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王家の血

ブックマーク有難う御座います。

今後も頑張りますので、宜しくお願い致します。

 一旦部屋に戻ったのは僕の桜花様の婿候補としての順位が上がったので、草薙を始め不穏な行動に出る者が居るかもしれないと思い、その対策の為の魔道具を作ろうと思ったからだ。

 月詠達の話し振りでは僕自身はたぶん問題無いのだろうけど、やはり三刃や五狼の事は心配だし、王子様が誘導状態になっていた事もあるので、桜花様にも対応しておいた方が良いと思ったのだ。

 折角なので遠出をする父上達の分も含めて、家族全員の分も作ってしまおう。

 そう結論を出して錬成空間を展開し、素材は聖銀を主材として、大きさを装着者に合わせて変化させる為に空間制御の特性のある日緋色金を僅かに混ぜた合金を使って腕輪を作る。

 装飾はある程度凝った物にしようと芸術の能力も使用すると、高級感のある赤みを帯びた朱銀の腕輪が出来た。

 見た目は文字盤の無い高級腕時計といった感じになったので、これは男性用にしよう。

 これに毒耐性と精神攻撃耐性を付与し、常に身体に付けている物なので更に保護も付与して破損と汚れ対策も完了し耐毒の腕輪の完成だ。

 女性用には日緋色金を少なめにして桜銀色にして、男性用より少し細目の華美な装飾品にした。

 見た目は違うが効果は同じなので問題は無いだろうと思いながらも、効果が無かったら意味が無いので鑑定もしてみる。


 名前:耐毒の腕輪

 能力

  毒耐性三十二

  精神攻撃耐性三十二

  保護三十二

  可変

  識別


『この三十二って数は何なの?』

『はい、能力の熟練度と同じで、その効果の強度を表しています』

『特に強度は意識していなかったけど、三十二ってどの位の毒に堪えれるのかな?』

『意識せずに付与した場合は、付与の能力の熟練度によって割合で付与されますので、ご主人様の場合は三十二になります。意識して付与する場合も、付与の能力の熟練度によっては制限が有りますが、付与する能力の熟練度迄の間で自由に設定する事が可能です』

『毒耐性三十二は十分過ぎる位に強いのですよ。トリカブトの毒程度でしたら茶碗一杯食べても平気なのです』

『茶碗一杯って、平気でも食べたくないよ』


 とりあえず効果は十分過ぎる様だし、これで良いか。

 皆の分が足りなくなると困るので、それぞれ多めに十五個ずつ複製して無限倉庫に収納し、僕も食卓に向かう。


 食卓に着くと皆が既に食事を始めていた。

 どうやら今日の昼食はおにぎりと焼鳥と野菜の味噌汁の様だ。

 早速僕の分も用意して貰う為、台所へ行って秋穂母上に僕の昼食を頼み、ついでに朝に作った魔道焜炉を渡して試して貰う事にした。


「秋穂母上、僕の分の昼食もお願いします。それと、最近知り合った方から新型の魔道焜炉まどうコンロを試して欲しいと頼まれたので、お願い出来ますか?」

「新型の魔道焜炉? そんな高価な物をどうして四狼が頼まれたの?」

「詳しくは僕もわかりませんが、試作品らしいのですが、普段料理をしていないと使い勝手が分からないので、調整の為に何人かの人に配って頼んでいるそうですよ。」

「それはまた、太っ腹なお方ねぇ」


 納得して貰えたのかはわからないけど、適当に言い訳をしてから使い方を説明し、一緒に使う平底の鍋や薬缶やかん等を幾つかと、加熱装置一体型の焼鍋やきなべ(フライパン)も渡しておく。


「この焜炉は鍋の底が接触していないと熱くならないそうなので、底が平らな金属の鍋しか使用出来ないという事なので注意して欲しいとの事です」

「あら、それでは幾つかの鍋がこの焜炉では使えないのね。そちらは今までの焜炉で使いましょう」


 焜炉の説明を理解して貰えた様なので、更にこれも試作品だと言って耐毒の腕輪も付けて貰った。

 綺麗な装飾品に驚きながらも嬉しそうにしていたので、贈った僕も嬉しくなる。

 説明が終わったので、再度僕の昼食を頼んでから僕は食卓に戻った。


 食卓に戻ると桜花様達は粗方昼食が終わり掛けていた。


「四狼、遅かったのじゃな。 童達はもう直ぐ食べ終わるのじゃ」

「はい桜花様、丁度良い物が有ったのを思い出したので、数が足りるか確認しておりました」

「良い物とな?」

「はい、こちらになります」


 そう言うと僕は皆に耐毒の腕輪を配った。


「中々華美な装飾品じゃが、童が貰っても良いのか? しかもこんなに沢山、何処で手に入れてきたのやら」


 桜花様は嬉しそうに眺めながらも、訝しそうだ。


「四狼兄上、凄く奇麗なのです」


三刃は自分の腕に付けた腕輪を見ながら目を輝かせて大喜びしている。


「四狼兄上、こちらもとても恰好良いですね」


 五狼も気に入ってくれた様で嬉しそうだ。


「最近知り合った方からの試作品ですので、気になさらず試して下さいとの事です。 耐毒の腕輪と言うそうです」

「なんと、これだけ華美な装飾品でありながら、魔道具なのか?」

「試作品ですから効果の程はわかりませんが、桜花様なら持っていた方が良いと思いましたので、お贈り致しました」

「そうか、ならば有難く頂戴する。四狼、有難うなのじゃ」

「どういたしまして」

「四狼兄上、私も凄く嬉しいです。有難う御座います」

「四狼兄上、有難う御座います」

「ああ、ちゃんと普段から外さないで付けていてくれよ」


 皆効果より見た目に喜んでいる気もするけど、普段から付けていてくれないと意味が無いから、結果としては良かったのかな。

 そうしていると秋穂母上が僕の分の昼食を持ってきてくれた。


「あらあら、皆も四狼に腕輪を貰ったの? 一体幾つ貰ってきたのだか」

「当然、父上や兄上達の分も有りますよ」


 半ば呆れたように話す秋穂母上に答えながら、昼食を受けとる。


「先程頂いた焼鍋で焼いてみましたが、とても使いやすいですね」

「気に入って貰えたらな何よりです。試作品ですので気になる事や、直して欲しい部分が有れば次の製品で改良出来ますから、是非お知らせ下さいとの事です」

「まだ一度しか使用していませんから、今は不満は有りません。折角なので色々試してみますね」


 そう言って秋穂母上は何処か楽しそうに台所に戻って行ったので、僕も昼食を食べ始めた。


「四狼、今秋穂殿と話していた試作品とは何なのじゃ? 童にも教えるのじゃ」


 僕は口の中の物を飲み込んでから、お茶を一口啜り答える。


「その腕輪と同じ方から頼まれた、新型の魔道焜炉を試して貰っているのですよ」

「ほほう、どの辺りが新型なのじゃ?」

「桜花様にならこの一言でわかると思いますが、IHだそうです」


 流石に桜花様でも吃驚したのだろう、一瞬言葉を詰まらせたが、直ぐに気を取り直して質問してくる。


「何処から電気を用意したのじゃ? 電線なぞこの国には無いのじゃぞ」

「別に電気は発電所からでなくても供給は出来ますよ。直接電撃の術を組み込めば良いのですから」

「いや、普通の電撃の術は一瞬しか発動しないのじゃ。持続的に電気を供給可能な術など童は知らぬ」

「僕も詳しくは知りませんので、これ以上の説明は出来ませんよ。良かったら一つお譲り致します」

「うむ、頂けるのなら欲しいのじゃ」

「お譲りするのは構いませんが、試作品らしいので、気付いた点や改良して欲しい箇所が有ったら遠慮無く言って欲しいそうです。それがお譲りする条件でしたので、お願い致します」

「わかったのじゃ。何かあれば必ず連絡すると約束するのじゃ」


 色々試して貰えた方が僕も都合が良いので桜花様にも一台ずつ魔道焜炉と魔道焼鍋を無限倉庫から出して渡してあげる。


「四狼、感謝なのじゃ。使い方は秋穂殿に聞いてくるので、四狼は食事を続けておれ」


 桜花様はそう言うと返事も聞かずに部屋を出て行ってしまった。

 折角桜花様が気を利かせてくれたので僕は昼食を再開しながら、魔道焜炉は秋穂母上にも評判は良さそうなので、商品化するかはともかく、巧義兄上の所にも持って行って感想を聞きたいと思った。

 どうせ早めに腕輪を渡さないといけないので、なんとか午後か夕方にでも行ってこようと考えを纏めて昼食に集中する。

 午前中の修行について、五狼と三刃が話しているのを聞き流しながら昼食を終え、最後にお茶を飲みながら一息ついていると、伊吹さんが僕に面会したいという人物が来ているので、客間に通してあると伝えてきた。


「わざわざご連絡有難う御座います」

「なんのなんの、私も昼食を食べに来たついでなので御座るよ。秋穂殿には昼食のついでに客間のお茶も頼んでおくで御座るから、四狼殿は客間に急いで下され」

「わかりました。お願いします」


 僕は伊吹さんにお礼と、秋穂母上にお茶を頼んで貰い客間に向かう。

 我が家は道場もあり、士族位も高い為、一応客間を用意してあるが、我が家に用のある者の大半は道場に行くので当然あまり使われる事も無い部屋なので、八畳間に中央に座卓がある以外は何が書いてあるのかわからない掛け軸が掛かっている程度の殺風景な部屋だ。

 僕がその客間の前で一言声を掛けてから中に入ると、部屋の下座側に少し体の大きな男が座って待っていた。

 僕はその男の対面、上座側に座り挨拶と自己紹介をする。


「お待たせして申し訳ありません。僕が八神四狼ですが、本日はどの様なご用件で来られたのでしょうか?」

「いえ、突然押しかけたのはそれがしの方なので、こちらの方こそ事前通達も無く押しかけて申し訳ない」


 待っていた男も頭を下げ、突然の訪問を謝罪する。


それがしは坂本家の次男で坂本忠昭と申します。本日、某がこちらに参った用件は、姫様との婚姻の件についてです」

「僕も先程聞きましたが、かなり大きく整理されたそうですね」

「はい、その整理で某も候補から外された一人なのですが、余りにも性急でしたので、特に家族が不安に思っておるのです。候補に残っている方から何かしらの理由をお聞き出来ないかと思い、お訪ねした次第であります」


 成程、突然婚約者候補から外されたのが、何らかの不興を買っての出来事なのではないのかと気になるのだろう。

 僕が聞いたのは桜花様の王位継承の為らしいから、坂本殿が不興を買っている可能性は無いと思うのだが、正確な所は本人に聞いてみるしかない。

 そんな事を考えていると廊下から声が掛かる。


「お茶をお持ち致しました」

「ああ、秋穂母上有難う御座います、どうぞ入って下さい。」

「失礼致します」


 そう声を掛けてから秋穂母上が入ってきて、お茶を三つ並べる。

 あれ? 一つ多いのだが、っと思っていると、桜花様も入ってきた。


「今日、この場所へ坂本家の者が来るという事は、童が直接話した方が良い話なのじゃろう? 四狼が話せる事なぞ、それ程多くは無い。童に直接聞くが良い」

「姫様っ!」


 突然入ってきた桜花様に驚きながらも坂本殿は平伏して桜花様を迎える。

 此方に近付いて来たので少し横に動き、桜花様の座る場所を空ける。

 その空いた僕の隣に座ると坂本殿に向かい、桜花様が坂本殿に話掛ける。


「大方、お主が聞きたいのは童の婿候補から外された理由なのじゃろう?」

「ははっ! 突然に理由の説明も無く候補から外されたがゆえ、某に何かしらの問題でも有ったのかと畏れながらも候補に残っておられる八神殿にお尋ねする為、参りまして御座います」


 この人、桜花様と顔を合わせただけで一杯一杯なっている様じゃ、元から結婚は無理なんじゃないかな。

 まあ、僕も普段から顔を合わせてるから慣れてしまっただけかもしれないけれど。


「まずは面を上げよ。そしてお主らは童の不興を買っている訳でも無いのじゃ。ただ、童が王位に就く為の条件に合わなんだだけなのじゃ。気にせずとも良い」

「その条件というのはお聞きしても宜しい物なのでしょうか?」


 桜花様は少し考える素振りをしてから答える。


「んーお主は医術を学んでおるか?」

「はっ! 応急処置等に必須な初級程度しか修めておりません」

「では詳しく話をしても、お主が理解出来るかわからぬが、聞くか?」

「お聞かせ願えるのでしたら、是非!」


 坂本殿が再度頭を下げながら桜花様に願う。


「そもそも本来、王の資格は男子おのこにしか受け継がれぬのじゃ。しかし、稀に男子が産まれんかった場合は問題じゃし、男子より優秀な女子おなごが産まれた場合は勿体無いじゃろ? そこで一代限りの女王が認められたのじゃ。しかし、先程も言った様に王の資格は本来男子にしか受け継がれぬ、ならば王家の男子の血を他から受け入れれば良いのじゃ。つまり、女王の婿は元王族の男系の子孫でなければならないという事になるのじゃ。」

「つまり、某の祖先に王族は無く、八神殿の祖先には王族の者が居たという事なのでしょうか?」

「その通りじゃ、この四狼は曽祖父が当時の王弟じゃったので、その資格があると言う訳じゃな」


 坂本殿は桜花様の言葉を理解しようと頭を捻って更に質問を続ける。


「幾つかわからない言葉があるのですが、先程から何度か語られております、その王の資格、というのは何なのでしょうか?」


 今度は桜花様が頭を捻ってどう答えるか考えている様だ。

 そして数秒考えた後、おもむろに異界倉庫から財布を取り出し、銭貨(銅貨)を二枚座卓の上に並べた。


「王の資格とは簡潔に言うと王家の血を残せる能力という事なのじゃが、お主は生命の設計図というのを知っておるか?」

「いえ、存じておりません」

「全ての生き物は身体の中に自身の設計図を持っておる。詳細は童も知らぬので簡潔に説明すると、その一部に性別を決める箇所が有るのじゃが、女子は二つの同じ要素からなっておるが、男子はこの様に二種類の要素でなっておる」


 そう言い、桜花様は財布から更に銭貨と丁銀(銀貨)を一枚ずつ先程の二枚の銭貨から少し離して横に並べる。


「この要素を一つずつ貰う事で子供が出来る訳じゃが、仮にこの女子を童、男子をお主と仮定すると、童から銭貨を一つ、お主から丁銀を一つ貰って子供が出来る事になる」


 桜花様は自身を示す銭貨の一枚を自身から奥側にずらし、更に坂本殿を示す丁銀もずらし、先程動かした銭貨の隣に並べる。


「この子供も銭貨と丁銀じゃから男子になる訳じゃが、この子供が結婚して子供を作った場合」


 桜花様が子供を示す貨幣の横に少し離して更に銭貨を二枚並べ、子供を示す丁銀の方を更に奥に動かし、新しく並べた銭貨の内一枚をその隣に動かした。


「この様に童を示す要素が消えてしまうのじゃ。つまり、王家の血が消えた事になる訳じゃな」

「……なんと!」


 坂本殿は桜花様の説明を少し考えて理解出来たのだろう、驚きながらも感心している様だった。


「ちなみに、この初めの男子が四狼じゃった場合、此方の丁銀にも王家の血が入っておるので、問題無く王家の血が受け継がれてゆく訳じゃな」

「おおーっ!」


 坂本殿は何度も頷きながら納得した様だった。

 桜花様の説明が正しいのか気になったので、実際の所を天照に聞いてみる。


『天照、この世界もXYの染色体ってあるの?』

『はい、多少地球との差異も御座いますが、性染色体は概ね同じで御座います』

『この世界の人族の染色体数は四十八なのですよ』

『へー地球の人類より多いんだ』

『この世界の人類は術や能力等の特殊な異能も持っておりますし、そもそもの生体強度が違います』

『修行次第で刀で山も切れるのですよ』

『あははは……』


 最後の月詠の言葉に僕は力無く笑うしかなかった。

 そして性染色体がXO形じゃなくて良かったと思う。

 ゴキと同じだったら来世決定みたいで嫌だったのだ。



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