作っていく。

 そして管理者の家はビルっぽい建物の六階建てで最上階を居住空間にし、二階から五階には執務や会議が出来る様に色々な広さの部屋を作っておき、一階は受付のカウンターを複数並べて設置して日本の役所や銀行みたいな形にした。

 勿論階段もあるが、奥には一階から五階を繋ぐ昇降機も二つ付けておく。

 六階の居住区には五階の管理者執務室の奥の階段と、裏口に専用の直接行ける昇降機も用意する。

 隣には兵舎兼、警備兵用の建物等も建てておく。


 一般の住居は寮の様な形式にした。全ての建物が五階建てで一階は厨房と広めの食堂を用意して、ここで色々教育や会議もできる様にし、二号が今居る宿と同じ型の手洗いと十六部屋の個室便所も設置する。

 二階から上が居住空間で、各階にも手洗いと八部屋の個室便所を設置し、各部屋の入口には玄関を作って室内では靴を脱ぐ、日本の集合住宅に近い形の部屋にした。

 便所が各部屋に無いのは、その方が上下水道の配管が楽なのと、衛生管理や便利過ぎない様にする為で、掃除も各階で協力してやってもらう予定だ。

 各部屋の構成は、独身は一部屋で夫婦は居間と寝室、子供の人数や男女比に合わせて寝室の数や広さを調節し、子供部屋には四人まで使える様に二段ベッドを二つ置いたりと、各階に四十から五十人位が住める様に部屋を作る。

 これでも百万人分となると六千棟程必要になるのだから、自分を含めて分体十六人で各作業を分担して取り掛かる。

 勿論、普通に建てる訳じゃなく、錬成空間を使って素材を作り、その素材も錬成空間で組み建ててしまえば、後は複製するだけだ。

 いくつかの棟(ごと)に周辺には運動も出来る様に広場や大衆浴場をはじめ、店舗に使えそうな建物もいくつか作っておき、使いたい人が申請して使えるようにしておく。


 全てを一つの町に纏めるのは管理も大変で効率が悪そうなので、全部で三十の町に八十から千棟で分けて配置し、それぞれの町の中央に規模に合わせた管理者用の建物や周辺施設も建てていく。

 僕達にはアルベール王国の人材が分らないので、管理者の選定はライルさんにお任せだ。

 こうして町が出来上がった頃には朝になっていた。

 睡眠耐性の能力のおかげで夜通し作業していても眠くは無いので、完成した達成感を感じていると、天照が報告してくる。


『おめでとうございます、ご主人様。一定数の建物を建てましたので、建築家、町作りの巧、一夜造り職人の称号を獲得しました』


 称号が増えるのは嬉しいけど、一夜造りって何?

 そんな事を考えていると、月読からは残念なお知らせが来る。


『もう少し早く町作りを頼まれていたら、異界創造で直接作れて楽だったのですよ』


 それは確かに楽だっただろうなと残念に思いながらも、称号が増えたから良しとしておこう。

 深く考えても疲れるだけだ。

 最後に各宿舎の管理用絡繰り人形を用意する。

 それぞれに生物鑑定、算術、礼儀作法、調理、柔術、錬金術、言霊術、植物学、動物学等の能力を四つずつと、念話とこの絡繰り達で共有できる異界倉庫を付与し、精巧な等身大の人形を裸のままという訳にもいかないので、男性型には執事服を、女性型にはメイド服を着せて各棟に男女一体ずつ配置した。

 管理教育用でありながら柔術を付与したのは、上位の絡繰りは人換算位階で六十四相当の能力があるそうなので、素手で殴るとアルベールの人だと即死しかねない為、手加減させるのに丁度良いと思ったからだ。

 どこにでも不埒者はいるし、こちらの指示を全く聞かない者は迷惑を通り越して邪魔でしかないから、ある程度の強制力は必要なのだ。

 この世界での作業を終えた僕は、百キロほど離れた隣の島に転移し、この世界の管理用に、前に作った和風の別荘を複製して設置する。

 多重思考と分体を半分残してこの世界の管理を任せ、僕は複製世界の分体に合流したが、こちらはまだ夜だった。眠くない筈だ。


    ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 分体一号が二号に仮住い作りを頼まれていた頃、二号から分かれた多くの分体達は盗賊退治という名の、回収作業を行っていた。

 地図で見つけた捕らわれている人の居る場所の少し上空に転移して、空中に浮かびながら加害者側の数名を鑑定し、悦楽系の称号を持っていたら盗賊と断定する。

 後は被害者ごと纏めて無限倉庫に収納するだけの、簡単なお仕事だと考えていたのだが、実際は精神的に非常に疲れる仕事だった。

 というのも、天幕や小屋ごと盗賊と被害者を無限倉庫に回収したので、被害者を直接見ていなかったのだが、状態が思っていた以上に悪い。

 この場所は捕らわれている人が最も多く、全体の三割近くが居たので最初に来たのだが、女性で完全に無傷な者は一割程で、比較的上質な服を着た若い娘の一部だけだった。

 それ以外の女性は全員が性的・肉体的に暴行を受けていた様で、中には三刃位の歳の娘も居たのが、僕の不快感をより一層強くする。

 他にも体中が痣だらけの者や、手足に釘や刃物が刺さっている者、目を抉られている者、耳を削がれている者、乳房を抉られている者まで居て、拷問してまで得られる情報等を持っているとも思えないので、実行者の目的が分からず困惑してしまう。


『前世は安全な時代の日本で過ごされて、更に五千年もの長き間、童貞を守ったご主人様には理解できなくても問題ありません。彼らは獣より下の子鬼になり下がったのです』

『理解したくもないのですが、弱者であるが故に更なる弱者を(なぶ)る事で快楽を得る屑が存在するのですよ』


 確かに理解したくはないな。僕まで変になりそうだ。

 僕は気を取り直して回収した男性陣の状態も確認するが、こちらに無傷の者は一人もおらず、大半は擦り傷や打撲程度の軽傷ですんでいたが、中にはやはり目を抉られている者や、耳や手足までもが切断されている者も居た。

 物語に出てくるゴブリン退治でもあるまいし、加害者の中に獲物の身体の一部を集める収集癖を持った者でも居たのだろうか?

 嫌な趣味だと思いながら、少し気になったので周辺を検索してみたら、やはり多くの死体や白骨が見つかったので、それらも無限倉庫に収納しておいた。

 仮宿が落ち着いたら、この国の葬儀についてライルさんに聞いて、供養してあげよう。

 そう考えながら他の救助中の分体にも記憶統合させて情報の共有をし、次々と回収を繰り返した。

 全ての回収作業が終わった処で天照が報告する。


『おめでとうございます、ご主人様。今回の救出で暗躍者、盗賊の天敵、姿なき強奪者、神隠し、拉致の天災の称号を獲得しました』

『他のも気になるけど、最後の天災って何?』

『並の者はもちろん、相当上位の者でも防げませんから、(まさ)しく天災なのですよ』


 僕は大型台風か何かなのかなと思ったが、軽く山を吹き飛ばせる事を考えると、あながち間違いでもなさそうだと諦めて二号の元に戻った。






読んで下さった方、有難う御座います。

今回1万文字を超えそうだったので、最後の話は次回に分ける事にしました。

半分以上は出来ているので、次は今回程お待たせしないと思います。


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