今後の方針
ブックマーク有難う御座います。
楽しんで頂けたなら幸いです。
今後も頑張りますので、宜しくお願いします。
いくつかの話で修正や変更をしましたので、変更点は後書きに書いておきます。
自室に戻った僕は分体を戻し、分体に考えて貰っていた五狼達の修行方法も統合されたので、どんな修行を考えていたのかも把握した。
やはり初めは基本的な呪力操作から始める事にした様だ。
折角なのでこの修行に合わせられる魔道具も作っておく。
軽銀に僅かに聖銀を混ぜた合金を中空の鍔付きの刀の柄の様な形にし鍔の中央、本来刃の生えている位置に光の術を付与しておく。
これは呪力を籠めると鍔本の本来刃のある位置から光の棒が形成される玩具だ。
籠める呪力の量で光の長さが変わる以外の能力は全く無く、勿論只の光なので攻撃力も無い。
取り合えず光剣の玩具としておこう。
準備が出来たので、地図で屋外修練場を確認してみると既に五狼達は揃っているのだが、何故か桜花様も一緒に居た。
この分だとたぶん必要になるだろうと、光剣の玩具を三つ複製してから無限倉庫にしまい、屋外修練場に向かう。
「おはようございます、桜花様」
「おはよう四狼。昨日話した通りに婿候補の順位を上げたので報告に来たのじゃ」
「四狼兄上、おめでとうございます」
「むぅ、おめでとう??」
五狼は快く祝福の言葉をくれたが、三刃は何処か疑問形で不満気だ。
その態度に桜花様が問い掛ける。
「おや、三刃は童と四狼の結婚には反対なのかや?」
「いいえ姫様、反対では御座いません。ただ、姫様のお相手が四狼兄上程度で宜しいのかと、少し疑問に思っただけで御座います」
何気に兄を貶める三刃の言葉に僕はすこしへこんだ。
「そんな事は無いぞ。四狼は能力も有って、童は十分魅力的だと思うのじゃ」
「姫様がそこまで四狼兄上を買っているとは思いませんでした」
「それにの、童と四狼が結婚すれば、三刃は童の義理の妹となるのじゃが、三刃は不満か?」
桜花様の言葉に今まで不満そうだった三刃の顔が一変し、目を輝かせながら答える。
「その様な事は有りませぬ、姫様の妹になれるなんて、むしろ最高に嬉しい事です。四狼兄上、何が何でも姫様との結婚、果たして下さいませ!」
三刃は桜花様に答えた後、一瞬で僕の目の前に移動して僕に詰め寄ってきた。
桜花様の妹発言に変なスイッチが入ったのか、三刃の感情が暴走気味なので訂正しておく。
「落ち着け三刃、桜花様は婿候補の順位が上がったとおっしゃったのだ。まだ僕が婿に決定した訳では無いぞ」
三刃は僕の指摘に一瞬固まった後、再度頑張って決定させて下さいと激励された。
そんな三刃を面白そうに眺める桜花様に僕は疑問を投げかける。
「それにしても、わざわざ桜花様ご自身が報告に来られずとも、他の者に任せても宜しかったのではないでしょうか?」
普通に考えていくら姫様の婿候補としての順位が上がったとしても、姫様本人が報告に来るのは少しおかしい気がする。
「自分の事じゃし昨日の事もあったからの」
「そうですか、しかし本当に順位を上げられたのですね」
「なんじゃ、四狼は童と結婚するのは不服なのか?」
桜花様が僕を少し睨みつける様にして尋ねてきたので、慌てて否定する。
「そんな事は御座いません。桜花様程の美人と結婚出来るのを喜ばない男はいないでしょう。とても光栄だと思います」
「一般論は良いのじゃ。四狼本人の意見が聞きたいのじゃ」
「勿論、嬉しく思います」
少し恥ずかしいが正直に答えた。
「そうか、それなら良いのじゃ」
僕の答えに満足したのか、少し不機嫌そうだった桜花様が機嫌を直してにこやかに答えてくれた。
そんな顔をされたら拒否出来ないと思う。
「今回の婿候補の整理で、四狼は童の第二位の婿候補になったのじゃ。序でに三琅の順位も第五位に上がったので伝えておくのじゃ」
いきなり順位が跳ね上がってしまっている事に、大丈夫なのだろうかと心配になってくる。
それでも、序でで順位が上がった三琅兄上には良かったのだろうか?
「いきなり第二位ですか? 昨日までは二十位台だった筈ですが、宜しいのでしょうか?」
「うむ、この際なので序でに童の王位継承にそぐわない者を排除した結果、候補者は六人に絞られる事になったのじゃ。当然草薙も排除したのじゃ」
三十人近く居た筈なのだが、突然五分の一にまで減らした事にも反感とかありそうなので心配だ。
中にはそれなりの有力者の子息も居た筈なのだが、和富王国の士族は完全な子孫継承では無く、個人の資質や努力も必要な為、古くから続く士族程、不正を許さない気質の者が多い。
なので士族の元候補者には問題が無いだろうが、草薙達の様な比較的に新しく商候や士族になった者はそうでもない。
何か仕掛けて来る可能性も否定出来ないが、そこまで無謀なのはごく少数だろう。
桜花様の婿候補として順位が上がったのは嬉しい反面、面倒も増えるのが困った所だ。
しかし、これも地位に見合った危険なのかもしれない、と思うと諦めるしか無いのだろう。
「ますます逆恨みされそうですね」
「何か仕掛けてきたなら返り討ちにしてやれば良い、童が許可するのじゃ」
それはそれでどうかとも思うのだが。
「仕掛けてくるのが前提なのですか?」
「あ奴の性格を考えると、間違い無く何か行動を起こすじゃろうな。それを打ち破ってこそ、童の夫に相応しいとは思わぬか?」
桜花様がニヤリと笑いながら僕に語り掛けてくる。
「打ち破れなかったら僕が終わりそうなのですが」
「そこは頑張れとしか言えぬが、四狼なら問題無いと信じておる」
「はーー、桜花様のご期待に沿える様、頑張ります」
溜息交じりだが僕の返答に満足したらしく、桜花様は今度は三刃の方へ行き、何やら話始める。
桜花様との話が終わったと思ったら、今度は天照が話し掛けてきた。
『ご主人様、ご婚約なさるのは喜ばしい事ではありますが、桜花様との結婚にはいくつかの問題も御座います』
『まあ、急な話だし、僕に選択肢は殆ど無いんだけど、何が問題なの?』
『はい、まず桜花様と結婚した場合、ご主人様が王にはなれない可能性があります』
天照、月詠と同じで、お前も僕を王様にしたいのか?
面倒ばかりが増えそうなので、僕は王になりたいとは思わないんだけど。
それに、桜花様は女王を目指す心算の様だし、なりたい人がなれば良いんじゃないかなと、僕は思う。
『元から王様とか目指してないから、それは構わないんだけど』
『それも問題なのですよ。主様の力の一部でも善からぬ権力者に知られた場合、悪用される可能性が有るのですよ。国に仕えれば、その国の命令に従う必要が有ります。色々な制約や義務も課せられるでしょうし、最悪侵略戦争に駆り出される可能性も御座いますが、主様が王になれば主様に命令出来る者が居なくなるので、侵略戦争は避ける事が出来るのですよ』
つまり、僕の事が知られると、力を手に入れたと勘違いした権力者に悪用される可能性が有るのか。
しかも、女王の婿の立場だと国益を前に出されたら断るのも難しいのだろう。
二人の言う通りに何処かに新しい国を作るしかないのかな?
『どうにもならなそうなら複製世界に逃げれば良いと思うんだけど、駄目かな?』
『その場合、あらゆる功績を積む事が難しくなりますのでお勧め出来ませんし、残された桜花様やご家族の立場がとても悪くなります』
『別の国に引っ越しても同じなのですよ。ただの一般人が多くの功績を積むのは難しいので、やはり能力を使う事になるのです。そうして功績を積めば、何時か権力者にも主様の存在が知られるのですよ』
『それらの権力に勝つには力で捻じ伏せるか、こちらも権力を持つしか有りません。大きな力には大きな責任も持たなければいけないのです。王権は功績の面でも理想の責任だと思います』
確かに王になるだけでも功績なのだから、僕を利用しようとする者からの防御も考えると一石二鳥なのかもしれない。
『それだと逆に僕が国民を利用している事にならないかな?』
『国の仕事として大事なのは国民の安全が第一なのです。それ以外は後回しでも問題無いのですよ』
『この世界には魔物が居ますから、それらから守って頂けるだけでも、その国に所属する恩恵が有ります』
魔物からの保護が真っ先に来る辺りが、この世界が如何に危険かを表しているのか。
『逆に暴君として君臨するという方法も有るのですよ』
『そちらは功績が若干減りますが、国民も何処からか攫って来ても良いので初期の難易度も下がります。しかし、初めは楽では有りますが時間経つと国民の不満度と共に難易度が上がりますので、国としては長続きしないでしょう。ご主人様のお孫様辺りで反乱が起きる可能性が高いと思います』
殺すのも功績というのだから、功績だけ考えればそれも有りなのかもしれないけど、僕の精神が持たない気がする。
他人を甚振って喜ぶ趣味は無いし、元から小市民だしね。
何より自分の子孫が処刑される未来は絶対に避けたい。
『初めから不幸になる前提の国なんて作るだけ無駄だし、作る意味が無い気がするよ。第一国民が集まらないだろう』
『国民は後から募っても問題無いのですよ。初めは只の肩書で十分なので、他者に対する牽制になれば良いのですよ』
『つまり、土地だけ用意して、その土地の王を勝手に名乗っておけば良いの? 国民も居ないのに?』
国ってそんないい加減な物じゃない気がするんだけど。
『それで問題有りません。この世界には国連のような組織も有りませんし、全ての国の名前や位置を知っている者も居りません。一部の例外を除けば、精々三つ隣の国までしか認識出来ていない国が殆どです。国際法や条約等も有りませんので、自国を守れる武力と、国民が生きる為の食料等が有れば十分です。初めは数人の国民が居れば問題ありません。国民は後から増やせば良いのです』
『それはそれで詐欺っぽいんだけど』
地球でも人口数百人の国が有ったのだから、確かに人数に拘る必要は無いのかな?
『前にも言ったけど、国とか運営する方法も知らないのに僕に王様なんて出来るの?』
『王様が全てを管理運営する国なんて無いのですよ。出来る部下を用意したら良いのですよ』
『国民が増えれば、細かい事はそれぞれの自治体任せになりますし、規模が大きくなれば、その都度管理者を増やせば良いので問題ありません』
流石にそれは無責任じゃないのかとも思うのだが、村単位で国が管理するのも無駄だし、それでも良いのか?
『今は深く考えずに、まずは土地を用意するのを優先するのですよ』
『それもそうなのかな?』
何か誤魔化されている気もするけど、国を作るにも領地の目途すら立っていない現状でああだこうだ討論しても、絵に描いた餅でしかない。
今から心配しても仕方が無い事だ。
『次に問題なのが、女王の婿となってしまえば、ご主人様の二人目以降の嫁を迎える事が出来なくなってしまいます』
『いや、ハーレムとか本当に必要無いから! 問題ないと思うよ』
『それでは功績が積めないのですよ』
『沢山の子を儲けるのはとても一般的な功績です。複数の嫁を娶るのも功績になりますので効率も良いし、多くの功績を積む近道でも有ります』
『僕は今まで一度も結婚した事が無いらしいから、一人でも結婚してくれるなら十分なんだけどな』
『その一人が問題なのです。相手が一国の姫様なので今は様子を見る事にし、対策を検討致します』
『桜花様の婿になるのは喜ばしい反面、それ以外の可能性が全て無くなってしまうかもしれないので、慎重に考えて欲しいのですよ』
そっか桜花様と結婚したら、僕の人生はそのまま決定してしまうのか。
流石に十四で人生決定とか早過ぎる気もするけど、男子は十五で成人するこの国では一般人では十を過ぎた辺りで仕事に就く者も多い。
十四で早いとか思うのは、結局前世の記憶に引きずられているからなのだろう。
それに我が家は士族で武家なので覚える事も多く、姉上も成人までは修行と勉学にと時間を掛けていたが、農家等の女子に至っては十二や十三で結婚する者も珍しくは無いのだから。
『分かったよ。後で必要になって慌てない為に、取り合えず土地探しはしておこうと思う』
『はい、今はそれで十分だと思います』
そうして今後の方針を二人の案内人としていると、三刃と話していた桜花様がこちらに戻って来て話しかけてきた。
「何を呆けておる。草薙を心配しておるなら問題無い。魔石の補充計画も進めたしあ奴は所詮只の商候じゃ、先程も言った通り武力で攻めてきたら返り討ちにすれば良いのじゃ」
そんな単純な事でも無いと思うのだけど、僕の結婚も含めて今から心配してもしょうがないか。
「それよりも、今日は皆で術の修行をするのじゃろ? 童も仲間に入れて欲しいのじゃ」
桜花様が一緒でもやる事に変わりは無いので問題無い。
「それは構いませんが、一応五狼達にも説明してから始めましょう」
そう言い、桜花様の登場で待ちぼうけ状態の五狼達に今日の修行は桜花様も加わると説明すると、三刃が喜んだ。
変更点
2話目の開示能力を、持っていてもおかしくなさそうな、から前から持っていた能力に変更し、人前でも使っていた異界倉庫を追加しました。
また、無限倉庫の無限の意味は機能制限が無いという意味だという説明を追加しました。
3話目の三刃が四狼の身体能力の変化に気付いたのを、異界収納が異界倉庫に変わっていたからに変更しました。
17話目の食糧支援を四狼一人では時間が掛かり過ぎて無理があり、話が進まなくなりそうなので、各村や町に食料を一月分程ずつ置いていくだけに変更しました。
今後も宜しくお願いします。




