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呪力操作

最近更新が遅れ気味ですが、楽しんで頂けたなら幸いです。

 桜花様も修行に加わる事に喜んではしゃいでいる三刃をたしなめてから、先程作った光剣の玩具を無限倉庫から取り出し、皆に説明する。


「これは呪力を籠めると光の刀が出る玩具なんだけど、一度に使える呪力を調べる事も出来るから試してみて欲しい」

「四狼兄上、それは何なのですか? なんだか面白そうな物を持っているのですね」


 僕がそう言うと、好奇心旺盛な三刃が新しい玩具に興味津々で寄ってきたので、皆に一本ずつ渡して説明する。


「この柄の部分を握って呪力を流すと光が刀の形になって出るんだ」

「昨日に続いて変な魔道具を持っておるなぁ」


 桜花様は少し不思議そうにしながら光剣の玩具を眺めている。


「最近知り合った方からいくつかの魔道具の性能試験を頼まれているのですよ」

「何だか怪しいのう」


 最近知った前世知識を持った僕からのお願いなので間違ってはいない。

 桜花様はいまいち信じきれていない様だったが、三刃は早速試そうと柄を握り呪力を籠めようと力んで光剣の玩具を発動させ、鍔から六センチ程の光の刀が伸びる。

 それを見た五狼が続いて七センチの光の刀を発生させた。

 出所はともかく皆が試しているの見て問題は無いと判断したのか、桜花様も呪力を籠めると八センチの光の刀が発生した。


「それが今の時点で一度に籠められる呪力の量を表しているんだ」

「昨日まで術の使えなかった童が一番長い様じゃが?」

「術は使えなくても魔道具は使えていた筈です」

「うむ、そうじゃな、確かに魔道具は使えておった」


 僕の指摘に桜花様も納得してくれた様子で頷いていた。


「今日はこの一度に籠められる呪力の量を増やす修行をします」

「量が増えると、どの様な効果が有るのですか?」


 三刃はこの修行の成果が気になる様だ。


「勿論量が増えれば術の成功率や威力が上がるし、必要な呪力の量を正確に使える様になれば威力の強弱の調節や、呪力の節約にもなるから、やらない理由は無いだろう?」


 僕の説明に三刃も納得して頷いてくれたので早速修行を始める。


「初めは呪力が流れる感覚を身体で感じる修行だ。全員で手を繋いで輪になってくれ」


 そう言うと僕の右手を桜花様が繋ぎ、桜花様の右手には三刃が、三刃の右手を五狼が繋いで最後に五狼が僕の左手に繋がり輪になった。


「それじゃあ今から呪力を流すので、その流れを身体でしっかり感じて欲しい」


 ゆっくりと、少しだけ僕は右手に呪力を籠め、桜花様に流していくと桜花様の身体がビクンッと震えた。


「んんっ!」


 そのまま桜花様の右手を通って三刃の左手にも流していく。


「はうっ!」


 更に三刃の右手から五狼の左手にも流し、最後に僕に戻ってくる様にして呪力の輪を完成させた。


「何か、暖かい物が腕の中を流れている様な気がします」


 五狼は早速呪力の流れを感じている様だ。


「なんだか、ゾクゾクするのじゃが」


 桜花様は少し頬を染めて恥ずかしそうだ。


「私はなんだかふわふわします」


 三刃も少し頬が赤くなっている気がするが、五狼は普通だ。


『あれ? これって変な副作用とか無いよね?』

『異性間で呪力連結をすると、僅かに性的刺激と錯覚する事があるそうです』

『性的刺激!?』

『ほんの僅かな錯覚なので、問題は無いのですよ』

『本当に僅かなんだよね?』

『問題にはならない程度です。呪力増加や呪力操作の訓練としては効果が大きいので、続ける事を推奨します』


 問題は無いそうなのでこのまま続けよう。

 暫く続けていると、少し慣れてきた様で五狼の中の呪力の流れが滑らかになってきた様な気がする。

 続けて三刃、桜花様と流れが滑らかになってきたので次の段階に進むか確認する。


「皆慣れてきた様なので、次の段階に進むけど、大丈夫かい?」

「問題無いのじゃ。次に進むが良い」

「ん、大丈夫」

「大丈夫です」


 桜花様、三刃、五狼ともに大丈夫だと言うので、今度は三人の腕だけを通していた呪力の流れを変更し、左手から入れた呪力を心臓を通して、左足、右足、首、頭、右肩と身体全体に回してから次の人へと流していく。


「ああんっ!?」

「はうううっ!?」

「……」


 桜花様と三刃は頬を染め更に激しく反応するが、五狼は無反応のままだ。

 真面目な五狼の事だ、女性陣の反応も気にならない位に自分の体内の呪力に集中しているのだろう。

 そうして全身に流していた呪力も滑らかになってきたので、今度は緩急をつけて流していく。


「「んっんーーっ!!?」」

「……」


 相変わらす五狼は無反応だが、桜花様と三刃は時々身体をビクンッと震わせながらも耐えている。

 ちゃんと呪力の流れを認識出来ているのか心配になるが、実際に呪力の流れが滑らかになってきているので大丈夫なのだろう。

 更に暫く続けた後、大きめの呪力を三回流す。


「「んーっ!んーっ!んんーーっ!!」」

「うっんっ…」


 呪力が十分滑らかに流れる様になったので、流す呪力を徐々に弱めていき、手を離すと桜花様と三刃が息を乱しながらしゃがみ込んでしまった。


「「はぁはぁはぁーーっ」」


 五狼も流石に疲れたのか少し息が荒い。


「よし、第一段階は終了したから、少し休憩にしよう」


 僕はそう言って皆を屋外修練場の横に在る四阿に連れて行く。

 四阿には訓練中に怪我をした時や単に休む時に横に慣れる様、幅九十センチ、長さ三百六十センチの幅の広い長椅子が四列並んでおり、その手前から二つ目の椅子に皆で腰掛ける。

 全員が座った所で無限倉庫から冷えたお茶を取り出して皆に配り、皆でお茶を飲みながら一息つくと感想を聞いてみた。


「今の修行で呪力の流れが多少は掴めたと思うけど、如何かな?」

「はい、四狼兄上、呪力の流れが少しだけ分かった気がします」

「そうじゃな、なんとなくじゃが身体の中を呪力が這い回っていた気がするのじゃ」

「私は身体がむずむずしました」


 どうやら皆、身体の中に呪力が流れる感覚を少しは自覚出来た様なので、先程の修行は成功だろう。

 その後もう少し休憩し、次の修行を始める。


「次は先程の修行を一人でやる方法を教えるので、毎日一回はやるようにして下さい」

「毎日なのか?」

「はい、桜花様、毎日この修行する事で呪力操作の能力を身に付ける事が出来るそうです」

「四狼兄上、その呪力操作が身に付くと術の威力が上がるのですか?」

「そうだよ三刃、呪力操作が出来る様になれば素早く呪力を籠める事が出来る様になるから先制しやすくなるし、防御側に回っても素早く防ぐ事が出来る様になる。当然一度に使える呪力が増えれば威力は上がるし失敗も減る。更に適切な呪力消費で術が使えるという事は無駄が減り、効率が良くなるので使える術の回数も増える事になるから、良いこと尽くめだね」

「四狼兄上、さっそく始めましょう」


 やはりと言うか、効果を聞いた五狼は凄く乗り気なので早速始めよう。


「まず椅子の上で裸足になって胡坐を掻くようにして座り、両足の裏を合わせる。背筋を真っ直ぐに伸ばして胸の前で両手も合わせる。後は先程と同じ様に呪力を身体の中に流すんだけど、初めは僕が手伝うから、呪力の流れを覚えて欲しい」


 僕は桜花様の前に行き、組んでいる手に手を重ねて呪力を流す。


「左手側から呪力を流しますので、その呪力を左肩、心臓、右腰、右足へと流し、合わせている足裏を通して左足、左腰、臍から右脇を通して右肩、右手へ流し左手に戻すとまた左肩へと回し続けるように体の中で二つの輪を描く様に流して下さい。桜花様には数字の8の字と言った方が分かりやすいかな」

「8の字じゃな? 分かったのじゃ」


 一分程続けてみたが、安定して呪力が流れている様なので、もう一人でやって貰っても大丈夫だろう。


「桜花様、手を離しますが一人で呪力を回し続けて下さい」

「ん」


 桜花様は話す余裕も無い様子で、頷いて返事をする。

 続けて三刃と五狼も同じ様に呪力を流してやり、呪力の流す道を示してあげると途中からは一人でやらせる。

 呪力に乱れ等が無いか確認しながら数分経った所で桜花様から順次始めた順番で終了させる。


「これが一人で出来る呪力操作の修行なので、毎日八分以上やって下さい。慣れてきたら徐々に時間も長くして一時間以上続けて出来る様になるのが最初の目標です」

「これを、一時間もするのですか?!」


 三刃は少し息を切らしながらも、抗議する様に聞いてきたので説明しておく。


「出来る範囲で、徐々に長くすれば問題無いよ。連続一時間以上出来る様になる頃には呪力操作の能力も獲得出来ている筈だからね」

「確かに今の童には一時間は無理そうなのじゃ」

「焦る必要な無いですからね。無理をせずに自分の能力に合わせて、少しずつ伸ばしていけば良いのですから」


 桜花様にはちゃんと言っておかないと無理をしそうなので止めておく。

 最後に光剣の玩具を使って今日の修行の成果を試して貰ったら、桜花様が十センチ、五狼が七.五センチ、三刃が七センチと全員伸びていたので大成功だ。


「これだけの修行でこんなに伸びる物なのですね」

「吃驚なのです」

「流石は四狼なのじゃ」

「今回は初めてだったので成果が大きく出ていますが、今後はいきなりこれだけ伸びる事は無いでしょう。ですが諦めずに毎日やって少しずつ伸ばしていきましょう」

「「「はい!」」」


 効果も示せたし、良い修行になったと自己評価して満足していると、桜花様が聞いて来る。


「ちなみに四狼だと、どの位の光が出せるのじゃ?」


 さて、どの位にしておくか悩む所だけど、攻撃系の術が使える程度にはしておかないと、後で教える事が出来ないので、それなりに長めにしておこう。

 そう考えて僕も光剣の玩具に呪力を流し、四十八センチ程の光の刀を伸ばして見せてやった。


「ほほ~~っ!流石は四狼じゃな」

「四狼兄上凄いですね」

「四狼兄上、凄い」

「これの半分程の光が出せる様になったら直接攻撃系の術も安全に使える様になるので、皆精進してくれ」

「「「はい!」」」

「じゃあ、時間も丁度良い頃なのでお昼ご飯にしよう。僕は一旦部屋に寄るので三刃、桜花様を食卓へ案内して差し上げなさい」

「承知致しましたっ!四狼兄上っ!さぁ姫様っ、お昼に致しましょう」

「う、うむ、案内を頼む」

「お任せ下さい!」


 三刃の暴走に若干引き気味の桜花様だが、食卓には何度も来ているし、昨日もお昼を食べていたので問題は無いだろう。

 三刃は桜花様と一緒に行動出来るので嬉しそうに返事をして早速と食卓に案内して行ったので、僕は言葉通りに一旦部屋に戻った。




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